表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祓ノ遊行隊(旧作)  作者: かとくら(かず)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/13

第ニ話 覚醒


私の名前は祓霧澄乃。京都の孤児院に住む普通の小学生。


「おはようございます早瀬さん」


「おはよう澄乃ちゃん。もう朝ごはんはできているよ」


朝ごはんを食べ終わり、学校の用意を済ませる。


 「行ってきます」


 「いってらっしゃーい」


 早瀬さんは私の親代わりの人だ。孤児院の先生でかなり小さいころからお世話してもらっている。


 お見送りをされて、気分良く学校に向かう。



 ―――――――――


 

昼休み、いつもラノベばかり見ているけど、今日に限って忘れてきてしまった。


 やらかした。


 仕方なく外の空気を吸おうと校庭に出る。


 校庭では、サッカーをしている男子たちがボールスペースで遊んでいる。

 自由スペースでは下級生のみんなが遊んでいる。


 校庭の真ん中で、サッカー部のボールが勢いよく飛んできた。

 ここまではよくあるんじゃないかな。


 知らないけど。


 だけど、私の近くにいた、一年生の男の子が、ボールにぶつかり、思い切り転んで膝を打ちつける。


「だ、大丈夫!?」


 さすがにここで見捨てるほど人間性は欠けてないよ?


 駆け寄った私は、しゃがみ込んでその子の膝を覗き込む。

 血が滲み、聞いているこっちまで痛くなるような傷。


 その瞬間だった。


 ———声が、響いた。


 誰の声でもない。

 耳元でも、頭の中でもないのに、確かに――響く。


 『魔法展開』


「……っ!?」


 思わず耳を押さえる。

 痛くはない。ただ、震えるように澄んだ言葉が、私の意識を叩く。


 私は無意識にその言葉を紡ぐ。


()()()()


 次の瞬間、胸の奥で何かが弾けた。


 ——ぱん、と光が広がった。

 と、同時に、男の子がいる地面に()()()が広がった。


 自分で出しているとは思えないほど、暖かくて、優しくて……。


「な、なにこれ……!」


 校庭中がざわつき、みんなの視線が一斉に集まる。

 でも私の耳には、再びあの声だけが届いた。


 私はその言葉を復唱する。


「天より授かりし浄の光よ。この世にある理を曲げ、この者の穢れを退け、命の乱れを正せ」


 《天癒環・第一式―――光癒》


 光が傷に触れた瞬間、男の子が目を見開く。


「……痛くない」


 驚いたようにつぶやき、膝の血が引き、傷口がふさがっていく。


「治って……る……?」


 私は息を呑んだ。

 手の震えが止まらない。


 何が起きたのか、自分でも分からない。

 でも、確かに感じた。


 全校生徒が見ている中、私は一人立ち尽くした。



 ―――――――――



 光が収まり、私の手のひらから魔法の気配が消えたころ。

 校庭にいた先生たちが一斉に駆け寄ってきた。


「祓霧さん! いまの……いまのはどういうことなの!?」


「手当ては? 救急セットを——いや、もう治ってる……?」


 騒ぎはすぐ教師間で共有され、私は校長室へ連れて行かれた。

 周囲の視線が集まるたび、心臓がぎゅっと縮こまる。


(……はぁぁ……目立つの苦手なのに……)


 校長は落ち着いた声で言った。


「祓霧さん、驚かせてしまってすまない。しかし、さっきの光は……あなたの身体に何か異常はないかい?」


「い、いえ……とくには……」


 保健室の先生も同席して、ひと通りの検査が行われたが——どこも異常はない。


 けれど、校長の表情は険しいままだった。


「祓霧さん。こういう力について、学校で判断することはできない。

 ……君の力は、国が管理している()()に、とても近い可能性がある」


 緊張が、背筋に氷のように走る。


()()って……」


「魔法だよ。古来から特定の家系にだけ継承される、あの魔法だ」


 息を飲む。


 校長は電話を取り出し、何かの番号にかけた。


「はい……例の件です。ええ、間違いありません。

 回復能力の発現……いえ、詳細は専門家に。はい、至急お願いします」


 数分後、校長が私に向き直る。


「祓霧さん。すぐに担当官が来る」


 …………

 

 しばらくして、ドアがノックされた。


 入ってきたのは、スーツ姿の若い男性だった。

 落ち着いた雰囲気なのに、どこか空気が揺れるような存在感がある。


「初めまして

 私は成林清華。魔法省の人事部支部長です」


「ま、魔法省……?」


 ()()()なんて、聞いたことがない。

 けれど、成林さんは自然に言った。


「ええ。一般には公表されていない部署ですが、存在は事実です。

 先ほど、あなたが発現させた力、あれは明らかに魔法です」


 ドクン、と胸が鳴る。


「既存の魔法使いの()()には存在しない形で、貴方は魔法が覚醒しました。

 魔力の源が、遺伝ではない……前例のないパターン」


「ぜ、前例が、ない……」


 成林さんは小さく笑った。


「貴方の魔法が偶然なのか、それとも何か理由があるのか、それを判断したいのです。どうか、真実を確かめるために、魔法省に来て頂けませんか?」


 校長室の空気が張りつめる。


 私はごくりと喉を鳴らした。


「……わ、わかりました。

 ——その、私……行きます。ちゃんと……調べてもらいます」


 

ご都合主義が過ぎるぜ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ