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魔石狂いのサーシャ〜嫌われ令嬢の幸せ結婚生活〜  作者: ゆりたこっぺ


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幕間:レヴィンストレッド元男爵への尋問

私は決まっていた日取り、いつもの時間、いつもの場所にノックをして入った。


「メテオラか。入っていいぞ。」


扉を開けると、


お父様に与えた小屋は相変わらず、魔石で埋め尽くされていた。



もっともこの魔石達は人工魔石機で作ったものであり、


同じようなものはごまんとあるため、そこまでの価値はないものだ。


お父様は娘である私の顔を見ない。


私は立ったまま、いつも通り、父に問う。


「どうしてお母様から、アカシャ草を取り上げたの」


「あの時は事業を大きくする時にした借金を、


早急に返せねばならなかったからだ」


私は、怒りがこみ上げてくる。

お父様の都合のせいで、お母様は死んだんだ。


「どうしてサーシャをあんなに働かせたの」


「レヴィンストレッド商会の技術者10人分の労働力と技術が、あいつにはあったからだ。


おかげで費用はだいぶ浮いた」


ふさげるな。

サーシャがどれだけ働かされたと思ってる。

1日3時間しか眠らせない日もあって、食事も1回しか出さない時もあったくせに。


「どうして人工魔石機を買ったの」


「あれがあれば、サーシャはいらないからだ。


サーシャとはいえ、不眠不休では働けない。


だが人工魔石機はその点、機械なだけあって、ずっと働ける。」


「それで商会も家も潰れたわけだけど。


その時考えなかったの?


レヴィンストレッド商会の魔宝石や人工魔石が売れていたのは、


クリスティル家の生き残りが作ったという価値があったから、売れたのよ。」


「……いずれ時代とともにクリスティル家は忘れ去られる。


だが新しい時代の人工魔石を先行して売れば、もっと商会のためになると思ったんだ」


この人は何を言っているんだろう。


サーシャはお父様の無茶な仕事量をこなし、過労でフラフラになっても、


奥様には恩があるからと、私の魔宝石剣の鍛錬に付き合ってくれたんだ。


私達レヴィンストレッド家は、サーシャがいたから成り立っていたようなものなのに。



「で?結果は皆、パークラック社に同じようなこと吹き込まれて、


大量に新しい時代の人工魔石とやらが流通、価値がなくなったんだけど?」


「……もう少し様子を見ればよかったとは思っている。


こうなると分かっていれば、サーシャを手放したりしなかった」


そんなこと、今さら言っても遅い。


それに、初めからサーシャは16になったらストーンウォール家で働けるよう、お母様が先方の奥様と約束していた。


お父様が何をしても、それはどうにもならなかった。


……さすがに次男への嫁入りは、向こうの奥様が勝手に決めたようだけど。


「メテオラよ、私を随分と馬鹿にしているようだが、魔宝石剣を扱えるのは誰のおかげだと思っている。


お前はそれがなかったら、商売敵といえどダーリーズ子爵の妻になど、なれなかったのだぞ。」


「はいはい、先代当主とお母様、サーシャとお父様のお金のおかげ。


ま、家が傾くほど使っちゃったけど」


「違う。

全て私のおかげだ。

あの魔宝石剣を、お前の前に誰が使っていたと思っている。


私の姉だ。

たしかにお前は先代からあの魔宝石剣を譲り受けた。


だがサーシャを引き取らなかったら、お前は使い方すら分からなかっただろう。


サーシャは母が魔宝石剣の使い手だったから、扱い方も手入れの仕方も知っていたのだ。」


それは初耳だった。

たしかに先代は私に魔宝石剣を稽古をしている時に、叔母様の名前を出して、


自分に何かあった時には、聞くといいとは言っていた。


先代が亡くなったのは、ちょうどクリスティル家の事件があった1ヶ月後。


サーシャに魔宝石剣について話したら、稽古に付き合ってくれたのだ。


「そうね。


それには十分に感謝はするけど、私はお母様やサーシャにした仕打ちを忘れない。


お父様は、先代すら知らなかった家の地下で、


たまたま魔石を大量に発掘して商売したことで、何か勘違いしちゃったのよ。


男爵になっちゃった上に、自分の姉がクリスティル家に嫁入りしたものだから、なおさら。


これは、報いよ」


私の言葉を聞くと、お父様はフレスコ画でまたお母様を描き始めた。


カンカンカン、とトンカチで石を砕く音が響く。


様々な色の魔石達は、光が当たると反射に輝きを放つ。


お母様の目の辺りの魔石は、反射と輝きで泣いているようにも見えた。


「ダーリーズ商会がレヴィンストレッド商会を吸収したけど、


まだ、商会長だったお父様に聞き出したいことは旦那様にはあるみたいよ。


それまでのお父様の分の食い扶持は、私が旦那様の依頼を受けて支払っていくわ」


お父様は何も言わなかった。

私はそのまま、お父様の小屋から出て行った。


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