第一話 始まりの戦闘
この物語は、祓ノ遊行隊をフルリメイクする前に投稿しておこうと思った作品です。フルリメイク版は、現在連載中の暁のエーヴァルシリーズにも関係するような物語となっています。
霧の深い森道は、昼なのに薄暗く、風が揺れるたびに何かが潜んでいる気配がした。
祓霧 澄乃は、ぎゅっと杖を抱えた。
まだ小学生の少女にしては大きすぎる杖だが、これが、自分が任命された「魔法使い」の証だった。
「……ゆ、悠臣さん。や、やっぱり何かいますよね……?」
澄乃は緊張で声が上ずる。
「いる。かなり強い気配だ。澄乃は準備して。俺らが時間を稼ぐ」
陰陽師の賀茂 悠臣は静かに前へ歩いた。
対人戦も対霊戦も一定以上こなせるが、結界と戦闘が得意だ。
対話は苦手で、霊を支配しようとするタイプ。霊に対してのエキスパートだ。
澄乃にとっては、保護者のような落ち着きがあった。
「結弦、いつでもいけるよ」
「了解。後衛の力を見せてやるよ」
霊媒師の霧生 結弦が優しく答える。
彼は霊を見ること、説得に関しては群を抜いているが、戦闘力は高くない。
だからこそ、澄乃の隣で守る役目を担ってくれる。防御力も高くないから、本当に補助的な存在だけど。でも、説得した霊たちに戦ってもらうことができる。悠臣にもらったお札で代わりに結界を張ることができる。
「悠臣!早く結界を張って!見えないと斬れないから!」
朗らかな声で言ったのは武士の少女、斬宮 紗夜。
霊感が弱く、悠臣の結界内でなければ霊の姿が見えない。妖刀使いのため、霊さえ見えれば斬ることができる。
刀の腕だけは誰にも負けない。
それに比べて私は……
魔法使いに任命されたとはいえ、接近戦も対人戦もまったくの苦手。
でも、霊に対する浄化攻撃が、澄乃の担当だった。
だから仲間が時間を稼ぎ、澄乃が強力な魔法で決める。それがメンバーの戦い方だ。
その時──森の奥で黒い影が震え、音もなく膨らんだ。
空気が冷え、鳥が一斉に逃げる。
「来るぞ!」
悠臣が叫び、紗夜が素早く前に踊り出る。
影は人型のようにゆらゆらと揺れ、どす黒い手を伸ばした。
「っ、結界!」
結弦がお札を地面に張り、地面に印を描き、半透明の膜が瞬時に広がる。
結界が張られたことで、紗夜は霊が見えるようになる。
紗夜が前へ出て、霊の攻撃を受け止め始める。
倒すためではなく──時間を稼ぐために。
「澄乃!もう詠唱は始めてるな?放つときに合図してくれ!」
悠臣が叫ぶ。
「は、はいっ!」
小さな足が一歩前に出る。震えていても、逃げない。
「《魔法展開》っ……!」
澄乃が魔法陣を展開し、魔力を練り始める。
それを察知した二人は、後退の準備を始める。
「祓い清める光よ……光の律に従い、世を解き、全ての神仏に願う。魂よ、輪廻の輪に還りなさい!」
「《天ノ浄環、第一式―――――光葬!!》」
澄乃の放った白い光が、仲間の前線を越え、霊の中心を貫いた。
貫いた中心から霊の上下に魔法陣が浮かび上がり、派手な魔法陣が展開される。
もがくように影が揺れ、黒煙がはじける。
その瞬間、時間を稼いでいた三人が同時に後退した。
「さすが澄乃ちゃん!」
「よくやった」
「まさか、あのレベルの悪霊を、第一式で浄化するとは……大した才能だね」
三人の声が、澄乃の震える背中を温かく包む。
──世界で珍しい魔法使い。
戦いは怖い。でも、仲間がいるから前へ進める。
それが、四人の旅の始まりだった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
この作品は過去作のため未熟な点が多いです。
前書きの通り、フルリメイクを執筆中です。
この物語は12話で終わってしまいます。
予想以上に反応が多かったら続きの話を書いていこうと思います。




