3話.遠藤サヤカは届けたい
えっと…好きを言葉にできない…っていうのは、苦手…っていうこと?」なんかややこしい言葉を言ってしまった。彼女は首を振って言った。「…苦手じゃなくて…口が開けない…」…そういうことか。トラウマなのか、そういう教育なのか、分からなかったけど、もう少しだけ触れてみることにした。「じゃあ、書くことは出来るの?」「か、書くのは…震えるけど…少しだけ…」…本当にじゃあ呪いみたいなものなんだな。「じゃあさ、少しずつ、練習しようよ」彼女は嬉しそうに頷いていた。
「…」彼女に少しだけ文字を書いて欲しいと頼んでみた。彼女は頷いていたけど、なんの字を書いているか分からないほど震えていた。俺は慌てて止めた。無理をしてまで書いて欲しくなかったから。彼女は悲しそうな顔をしていた。それでも、無理をせず、少しだけ…と思っていた俺は、今日は解散して少しだけ落ち着くことにした。
次の日、彼女は俺に手紙を差し出してきた。手紙を開くと、5文字だけ、震えた文字で書かれていたのは、「好きは数学」
「…えぇ!?!好きな教科数学なの!?」驚いて大声を出してしまった。彼女は驚きながらも頷いてくれて、俺は嬉しくてたまらなかった。「…嬉しいよ、ありがとう」彼女は俺をみて少し固まった後、顔を赤くして教室を出ていった。
少し後、彼女は俺にまた手紙を渡してきた。見ると、内容な好きについて書かれておらず、「放課後 残って 教室」と書かれていた。
俺は放課後に教室に行き、扉を開けると、数学の教科書を持った彼女が立っていた。




