Side Zip Off 外伝 #2:渚落玲花(ナギサワ・レイカ)
Side Zip Off 外伝 #2:渚落玲花
#2 再び、雨の中でレイカが僕たちを見つけた直後
— 僕の視点
クワァン—!
また雷が落ちた。
しかし、本当の問題は…
彼女が持っていた「ナイフ」だった。
僕は唾をゴクリと飲み込んだ。
思考が加速するように続いた。
なんだ…
なんだっけ…
ナイフか…?
ナイフ…?
危ない。
渚落玲花。
彼女は沙芽を刺すように
ナイフを持ってそのまま突進してきた。
その瞬間、
沙芽は警察の家の娘。
僕よりずっと強い。
彼女なら、そのままほったらかしておいたら
十分に止められたかもしれない。
だが…
僕の本能は沙芽の前に背を差し出した。
熱かった。
全身に広がる激痛。
視界がぼやける。
耳が聞こえにくくなる。
「は…ハシド! ハシド!!」
沙芽が
嗚咽まじりにまともに言えずに
僕の名前を呼んでいた。
「11…9…」
私がそう言うと、
沙芽が「あ、」といい、
携帯を取り出すのが見えた。
そして…意識を失った。
ゆらぎにしばし目を開けた。
眩しかった。
天井が、あまりにも明るかった。
明かりが通り過ぎ、
看護師たちが
ベッドの僕を押していくのが
手術室の壁に映って見えた。
また意識を失った。
---
# 事件の後、再び、もう一度。
渚落玲花。
血。
血が見えた。
誰の血だ…?
カミヤ。
彼が床に倒れていた。
僕の手に握られていたナイフが
彼の腰に刺さっていた。
「え…? あれ…?
これ…違う…」
瞳が震えた。
息が荒くなった。
「え…
これが…
違う…?」
現実を知らせるかのように、
カミヤの血が雨にじわじわと広がっていった。
否定しようとするように、
私は気を失って逃げた。
月の光さえ避けた黒くて雨が降る夜、
私は電柱にもたれて
空を見上げた。
これじゃない…
こんなつもりじゃなかった…
涙が出そうだと思った。
だけど…出なかった。
空は残酷にも
僕に涙さえ許さなかった。
ふと、想像してみた。
もし僕が彼を捨てなかったら…
- 今ごろ幸せだっただろうか?
- 普通の恋をしていただろうか?
- まだ隣にいただろうか?
これは、
彼を捨てた僕に下された罰なのか?
…いや。
罰だ。
それで私は、
そう信じたかった。
---
# ぼんやりした意識 ― またあの黒い沼へ
黒く、ぬかるんだ、気持ちの悪い土。
ああ、またあの場所だ。
じめじめした影たちが
僕を底のほうへ引きずり込もうとする。
嫌だ。
もう一度あそこへ行きたくない。
もう沈みたくないと、腕を振った。
だがそれらは僕の意見など気にしなかった。
ますます黒い沼へ引きずり込み、
最後にあがいたその手までも呑み込んだ。
その瞬間、
暖かかった。
何かが僕の手をぎゅっと掴んだ。
小さな金色の光が見えた。
「ああ…」
白い光が差し込んだ。
すぐに目を開けたかったが、
まぶたが重かった。
どうにか目を開けようとすると、
腰に激痛が走った。
「うっ…」
小さく開いた目で、
ぎゅっと握られた暖かい手の方を見ると、
泣き疲れて眠っている沙芽が僕の手を握っていた。
そして巨大な影が僕を守っていた。
警察の制服を着た沙芽のパパだった。
本当に警察官だったんだ。
看護師が来て軽く見て、
痛いところがあれば呼んでくださいと言った。
傷は痛むが…
パパが言った。
事件の近くの路地で
渚落玲花を発見したと。
現行犯で逮捕したと。
僕が目を覚ますのを待っていたと。
「うちの娘を守ってくれてありがとう。」
もう一度頭を下げられた。
パパにはよくあいさつされる気分だ。
あの…
私が手の謝礼をしたら痛みが来て、
私が痛がるとむしろパパが驚いた。
僕が意識を取り戻した後、親が来ようとしたが、
パパは病院に大勢来るのは体に良くないと言い、
沙芽がいると伝えたらしい。
おい、親たちよ。沙芽なら全部OKかよ?
前とずいぶん違うじゃないか!?
そんなぎゅっと握られた手、どれだけ疲れていたか、
看護師もパパが動いても気づかなかったのだろうか。
パパの話によれば、
沙芽は僕を病院に運んだ後、
渚落玲花を殺す勢いだったという。
殺伐とした血筋、小さくなった瞳。
だがパパが横にいるのが先だと言うと、
病院で丸一日、
びくともしないで、
眠りもせずにいたそうだ。
医者の先生が手術はうまくいって回復中だと
安心していいと聞いたとたん
緊張が解けたようにさっき眠りについたという。
涙の跡が目の縁に残っているのを見ると、きっと大変だったのだろう。
再び横になり、
うつぶせで眠る彼女の髪を撫でながら再び眠りについた。
沙芽を守ることができるならこの程度の痛み位だよ。
ここまで読んでくださったすべての方々、ありがとうございました。
あなたの大切な一言をいつも期待しています
貴重な足取りで来てくださったこと自体だけでも感謝します。
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