変態、異世界に降り立つ
斎藤騎士から斎藤王に変更しました。キラキラ味が足りないと思ったので……。
「あれ……? 苦しくない?」
いや、当然か。なにせ転生出来たのなら今の俺は、鯉のはずだからな。……別に適当にOKしたわけではないのだ。
取り敢えず水面に向かって泳いでみる。
「お? おおお! めっちゃ泳げる!」
魚達はこんな気持ちの良いことをやっていたのか! 少し羨ましいくらいだ。
水面に上がると川岸の方から。多分声? なのかな? 何か脳みそに直接聞こえてくる感じだ。
「あっ! あれコウちゃんかな?」
「聞いてみるか、おーい! 幸一かー!」
おー、あれがこっちでのあいつらの姿か。
おそらく斎藤だと思われる方は、茶色の土で出来たジンジャーブレッドマンにも似た、二十センチ程のゴーレム。
大雅だと思われる方は、ゴツゴツした十五センチ程の黒いトカゲ。尻尾の先のアメジストのような結晶がチャーミングだ。
「お前らが斎藤と大雅なら合ってるぞー!」
「ほらね? やっぱりコウちゃんだよ。」
「変態どうし通じるものがあるのか?」
「流石だな、こっちに来ても非生産的とは……。」
「お前にだけは言われたくねぇな。」
「そういえば今の俺の姿ってどんな感じ?」
「真っ白な鯉、すっごい綺麗だよー。」
照れるなぁ。
「あと、目が水色で十五センチくらいだぜ。」
えっ……? 水色……? なにそれ怖い。
「ところで形は? 野生? 養殖?」
「なんだそりゃ?」
「うーん……、この形は野生だね!」
「やったね! ワイルド!」
「てか野生と養殖って違いでもあるのか?」
すると偉そうな声で斎藤が。
「何も知らない無垢な大雅君に、この僕が説明しようじゃあないか。」
「斎藤博士だー! わーい!」
「自分から聞いといてなんだが、なんだこのテンション……。」
「野生のコイは体高が低くて、養殖のコイは体高が高いんだよ。ちなみに運動能力も野生の方が高いんだ。」
「わーい! 斎藤博士、ありがとう!」
「お……おう……、すまねぇな、教えてもらって。」
そんな感じでわちゃわちゃしていると。
『聞こえますか? 聞こえたら返事をしてください。』
と、頭の中に声が響いてきた。頭の中にと言ったが、空から聞こえてくる感じもある、不思議な声だ。
「はーい!」
「聞こえてまーす。」
「聞こえてます!」
上から斎藤、俺、大雅だ。
『……はい。確認が取れました。無事に転生出来たようですね。突然で悪いですが必要事項を伝えます。』
「OKでーす!」
「分かりました。」
「分かりました!」
『まず、今あなた達が喋っている言語は、あなた達の中でしか通じません。間違えてその言葉で人に話しかけたとしても、人にはただの鳴き声にしか聞こえないので注意してください。ただし、あなた達は人の言葉が理解できるようになっているので、言葉をしゃべる機能が付けば普通に人との会話が可能です。』
なるほど、俺達は言語チート付きと。
『次に進化ですが、この世界にはレベルやステータス、スキルなどの概念が有ります。あなた達魔物や魔獣は、特定の条件を満たすことで進化が可能になります。条件はさまざまな物が存在しますけど、"レベルを最大にする"が代表的です。ちなみに、あなた達には、レベルアップやスキルのレベルアップなどに補正がかかっていて通常よりも早いレベルアップが可能になっていますよ。』
成長チートも付いているのか、最高かよ。
『あとは、ステータスの閲覧ですが、自分の状態を知りたいと強く念じる事によって閲覧が可能になります。あと、基本的に本人ではない者がステータス見ることは出来ませんね。』
うん、ここら辺は知らないと普通に詰みそうだ。
『あとは……、そうですね。今から三日間の間は、名前を変えることができますよ。』
「……っ……やっ……。」
声も出ないほどに喜んでる奴がいる、そりゃそうか。
『これで、必要事項は終わりです。それでは、無事に生き抜くことを祈っていますね。』
「やったーー!」
「良かったな……斎藤……。」
「どんな名前にすんだ?」
「もう決めてあるのさ。」
もう決めてあるのか、もしかしたら前世から考えていたのかもな。
「ナイト・コモンビーンだよ。」
「そっちかー」
「どういうことだ?」
「つまり斎藤→菜豆(インゲンマメの別名)→コモンビーン(インゲンマメの英名)ってこと。」
「なるほど、てか王の方を変えねぇのか?」
「僕は考えた、もしかしたら苗字の方が斎藤だから不自然なのではないか? と。ましてやここは異世界だ、もしかしたら君たちの方がキラキラネームかもしれないよ?」
「そういう考え方もあるのか。俺も変えよ。」
「俺ぁ別に変えたくねぇな、性別が変わったわけでもねぇし。……変わってねぇよな……。」
「不安ならこっちに尻を向けるがよい。」
「僕たちが診てあげるよ……。うへへ。」
ジリジリと斎藤……いや、ナイトが大雅に近づいていく。
「おい、やめろ、こっちくんな斎藤。」
「大丈夫痛くないよ、ちょっと膨らみを見るだけだよ。あと、今の僕はナイト・コモンビーンだよ。」
「わかったから! こっちくんなナイト!」
「もう止まらないんだよなぁ……。」
「アッー!」
オスでした、とても立派だった。
「いやー、デカい上に尻尾まで立派とは。イケメンで羨ましいな。」
「トカゲの美醜は尻尾で決まるからね。」
「中身まで……見る必要ねぇじゃん……。」
「知識としては知ってたけど、実際に剥くのは初めてだったなー。」
ちなみにトカゲの男性器は格納式なので、"剥く"というのは単純に露出させただけである。変な勘違いをしないように。
なお、実行犯はナイトだ、ヒレじゃあそんな器用な事は出来ない。
「……あっ閃いた。新しい名前決めたわ。」
「唐突だね。」
「メスなら……もっと遠慮してくれよ……、一応異性になったんだろ……。」
なんか怨嗟の声を上げてるのはほっといて。
「俺の新しい名前は、福田ハヅサだ。」
「いい名前だね! ところでどうしてその名前にしたの?」
「一と幸を無理やり合体させた。」
「ほうほう、無理やりだね!」
「だろ?」
「なんで誇らしげなんだよ。」
おっ、大雅が復活した。
「さてと、大雅も復活したしステータスでも見てみるか。」
「さんせーい。」
「お前らほんと脈絡も見境もねぇな。」
「時にナイトよ。」
「なんだね? ハッちゃん。」
「異世界に来たのなら、やっておかねばならぬモノが有ると思わんかね?」
「お主も厨二よのう……。」
「「せーの」」
「「ステータスオープン!」」
……決まった……。
「なにやってんだよお前ら。」
「良いんだよこういうのは気分なんだから。」
種族:エレキカープ LV1
名前:ハヅサ・フクダ
生命力:5
防御力:4
筋力:4
魔力:6
敏捷:6
器用:1
スキル:発電LV1 電流探知LV1 病毒耐性LV1 自己鑑定
ユニークスキル:雨乞いLV1 成長
発電:魔力を消費し、電気を作ることが出来る。
電流探知:電気を使い、周りの様子を調べられる。
病毒耐性:病気や毒に強くなる。
自己鑑定:この世の殆どの意思ある生命が持っているスキル。自分を調べることができる。
雨乞い:魔力を消費し、雨を降らせることができる。
成長:成長速度が早くなる。
エレキカープ:美しい白色をしたコイの魔物。電気を使い、自衛や狩りを行う。空気呼吸が可能。その白色を求める貴族の手により野生の個体が絶滅しかけている。
なるほどね、姿は鯉で生態はデンキウナギみたいな感じね。
「やっぱり転生したては弱いねー。」
「すまねぇ……。俺……貴族にさらわれるかも知れねぇ……。」
「ハッちゃん……、僕たちズッ友だよ!」
「おう、お前らは成長以外のユニークスキルって有ったか? 俺はスサノヲの加護ってのが有ったんだが。」
「え? なにそれ強そう。僕のは薬物鑑定ってのだったんだけど。」
「え? みんな強そう。俺の雨乞いってヤツだったんだけど。」
「……ほら……干ばつが起きた農村とかに行けば……神様的なものに成れるんじゃあないかな?」
うそ……私のユニークスキル……弱すぎ?




