プロローグ
消え去りし悲しみを(小説が消えた)癒すためのTS
俺達は死んだ、それはもう呆気なく。
確か、最期の記憶は突っ込んでくるトラックだったか、テンプレと言えばテンプレだが、どうせなら幼女一人くらい助けてから死にたかった。まあ幼女は現場にいなかったから良かったのだが。
取り敢えず死んで、今よく分からない白い空間に佇んでいる。
さて、自己紹介をしよう。俺の名前は福田幸一、職業は高校一年生。幸せそうな名前だろ? ちなみに親は両親とも他界して、児童養護施設で暮らしていた。個人的には名前通りの人生ではないと思っている。
まあ不幸せともあまり思わなかったから、まあまあ似合っているのかも知れない。
「あれ、コウちゃんも?」
「お前もか。」
今話しかけてきたこいつは、斎藤王、俺と同じく高校一年生の、児童養護施設育ち。この少しユニーク……というか何故そうなったのか分からない名前からして想像が付くかも知れないが、こいつは親の虐待で施設に来た口だ。
「どうなってるんだろうなコレ。」
「いや、僕に聞かれても……」
「おうおう、集まってんじゃねぇか。」
この口が悪そうなのは加藤大雅、高校二年生。俺らの中では唯一児童養護施設で暮らしてない、まあお母さん的な存在である。ちなみに俺と同じく両親とも他界している。
「全員集合って感じだね……」
「どうする? 助けでも求めるか?」
「そうだな、おーい! 誰か居るかー!」
「居るかー」「居るかー……」と声が虚しく響き、居ないのかと思いかけたその時。
『人の子達よ、私を呼びましたか。』
「え? あっはい。」
綺麗な。としか表現出来ないような金髪蒼目の、正に女神の様な女性が何もない所から、光を集める様にして現れた。
「えっと、まずここは何処なんですか?」
『此処は魂の間、転生する魂達が集う場所です。天国のような場所もありますよ? ちなみに、あなた達には転生のほうをしてもらいます。』
「えっ? それは異世界的なものですか?」
「斎藤……お前適応力高すぎだろ……。大雅とか未だに固まってんぞ。」
『はい、本来は記憶などを消去してから転生させるのですが。あなた達はまだ若く、魂も力に満ち溢れています。しかし、そのまま転生させるわけではありません。最近はすこし人間が増えすぎてしまって……、なのであなた達の言うモンスター転生、という形になります。』
「おい大雅、モンスター転生だってよ、いい加減正気になれ。」
「っは! あぶねぇ、死んだはずの母ちゃんが川の向こうで手を振ってたぜ。」
「僕たちもう死んでる筈なんだけどなあ。」
『仲がよろしいのですね?』
「それは、僕たち親友ですもん。」
「親友とか嬉しいこと言ってくれるなぁ。」
「おう! 俺ら親友だからな!」
『フフッ、本当に仲が良い……、それでは、転生するにあたって、何か望みの種族、能力はありますか? と言っても最初から強い種族にはなれませんが。』
「最初は幸一からで良いぜ。」
「僕も賛成。」
「お前ら……ありがとよ……。」
もう俺は決めてあるんだよなあ。
「TS転生」
『え?』
「TS転生」
『え……と、前例が無いわけではありませんが、モンスターだと人型は難しいですよ?』
「進化的な物は出来るんですよね?」
『あ……はい、戦いの記録とその個体の意思によって進化は決まります。』
「それで美少女または美女目指します。」
『え……はい、分かりました。能力はどうします?』
「電気系で。」
『種族ですが……。』
「竜に進化出来そうな奴とかありますかね。」
『そこはまともなんですね……。ありました、エレキカープ。これなら竜系統に進化できます。』
「じゃあそれでお願いします。」
「流石、コウちゃん……。」
「女神さまをあそこまでドン引きさせるとは……。」
「次はだれだ?」
「あっ僕が行くよー」
「よし、お前の力を見せてみろ。」
「これそういう競技じゃねぇだろ……。」
『はい、次の方。』
「来世は道になりたいと思っています。」
『?……!?』
「誰もを支えられるような、そんな素晴らしい道に。……そしてあわよくば美少女のスカートの中を覗きたい。」
『あ……え……?』
「そんなところです。」
『……はい、あなたの願い聞き入れましょう。ミニソイルゴーレムという種族が良いと思いますがどうでしょうか。』
「それでお願いしまーす。」
「よくやった……!それでこそ紳士だ……!」
「コウちゃん……僕やったよ……ご褒美に美少女に進化したコウちゃんのパンツ……僕に見せてね……。」
「ああっ見せてやる……、ちょっと恥じらいぎみに“俺は男だぞ! 男のパンツ見て何が楽しいんだこのヘンタイ!”とか言いながら見せてやる……。」
「最高かよ……。」
「来世の事こんな簡単に決めていいのかよ……!?」
『えっと……次の方~』
「よし!俺の番だな。」
「頑張れ大雅! お前なら出来る!」
「タッちゃんがんばれー!」
「何をだよ!」
『はい、貴方は何に成りたいですか?』
「取り敢えずあいつらは遠距離攻撃のことを全く考えて無さそうなので遠距離攻撃出来るやつとかですかね。」
『まとも……ですね……。』
「そうですね、あいつらに比べたら殆どの人間はまともですよ。」
『苦労しているのですね……。出ました、クリスタルアガマ。蜥蜴のモンスターです。』
「ところでそのモンスターは何が出来るんですか?」
『尻尾の先から魔力のビームが撃てるみたいです。』
「分かりました、それにします」
「見損なったぞ大雅。」
「タッちゃん……、僕らの事、そんな風に思ってたんだね……。」
「泣くぞ、良いのかお前ら。」
「まあ泣くなって。」
「そうだぞタッちゃん、もう大人なんだから。」
「手のひらくるっくるかよ……。」
そうしてギャーギャー騒いでいると女神さまが。
『皆さん、旅立つ時がやって来ました。』
「おお! 遂にか! テンプレ胸揉みムーヴが出来ないのは残念だが!」
「ようし! 覗くぞー! たくさん覗くぞー!」
「捕まるなよ……。警察……じゃねぇか異世界の警察的ななにかに……。」
『ようこそ地球とは別の世界に、この先あなた達を阻むものもたくさん出てくるでしょう、心が折れそうな時もあるでしょう、しかし、あなた達には仲間がいます。仲間と共にこの世界を生き抜き、そしていつの日か、満足してここに戻ってくる時を私は待っています。』
そして、目の前が光に包まれ……。
「ガボッ……!?溺れる!」
水の中に転生したのだった。




