↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生悪役令嬢、麻雀で異世界を制す!  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/42

ウチのもんやで

ヴァルガンが退席し、広間には余韻のざわめきが残る。

その中心で、領主は机にすがりつき、震える声を上げた。


「……た、助かった……! これで借金も消え、領地も守られた……!」


顔をくしゃくしゃにして涙を流し、クラリッサの前に進み出る。

膝を折り、床に頭を擦り付けるようにして叫んだ。


「嬢様! あなたこそ、この領地の救世主じゃ! どう礼を言えばよいのか……!」


その必死の姿に、周囲の村人たちからも安堵の嗚咽が漏れる。

だが、そんな感動的な空気を――クラリッサの一言が、氷のように凍らせた。


「いやいや」


腕を組み、さらりと言い放つ。


「もうこの領地はウチのもんやで?」


……沈黙。


領主はぽかんと口を開け、涙の跡を残したまま硬直した。

「……え?」


クラリッサは肩をすくめ、悪戯めいた笑みを浮かべる。


「ほら、契約書にもしっかり名前、ウチのん入ってるしな」


机の上の契約書――そこには、竜族の血印と並んで「クラリッサ」の名が鮮やかに刻まれていた。


「そ、それは……わしの領地を守るために――」


「ん? 守ったやろ? ついでにウチのもんになっただけや」


言葉を失った領主。

広間の空気がざわめきから、今度は戦慄へと変わっていった。


「ま、待たれよ!」


領主が血相を変えて立ち上がった。

涙で濡れた顔は怒りと困惑に引き攣り、声は裏返る。


「わ、わしが命を賭けて守ってきた領地を……嬢様、あなたが奪うなど……そんな馬鹿な!」


だが、机の上に広げられた契約書は無情に現実を突きつける。

そこに記された名義は、すでに――


「クラリッサ」


領主の名ではなく、若き悪魔的令嬢のものだった。


「ほらな、書いてあるやろ」

クラリッサはさらりと指先で契約書を叩き、唇に冷ややかな笑みを浮かべる。


「――っ……!」


領主の声は喉で潰え、言葉を失った。


その時、場を和ませるように、いや逆に凍りつかせるように、ヴァルガンの豪快な声が響く。


「はっはっは! 契約に文句はなし、だろう?」


竜族特有の牙を覗かせながら、愉快そうに肩をすくめる。

「勝負は勝負、領地の名義はこの嬢ちゃんのもんだ。文句があるなら――竜族にケンカ売る覚悟でもあるのか?」


領主の膝が崩れ落ちる音が、広間に重々しく響いた。領主が崩れ落ち、ヴァルガンが豪快に笑い飛ばす中――

静かに、だが重い言葉が広間を切り裂いた。


「……お嬢様」


ジェロードが冷ややかな視線をクラリッサへと向ける。

その双眸には諦念と、わずかな恐怖すら滲んでいた。


「本当に、“国”を作るおつもりですか」


問いかけは半ば呆れ、半ば確認。

彼は知っている――この少女が一度決めたら後には引かないことを。


クラリッサは椅子の背に肘をかけ、唇を吊り上げる。

悪魔的な笑み。

その瞳に迷いは一切なく、むしろ愉悦に輝いていた。


「せやで」


まるで「おやつ食べる?」くらいの気軽さで、世界をひっくり返す宣言を口にする。


「すごーい!」


場の空気をぶち壊すように、ミーナが飛び跳ねて両手を挙げた。

「お嬢様、領主様どころか……国王様です!」


「……」

ジェロードは額を押さえ、深いため息を吐いた。


こうして、一つの領地はクラリッサの手に落ち――

“国作り”という新たな大博打が幕を開けるのであった。館の外――

集まった村人たちがざわついていた。


「嬢ちゃんが……新しい領主様なのか?」

「すげぇ……竜族相手に勝ったんだぞ!」

「もう俺たち、救われるんじゃねぇか……!」


やがてそのざわめきは、拍手へと変わり、拍手は歓声となり、領主館の周囲を包み込んだ。

人々は希望を見いだしたのだ。


クラリッサはその声を背に受け、ゆっくりと玄関前に姿を現す。

悪戯っぽく口角を上げ、両手を大きく広げた。


「――ここからや」


その声は澄み切っていて、しかし力強い。

広間の残響すらもかき消すように、村人たちの胸に突き刺さる。


「ウチの国づくり、始めるで!」


歓声が一層大きくなり、村人たちが拳を掲げる。

その中心で、悪魔令嬢は確かに“国の主”として立っていた。


――かくして、賭け麻雀から始まる建国譚の幕が上がる。

新領地の村人たちが「これからは麻雀で活気づけよう!」と盛り上がる。


瓦版の見出し:「謎の令嬢、竜族から領地を奪取!」


クラリッサ:「まずは麻雀大会で税収を上げる。それが新国家経営の第一歩や」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。