第四話 開発
私は成林さんと合流した。
「では出発しましょうか」
私は渋々頷く。
まだこの状況に納得できていないからだ。
早瀬さんに見送ってもらったけど、やっぱり不安が残る。
けど、挑戦したいっていう気持ちもある。
「なにで東京に行くんですか?」
「本当なら、新幹線がよかったのですが、そんな急に予約席は取れなくてですね。なので、車で行きます」
予約席じゃなくてもよくないか、と思ったが、黙る。
私はまだ成林さんを信用できてるわけじゃない。
そんな簡単に人を信用したくない。
「では、こちらへどうぞ」
私は車に案内された。
「準備は大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
「では!しゅっぱーつ!」
なんか成林さんだけ盛り上がってるよ。
私は成林さんのテンションについていけなかった。
―――――――――
車の中。
私は、あの魔法の詠唱を、省略できないかなって、色々調べてるんだけど、ネットには魔法の情報なんて、ファンタジーの中にしかなくて、めぼしい情報はなかった。
だから自分で試してみることにした。
「魔法展開」
魔法陣を展開する。
目を瞑り、魔法を発動する時に感じたあの感覚を思い出す。
こんな感じかな。
《光癒》
目を開けると、手に光の粒子がまとわりついていた。
これは……成功なんだろうか。
試しに、反対の手で少しだけ傷をつける。
光の粒子を傷に近づけると、あっという間に治った。
私は、多分詠唱省略を身につけた。
……ほかの魔法って習得できないのかな。
例えば、詠唱を変えてみるとか?
「魔法展開」
私は魔法陣を展開させる。
中二病みたいな言葉を並べてみよう。
「祓い清める光よ……光の律に従い、世を解き、全ての神仏に願う。魂よ、輪廻の輪に還りなさい!」
《天ノ浄環、第一式―――光葬》
すると、車の中が光り輝く。発動しちゃった。
……一応、浄化のイメージでやってみたんだけど、大丈夫だよね?
光が収まったが、特に何も起こらなかった。
「すすすす澄乃さん!今何をしたんですか?!」
あっ、この感じ怒ってない。興奮してるやつだ。
「……浄化のイメージで、中二病みたいな言葉を並べてみたら、できちゃいました」
「そんな簡単に……」
なんか、成林さんが呆れてる?
「ところで、今澄乃さんが使えるのは、天ノ上環と、天癒環の二つですね?」
「おそらくそうなります」
ぶっちゃけ、自分でもよくわかっていない。
だって、自分で考えた名前だから。天癒環以外だけど。
うん、我ながらいいネーミングセンスだ!
よし、次の魔法を試してみよう。
「魔法展開」
「風を司る精霊たちよ。天地の理を惑わし、この地に新たな風を靡かせよ」
《風神録・第一式――神懸風来!》
……………………
全くもって何も起こらない。
「えぇ〜?なんで?」
私は出したことのない声を出す。
成林さんは何とも言えない顔をして言った。
「それは、相性でしょうね。澄乃さんは、回復と浄化の相性はあると思われますが、風などの魔法は使えないということですね」
私は少しがっかりした。
せっかく魔法が使えるのなら、攻撃とかしてみたかった。
そんな攻撃対象はこの日本にはいないけど。
「そういえば成林さん。魔法を使うときに、魔法展開というものをする必要ってあるんですか?」
「ありますよ。魔法陣は魔法を簡単に発動させることができるというところと、上級魔法を扱うためのものですね。下級魔法は、仕組みを理解できれば、詠唱無し、魔法陣無しで発動できます」
つまり、天癒環第一式はもう使いこなせてるってことだね。
「ですが、魔法展開をして、詠唱をすれば、威力が格段に上がります」
よくあるファンタジーものと仕組みは変わってなさそう。
「私はまだ、第一式しか使えないってことですね」
「そういうことですね。練習したら、第一式以降の魔法も使えるようになりますよ!」
「……おそらく、澄乃さんの属性は浄化と回復です。ですので、それにちなんだ仕事が与えられるはずです」
いつの間に私は仕事をする流れになったのだろう。
魔法省で色々されるだけじゃないの?
―――――――――
数時間の旅を経て、ようやく東京に着いた。
東京なんて、人生で初めてだ。
しばらく景色を楽しんでいると、魔法省本部のある場所にたどり着いた。
なんか、昔の建物みたいな上品な建物だ。
私は中に案内される。
神殿のような場所に着く。
なんか少しファンタジーっぽい場所に来たな。
ここで能力とか調べられそう。
そんなことを考えていたら、神殿は通り過ぎていた。
……なんでここ連れてきたの?
―――――――――
ついた場所は、解放的な場所に水晶が神秘的な台に乗っていた。
「これは、魔法適性と、属性を知ることができる装置です」
やっぱり!ちょっと楽しみ。
……だいたい想像できるけど……。
「さわればいいんですか?」
「はい、では、いつでもどうぞ」
成林さんがgoサインを出したので、遠慮なく触る。
すると、水晶から眩い光が溢れ出した。
私の近くに、パネルが一つ浮かび上がる。
本当に、非現実みたい……
そのパネルには、魔法の種類と相性が載っていた。
【回復:72/100】
【浄化:97/100】
【水:8/100】
【火:0/100】
【風:0/100】
【土:0/100】
【光:60/100】
【闇:80/100】
「こ、これは……予想以上に才能がすごいですね……!」
確かに、浄化は凄そうだなとは思ったけど、そんなにすごいのかな?
というか、浄化とか回復とか光とかの属性が高いのに、二番目に高いのが闇って何!?
「では、すぐに儀式をしましょう!」
「え?儀式?」
「さあさあ!」
「え!?ちょっと?!」
私は成林さんに、引きずられて連れて行かれた……
―――――――――
私は今、巫女服のようで、巫女服じゃない、動きやすい服を無理やり着せられた。
そして、私は今さっきより広く、解放的で、左右に直衣を着て座っている人たちに囲まれている場所にいた。
私は混乱していた。
なんでこうなったんだろう。
一応成林さんに言う言葉を色々叩き込まれたけど……。
――「御伏せあれ」
周りの人たちが丁寧な礼をする。
私も一応それを真似る。
「陛下が御臨席なされます」
陛下?今陛下って言った?もしかして……
私は頭を深く下げながら、前をチラ見する。
すごい……!テレビでよく見る人だ。
と言うか、私これからどうなるの?
陛下まで来て……
何かされるの?されないよね?
自分で見てて恥ずかしくなってきた




