Side Zip Off 外伝 #3:渚落玲花(ナギサワ・レイカ)
外伝レイカの物語。 私たちの最後を見てください
Side Zip Off 外伝 #3:渚落玲花
## 3. 再び、目覚める
軽く目を開けた。
まるで一時忘れていた世界が
静かに再び始まるようだった。
体は依然として重く、
痛みは鮮明に残っていたが
何か温かい感触が指先に触れていた。
指切り。
彼女の手が私の手を覆っていた。
柔らかくて温かなぬくもり。
その手に付いて
私がまだ「ここ」にいることを感じた。
少し前までは
雨の中で冷たくなった私だったのに。
沙芽も目を覚ました。
彼女の目が私を見ている。
目は大きく充血していて、
目元には深い跡が残っていた。
彼女は何も言わずに私を抱きしめた。
まるで実体を確かめるように、
指先に、息遣いに、
私の存在を捕らえようとするように。
彼女の髪が肩に流れ落ちた。
その中で微かな震えが感じられた。
声はなかったが、
その響きは体全体に伝わってきた。
怒るように、
でも優しく、
私の胸を拳で叩いた。
力のこもっていない小さな叩きだったが
その感情は鮮やかに伝わった。
憤り。
恐怖。
安堵。
そして、確かにあった愛。
彼女は言葉の代わりに、
息を殺して私を包み込んだ。
唇は固く結ばれていたが
その瞳はあまりにも多くを語っていた。
彼女はずっと私の手を離さなかった。
しっかりと絡んだ指の間から
体温が流れ、
感情が流れていた。
私はそっと
彼女の乱れた髪をかき上げた。
その下に静かに落ちる
熱い涙。
その瞬間、
すべてが「終わっていなかった」と実感した。
死と怒りを越えて
私たちはここにいた。
優しく壊れたこの瞬間、
彼女は泣いていた。
声もなく、
でもあまりにも大きく。
私は何も言わなかった。
むしろ、それが正しい気がした。
彼女は無言で私を抱きしめ、
私は無言で彼女を抱いた。
そして静かに思った。
よかった、本当に。
ケガをしたのが私だから。
---
私の瞳を見た沙芽は
そっと私の顔を手で包んだ。
こぼれ落ちる涙。
震える唇。
そして——
涙に満ちたキス。
すべての感情がひとつに凝縮され
唇で翻訳されたようなキスだった。
唇がそっと重なった。
温かく、
深く、
純粋だった。
沙芽は知っていた。
彼が愚か者だということを。
自分が傷ついても、
誰かを守ろうとする人だということを。
私がいくらもっと強くても、
どんなに安全でも、
彼は同じように私を守っただろうということを。
馬鹿な人。
それを知っているからこそ、
もう一度この想いを伝える。
「あなたは……私のすべてです。」
# 作者の言葉 — レイカ外伝のあとに
多くの人が「悪い女」だと思っていたレイカ。
しかしその裏には、複雑な傷と深い感情が隠されていました。
この外伝を通して、彼女が単なる悪役ではなく、
私たち皆が持つ傷や葛藤を抱えている「複雑な人間」であることを
少しでも理解していただければと思います。
皆さんが感じ、考えるその感情と答えこそが、
最も真実に近い答えなのです。
「罪は憎んでも人は憎むな」という言葉のように、
世界はそのように絡み合い、もつれています。
レイカの物語は本編と深く結びついていますが、
これから続く外伝たちは、もっと軽くて甘いデザートのような物語なので、
気楽に楽しんでいただければ幸いです。
最後に、
この物語が皆さん一人ひとりの人生と心に、
小さな慰めと光となることを心から願っています。
- 作者より
外伝のメインディシも終わりましたね、来週からは気軽に見てください
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