第21話:盗賊狩りをした
◇永正13年10月
「名田庄?」
若狭武田家との交渉に行かせていた宗立が帰還し、交渉結果が知らされることとなった。
だが、その買い取ってきた場所というのが………
「はい。"名田庄"でありますな。」
「その……だな。名田庄というのは、具体的にどこだ?」
「そうですな…、西の鯖街道と呼ばれる道を北へ赴き、土御門家の領地のある辺りまで行くと、そこが名田庄となりますな。より正確に言うなら、納田終の谷全域となります。」
納田終の谷 全域
それは、35町〜50町という広大な土地だった。
しかも、この時代の扱いとしては、周囲の山はそれに含まれない。
ある程度制限はつくが、自由にやっていい場所がそれ以上に手に入った計算になる。
「おいおい……。どうやってそれだけの広大な土地を手にできたのだ……。僕としては、音海辺りの秘境に幾許かの土地を手にできれば良かったのだが……。」
「それは……、申し訳ありませぬ。」
「いや、責めているわけではない。すまぬ、言い方が悪かった。余りにも予想以上のことでな。言葉を誤ったわ。」
如何に秘境とはいえ、実際に人の住む、人の住める土地だ。
それに田畑も存在し、鯖街道経由で京との行き来もできるという良物件であろう。
それだけの土地を、タダ同然で手にできるなど、どのような手妻を用いたのか気になって仕方ないのは当然だろう。
「それはそうでしょうな。私めも驚愕致しましたから。しかし、持ち込んだのが、あの白黒碁や交経格子などですからなぁ……。ある意味、当然とも言える結果にございまするぞ?武田様は、数寄(文物)への造詣が深いですからなぁ。」
若狭武田家は、武田元信の頃までは裕福で、畿内においては有数の大家だった。
小浜を有するその財力が、若狭武田家の覇を支えていたのだ。
「なるほどなぁ…。嵌ったと言うことかの。」
「ほほぉ?嵌った、とは言い得て妙ですな。その通りにございます。」
現代風の言い回しに感嘆している宗立はともかく。
納田終全域が手に入るとなれば、色々とは話は変わってくる。
やることが一様に増えたのだ。
いや、選択肢が増えたと言った方がいいかもしれん。
「よしっ!タダで手に入ったのはいいことだと思おう。あとは、納田終の利権者について調べねばならん。それと、土地の選定だな。やることはまだまだあるぞ!っくくくく、楽しくなってきたなぁ、おい!」
僕は、ドンドンとニヤけ顔が止まらなくなり、宗立や九郎に笑いかけた。
「主人さま……。そのお顔は、やめられた方がよろしいかと…。」
………何故か、咎められたが。
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◇京のとある一画
武田家との交渉もうまくいき、新たな逃走拠点の確保ができた僕は、最近の日課をこなす為、京にあるとある場所にまでやってきていた。
「九郎、ここか?」
「はい、間違いありませぬ。」
九郎とともにそう言い合い、孤児と同じ格好をして、僕らはその一画へと入り込んだ。
そう、そこは、盗賊たちが寝ぐらにしている拠点の一つだ。
「………いるか?」
「…どうでしょう?……いえ、声が聞こえます。………2、3人はいますね。」
小さな声で呟きながら、僕らは悪党どもの拠点を探ってゆく。
そこには、数人の賊がいるらしく、他の者は今出払っているらしい。
「む…、2、3人か…。少ないな。」
「致し方ありません。出直しますか?」
「そうだ……待て。」
一度撤退して、再度来るか?と相談しあっていた頃、僕の耳に何人かの足音が響いてきた。
ちなみにだが、ここは、京は京でも、街から外れた森の中の洞窟だ。
僕はそこに、孤児や浮浪者達を使い、僕がスキルで作った爆弾を複数個置いて来させてあるのだ。
問題は、その能力が、20m範囲内に寄るまで使えないことであるのだが……。
「やはり、20mというのは近すぎるな…。これでは、マトモに運用できん。」
能力のレベルが低く、イマイチ運用が難しいのがこの能力だ。
それでも、体格が良くなく、力も大きいわけでもない僕にとっては、最大の攻撃だ。
活用できねば、武士としてやっていけない。
「そのように言うものではありませんよ。主人さま。……そろそろ始めましょう。」
「……」
こくっと頷き、僕は爆弾を能力で確認していく。
爆弾の数は5つ。
それらを、一気に爆破させるっ!
『『『『『ドゴンッ!!』』』』』
一度に大きく音が鳴り響き、石状の爆弾は全てが起爆した。
「おい、一度離れるぞ。」
「はっ」
場所が場所だけに、崩れ落ちてくるのが怖い。
盗賊達の潜んでいた洞窟から離れ、人の少ない森の中で、二人は息を整えた。
「で、主人さま。収穫のほどは?」
僕が、ステータス画面を開くと、そこには、殺害人数12人が追加されていた。
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◇スキル:爆弾生成
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・現在レベル
Lv.7
・累計殺害者数
73人
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「これで、73人だ。なかなかに長いな……。」
「地道に、少しずつと言うのはこういうことなのでしょうね……。」
盗賊狩りを思い立ってからこれまで、数十人の盗賊を殺傷してきている。
狙いが盗賊なのは、この地には周辺各国から来る賊が多く、京が荒れている理由のひとつに、こうした山賊や盗賊があるからだ。
何も、管領や大内の兵が荒らすだけが、京不穏の理由ではない。
安易に盗みや殺しを含む強盗などで、金を稼ぎ、名を成そうと考える者は少なくないのだ。
しかも、それだけでなく、村そのものが盗賊稼業を行っているというパターンも多い。
旅人から盗み、やってきた商人を殺し、領主や寺社にその分け前を渡すことで見逃してもらっているような者でさえも、多数いるのが今の世の中だ。
僕らが今殺傷しているのは、それらの賊の中でも外から来た者が中心だが、いずれはタチの悪い村で賊をやっている者らにも手を付けたいとは思っている。
どうせ、敵だしね。
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◆松永家資産(多聞丸の財布)
◇10月時点の資産
・現金100.15貫文(帳簿上:−344.85貫文)→→→111.86貫文(−333.14貫文)
◇収入(9月分)
・切り蕎麦:17.3貫文
・灰持酒:9.8貫文
・火入り炭酒:48.6貫文
・竹炭:0.28貫文
・薬(三種類、2,000袋、稲荷側と折半):5貫文
◇支出(9月分)
・食費:20.1貫文
・給与:17.8貫文
・勝龍寺への献金:31.37貫文(9月分)
・借金合計(利息込):445貫文(伏見稲荷大社への寄進:250貫文(借金))
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