ゆめのあと
夢の終わりを告げる静けさが、圧倒的な破壊の中にあった。
その静けさを切り裂くように、シグルの足音が響く。
瓦礫を踏みしめる音だけが、群衆の騒音を包み込んだ。
まるで死神の足音のように、彼のその歩みはひとつひとつ運命を決定づける重さを持っていた。
「お前らは、破壊することでしか意思を伝えられんのか」
その声は冷徹で、全く震えることなく響き渡った。
群衆はその言葉に心を射抜かれたかのように動きを止め、場にひとつの沈黙が広がる。
シグルの目には冷淡で無慈悲な光が宿るが、深く潜む悲しみがそれを覆い隠していた。
彼の眼差しは群衆を一掃し、そのすべての心、意志に鋭く問いかける。
その瞬間、時間が止まったかのようだった。
誰かが震える声で呟いた。
「でも、自分は」
その言葉を、シグルが無情に遮る。
「お前らの破壊は、何も生まねぇ。傷つけて、壊して、何が変わるんだ。お前らのやってる事は、そこら辺のクソガキと変わらねえんだよ」
その声が響き渡り、群衆は凍りついた。
目の前に広がるのは破壊と無力化を試みる一団だが、シグルは冷酷にその破壊が虚無へとつながるだけであることを見抜いていた。
彼の眼差しには、過去を背負いながらも戦わざるを得ないという苦悩が色濃くにじんでいる。
「お前らがやろうとしているのは、未来を切り裂くことだ。これからの時代を歩む世代への冒涜だ」
シグルの言葉は、血のように冷たく群衆の心に突き刺さった。
その沈黙の中、シグルの視界にふとリュウジの顔が浮かんだ。
その瞳には、決して目を逸らさない意志とともに、空虚さが漂っている。
シグルは一瞬、彼を見つめるが、リュウジはじっとその視線を受け止めていた。
その背中にはかつての憧れと怒りがにじみ出ている。
シグルはゆっくりと足を進め、冷めた目で群衆を睨みつける。
「“死神”と呼ばれようと、俺はただの機関者だ。機関者の役目は人を運び、物資を届ける、それだけの事だ」
その言葉は再び広場に響き渡る。
アカリやセイジが後ろで待ち、彼らの反応を感じ取るものの、シグルは一歩も引かなかった。
今ここで、誰かが動かなければ、この静寂も、破壊も、何も変わらないのだ。
「リュウジ、話をしよう。あの日の続きを」
その言葉は、広場を支配する沈黙を破り、戦場の中に一瞬の静けさをもたらす。
シグルの目には、過去の決着をつける覚悟が込められていた。




