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自己否定する年上美少女の正体を知らずに全力で肯定していたら、いつの間にか外堀を埋められていた  作者: じゅうぜん


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第17話 大学見学の日

「ということで、今度紗夜さんの大学に行くことになりました」

「うちの大学にしたんだ」


 決まった直後、その日のバイトで雑談ついでに紗夜さんにも伝えた。

 学校で行われる大学見学のイベント。

 きっと先生たちも、この辺りの機会を経て受験へ意識を切り替えてほしいという狙いがあるのだろう。


「どんなことするか決まってるの?」

「大学によるみたいですけど……例年だと学生のボランティアが案内してくれるって聞きました」

「へー、そうなんだね」


 紗夜さんも初めて知ったような声を出している。

 大学に通っていると言ったって、高校生の受け入れが全生徒が知れ渡っているわけではないのだろう。


「浅海くんはどうしてうちの大学にしたの?」


 ふと、紗夜さんがそんなことを尋ねてくる。

 いつも通り質問にすぐ答えようとしてから……ちょっと言いづらい理由があったなと思いだす。


(ヒモになりそうで危機感を覚えたから……とは言えない)


「興味があったので……」

「ふーん?」


 ぼかして言うと、紗夜さんは首を捻った。

 あんまり追及される前に話を進めよう。


「もしかしたら紗夜さんが授業……講義? してる所も見学するかもしれないですね。一週間後なんですけど」

「一週間後なんだ。うん、たしかに私も一応学校にはいる……」


 とそこで急に不自然に言葉が止まった。


「紗夜さん?」

「あっ、ごめんね」


 なぜか紗夜さんはそれから考えごとをしてるように上の空になってしまった。


「どうかしたんですか?」

「ううん、平気だよ。一週間後かぁ……と思っただけで……」


 何か小説のアイデアでも思いついたんだろうか。


 それからは特に大学見学の事は話さず、仕事に集中するのだった。



 ◇



 一週間後。

 大学見学の日がやってくる。


 今日は学年で三つのグループに分かれて、団体で大学を見学する。

 一度学校に集まってから、それぞれ電車に乗って移動していた。


 隣に座った蓮司がスマホを眺めながら口を開く。


「東央大は面白そうだなー。遊太もじゃんけん勝ててよかったね」

「そうだなぁ」


 蓮司もじゃんけんに勝って東央大の見学に決まっていた。

 成績もいいので、普通に受験先で東央大は候補に入っているだろう。


 そんな蓮司が、急に変な顔で俺の装備に目を向ける。


「……で、その荷物はなに?」

「え?」

「……大学見学するのに山登るみたいなリュックいらなくない?」


 たしかに俺はアウトドア用のリュックを背負い、首にはカメラも提げている。


 リュックには話を録音するためのICレコーダーやメモを取るためのノート、いざという時のモバイルバッテリーや栄養補給用の非常食など万全の準備を整えていた。


「せっかくの機会を無駄にしたくないから」

「限度ってあるでしょ」


 そんなことを言われても。


「というか、蓮司は逆に少なすぎない?」


 持ってるのはスマホと財布だけ。蓮司はほとんど手ぶらである。


「いやぁだいたいそんなもんでしょ」

「そんなもんかなぁ……」

「気合入れすぎて感覚バグってない?」


 たしかに一緒に見学する周りの生徒は、だいたいあまり荷物は持ってない。

 でもいいのだ。俺が勝手に気合を入れてるだけである。


「遊太のリュック他には何入ってるの?」

「飴とか」

「うわぁおばあちゃんみたい」


 なんて話をしている内に東央大に辿り着いた。

 正門前で付き添いの先生が何やら大学生と話している。

 横から蓮司が耳打ちしてきた。


「ガイドの人、けっこういるね」

「そっか。あの人たちが案内してくれるのか」

「みたいだね。ボランティアの学生が案内してくれるって言ってたし」


 今日の大学見学は、東央大の人が何組かに分けて案内してくれるらしい。

 ボランティアを募っているので失礼のないように、と先生には言われていた。


 カメラの様子を確かめながら待っていたら、急に興奮したように蓮司が肩を叩いてきた。


「うわ、見てよ遊太。あそこの人めっちゃ美人だよ」

「ん?」


 蓮司がそこまで言うなんて珍しい。

 女子に人気の蓮司だが、普段はあまり女性に興味を見せないのだ。

 そこまで言わせるなんてどんな人なんだろう……と振り返った先を見て固まる。


「……えっ」

「和風美人って感じだね。大学ってあんな美人いるんだなー」


 呑気な蓮司の声をよそに、俺の目はガイドの学生に並んでる一人の女性に吸い寄せられていた。


「……さ、紗夜さん?」


 こっちに気づいた紗夜さんが、はにかみながら小さく手を振ってきた。

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