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祓ノ遊行隊(旧作)  作者: かとくら(かず)


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第五話 任命


周りの人はさっきより一層お辞儀を深くした。


 私もそれを真似る。


 すると、一人の足音が近づいてくる。


 その人が椅子に座ったような音が聞こえる。


「表を挙げよ」


 さっきの人とは違う声。


 周りの人が顔を上げるのが見えたため、私も一緒に挙げる。


 前にいるのは、

 豪華であり簡素な服を着た男性。おじいちゃんってほどおじいちゃんじゃなくて、五、六十歳ぐらいかな?


 おそらく――陛下だ。


「只今より、――魔法使い任命の儀――を執り行います。候補者は前へ」


 成林さんが、行けってジェスチャーしてる。


 ……よしっ。後は成林さんに教えてもらった言葉通り発言すれば……。


私は前に出る。


そして、陛下の前で膝をつく。


「……参りました」


「汝、祓霧 澄乃。

 いまだ修練浅く、功績もこれよりの者であると聞く。

 しかし、志ある者を迎え、未来へ導くことも、また務めである」


「ここに、汝を――魔法使い見習い――として任ずる。

 すなわち、魔法の道に歩み入ることを許すものである。

 これよりの鍛錬、怠ることなきよう励むがよい」


 私の身長より大きい杖を渡される。


 いや、どう考えても任命式(?)で渡される杖じゃないって!


 ……お、重い……


「これを、汝の魔法使いとしての証として授ける」


「……謹んで拝受いたします」


 私は立ち上がり、後ろを向いて、宣言の言葉を言う。


「祓霧 澄乃、

 この日より、魔法の道に励み、力を正しく使うことを誓います」


 私は前の人たちに向かって宣言した。


「道は始まったばかりである。

 つまずくこともあろう。しかし、歩みを止めぬ限り、道は続く。

 心を磨き、力を正しく学び、世の光となれ」


 陛下に言葉を貰う。


「以上をもちまして――魔法使い任命の儀――を閉じます」


 ……あれ、杖と一緒に何かを握らされている?


 メモ?


 【儀式が終わり次第、応接室に来なさい】


 呼び出し?なんで?だれが?


 まあ、行くしかないよね。あの場にいた誰かが渡したんだから。



 ―――――――――



 私は、成林さんに適当な理由を言って、応接室に来た。


 ノックをする。


「どうぞ」


「し、失礼します!」


 私は緊張気味に中に入る。


 中に入ると警備の人と、陛下がいた。


 ……知ってたよ。()()()()だもんね。


 この後の展開も、てんぷれ通りだったらいいな〜


「やあ澄乃くん」


陛下が私に声を掛ける。

思っていたより、ずっとフランクな感じで。


「さあ、掛け給え」


「は、はいっ!」


少しだけ……ほんの少しだけ予想はしてたけど、やっぱり緊張する!!

ひ、人見知りが……!!

なんで成林さんにはあんな態度取れたんだろう?

今になって本気で不思議に思う。


私はガチガチになりながら椅子に座った。


「まずは——魔法使い就任、おめでとう」


「もももも、もったいないお言葉っ!」


努力もしてないし、成り行きで魔法使いになっただけなのに!

なんか……申し訳ない!!


「事情は聞いているよ。突然、魔法が使えるようになったそうだね?

 古来より魔法は“遺伝”で継承されるものだが……君はどうやら違うらしい」


陛下が一発置く。


「まあ、それには我々の知らぬ事情があるのだろう。——それは置いておいてだ」


陛下はゆるく肩をすくめ、声の調子を落とす。


「そろそろ警戒を解いてはくれまいか。この場は非公式の場だ。

 礼儀も格式も必要ないし、子どもに礼儀を強制するつもりもない」


ち、違うんです陛下!!

私は無礼を働きたくて固まってるわけじゃなくて、人見知りなだけで……!!

敬語だって()()()()()()()()じゃなくて元からなんです!

敬語使ってないのは……心の中だけです!!


心の中で必死に弁解する。

……もちろん意味はない。


「わ、わかりました。できるだけ、がんばりますっ」


うぅ……できる気がしないぃぃぃ。


 陛下は小さく笑った。威圧感はほとんどないのに、背筋がしゃんとする。


「君のような子が“魔法使い”になるのは、久しぶりだ。

 幼くして任命される者は、だいたい決まった家系の子だからね。

 ……だが、君は違う」


 陛下は湯呑を手に取り、静かに言葉を続けた。


「——祓霧という名字、聞いたことは?」


「は、はい。……そりゃあ、私の名字なので……お母さんも、お父さんも……」


「そうか。まあ、珍しい名だ。

 ……いや、正確には“今では珍しい”といったほうが正しいかな」


 え……?


 私が瞬きをすると、陛下はふっと視線をそらし、冗談めかした声で言った。


「気にするな。昔の話だ。

 私の思い過ごしかもしれないしね」


(思い過ごし……? 今、絶対なにか引っ掛かった言い方してましたよね!?)


 心の中でツッコミを入れつつ黙っていると、

 陛下は急にまっすぐ私を見つめた。


「澄乃君。

 ——君の魔法は、世界の均衡を変える可能性がある」


「ひゃっ……!」


 急に重たいことを言わないでほしい!


「落ち着いていい。恐がらせたいわけではないんだ。

 ただ、報告書にはこう書かれていた。“魔力の源が不明。遺伝の痕跡なし”。

 これは、我々にとっても未知だ」


 未知。

 その言葉に、胸がまた熱くなる。


「だが、それが悪いこととは限らない。

 むしろ“希望”になる可能性のほうが高い」


「き、希望……ですか?」


「そう。魔法は血統に縛られてきた。

 しかし君の存在は“血統に縛られない魔法”の可能性を示した。

 これが本当なら……魔法という力が、もっと多くの人に開かれるかもしれない」


 そんな大それた話、私に言われましてもぉぉぉ……!


 内心で頭を抱える私を見て、陛下は穏やかに笑った。


「澄乃君。緊張しているところ悪いが……最後に一つだけ聞こう。

 ——魔法使いとして、国に協力してくれる気持ちはあるか?」


 背筋がびくっと伸びる。


 国……私が……?


 でも——。


 誰かを助けられるなら。

 孤児院で世話になった早瀬さんも。


 だから。


「……は、はい。

 微力でも……が、がんばって……やってみたいです」


 噛んだ。

 死ぬほど噛んだ。


 でも陛下は満足げにうなずいた。


「うん、それで十分だ。

 無理をする必要はない。君はまだ子どもだ。

 だが、“守りたい”と願える者の魔法は、強い」


「まずは、悠臣・紗夜・結弦ら仲間とよく相談しながら動くといい。

 命令がなければ自由に除霊の旅をして構わん」


「は、はいっ!」


 その、悠臣、紗夜、結弦っていう人は知らないけど。


 陛下は立ち上がり、私に向かって優しく微笑んだ。


「——祓霧澄乃。

 君の旅が、良い風を呼ぶことを祈っているよ」



 ―――――――――



 澄乃が部屋を出たあとに、陛下は小さくため息をついた。


「ふぅ……まさか、祓霧家に生き残りがいたとはな」


陛下の向かいに立っている男が応える。


「ええ。全くです。祓霧家は数百年前に断絶したという話でしたが」


「ああ。原因不明で、今も解明できない日本の裏の謎の一つ、伝統ある魔法使い一家で起こった殺人事件。一族は全滅。本家はもちろん、分家もやられたとか」


「現代ではもう残っていないと思われていた、降霊浄化の魔法を使える唯一の家系です。彼女は、かなりの重要人物ですよ」


「当たり前だ。丁重に保護しないといけないが、この国にそれをできる余裕はない。すでに各地で霊災が多発している。他の魔法使いが対処しているが、このままでは持たないだろう」


「だから、保護対象の祓霧澄乃を何としてでも任務に向かわせないといけないのですね」


「ああ、この国の全ては、祓霧澄乃にかかっているんだ。できる限りの支援をしてやろう」



 ―――――――――



 私は、成林さんに案内されて、例の悠臣さん。紗夜さん。結弦さんと初顔合わせをすることになった。


 陛下によると、これから私と旅を一緒にする人たちらしい。


 旅自体もさっき聞いたばかりだし、不安もあるけど、

 その仲間の人たちが悪い人じゃないといいな。

俺こんな文かけたんだ。へぇ〜

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