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不器用でコミュ障なJK、異世界を救う 〜〜RPGみたいな勇者にはなれません〜〜  作者: 大山小水


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6/10

第六話 小柄な女性キャラがでっかい斧を振り回すアンバランスさ。あれっていいと思わない? いや、思うよねっ!(圧)

『それじゃあ、近くの村に行くわよ』


 朝の食事を食べた私に対してヴァインタはそう告げた。


『村に行くにあたって、少し狩りをしてからの方がいいわね』


 村人の友好度を上げるためか。


『少し大きめの獲物を持っていくと、村で喜ばれるわね。そして、強いやつを倒すと力の証明みたいになるからなお望ましいわね』


 力の信頼も獲得するやつか。力の面で信頼を勝ち取ると、少し実力者向けのクエストが受注できるようになったり、武勇に合わせた噂が流れたりするRPGもあったりしたよなぁ。


『というわけで今日はいのししを狩るわよ』


 ……そりゃ、無理だ。姐さん。(三下風)


 真っ直ぐ突進してきて、日本でも毎年何十人と怪我をしているあいつを?


 剣を振るっても私の力じゃ仕留める前に、仕留められてしまう。


 弓矢で遠くからちまちまやっても絶対接近されて終わる。


 いのししは無理だ。


『とは言っても今のあなたじゃ、いのししを狩れそうにもないことはちゃんとわかっているわ』


 そうだよ、ヴァインタ。だから諦めて別の獲物にしよ『だからこれを使うわ』


 たったらたったっ・たったらたったっ・た〜。(◯次元から秘密道具を出す時みたいな効果音)


『バトルアックスよ』


 何も解決していません。


『とりあえず、訓練するわよ』


 一日の訓練程度でどうにかなったら、そこらへん武闘家だらけになっちゃう、無理、無理だからぁ。(懇願)


────


『まずは斧も剣と同じ感じで私に当てられるようになればいいわ。ただし、今回は搦手はなしね』


 いや、ゲームとかで主人公とかあとは戦士キャラとかにバトルアックスを装備させるのはなかなかロマンだよな。


『それじゃあ、とりあえずスタートよ』


 でもあれってクリティカル率上がるけど、攻撃のヒット率が下がるロマン武器っぽいよね。


『少し動きが小さいわね。斧は大きく振り回してこそ威力を発揮するわ』


 そうそう、溜めの動作をして、一気にズトンと持っていく感じだったっけ。


『いいわね。もう少し勢いに身を任せてもいいわよ』


 あれって男キャラがやってもいいけど、それだとあの斧自体の魅力は完全には発揮されているとは思わない。


『そう、その勢いで振り回しなさい。小柄な体型でもしっかりと力を出せる。素晴らしい武器、それがバトルアックスよ』


 小柄な女性キャラが振り回してこそだ。あのアンバランスさ。キャラボイスとのミスマッチ感。クリティカル時のダメージ表示。あの可憐さに勝るものはない(興奮気味)。


『まあ、とりあえず一回当てられたら、次の訓練に移るから、とりあえず当てられるように頑張りなさい』


 ふふっ。今日の訓練は前回より長くなりそうだなっ(笑顔)。


 う〜ん。でも、最初の訓練であるこれを達成するのも結構難しそうだ。


 当てるだけと思うが、剣よりも動きの一つ一つに溜めの動作が若干入るからどんなにバトルアックスの方が剣よりも剣速が早く、攻撃が重いとしても、容易に攻撃の軌道が読まれてしまう。


 だからといって、途中で攻撃の軌道を変えようとすると、かなり力かけないといけないし、下手すれば自分も巻き込みかねない。


 いや、当てる瞬間少しだけ自分の体を後ろに下に引いてやれば途中の斧のスピードを上げることができるし、自分の身の安全を確保できるか?


 確かに回転の軌道と物体の速度を考えると角運動量保存則を用いれば、確かに正しそうだ。けれど、少し手前に早く振り下ろせたとて、相手は左右、または後ろに回避していて、相手が前に突進してくることはないから意味がない。


 ヴァインタは笑顔で回避を続けている。


 特に私に注意やアドバイスをしてこない。


 多分、これ私が考えつくまで笑顔なパターンだ。


 …………やばい、手立てが思いつかない。


 とりあえず振り回しながら、ヴァインタの行動を制限しようとしても、こちらの手を読まれてなかなか決まらない。


 剣の時はツーテンポほど足りなかったのが、バトルアックスだとフォーテンポほど遅れている感じがする。


 溜めの軌道を容易に読まれるというだけで、こんなに変わってくるのかなぁ。だって、振り回すスピードとか合わせればトントンな感じもするけれど……。


 そこでふと私は思い出した。日本で有名だったスマホの容量を非常に圧迫したゲームアプリのキャラのことを思い出した。


 例のキャラは『巨斧旋回・裂空(ギガ・サイクロン)』という技を繰り出した。名前からもわかるかもしれないが、簡単に説明すれば、斧を振り回しながら相手に近づいて何度も切りつける攻撃だ。


 その中に風のモーションがあることは今回のことには関係なくて、いま重要なのはそれが多段階ヒット技だったということだ。


 多段階ヒットは攻撃を一つの攻撃のうちに相手に反撃の隙を与えずに何度も攻撃を叩きつけることだ。


 手数は力だ。


 故に、たとえ相手が何度か盾で防いだり、回避をしたりしても一回か二回ほどは当たるのだ。


 回避型には多段階ヒットか範囲攻撃だと相場が決まっているものだ。


 そしていまのヴァインタは回避型の敵だと思えば、多段階ヒットの攻撃の方が理にかなっていそうだ。


 しかし、どうやって『巨斧旋回・裂空(ギガ・サイクロン)』のように回転しながら攻撃するか……。


 普通に振り回して回転して近づいていっても、おそらくヴァインタは後ろに逃げるだろう。


 そういえば、ヴァインタはこの戦いの時には宙に向かって飛んでいくことはない。おそらく、しっかりと攻撃できるようにするためだろう。


 ということは、きっとどこか攻略できるようになっているはずだ。


 でも、さっきから流れの中で土を蹴り上げたり、斧で土を噴き上げたりしているが、ヴァインタの動きを止められているかと言ったら違うだろう。


 そういえば、なんか有名なキャラが言っていた気がする。『戦場全体をよく見ろ。そこらへんに武器が落ちている』って。多分こんな感じだったと思う。


 改めてここら辺を見てみる。


 地面には土や石ころ。木の根っこには若干のキノコやら薬草やらと苔類。そして葉っぱをつけている枝。


 これらの中で、すでに地面にあるものは使っている。


 そして、木の根っこにあるキノコ類は確かに毒があるものもちゃんと生えているみたいだが、精霊に効くかどうかはわからないので保留。


 そして残る枝は……、使えそうだな。


 あの木が良さそうだ。2.5メートルほどのところから大きな枝が分かれているやつ。


 目測で大体5、6メートルほど横に向かって伸びているから、大体目測でこんな感じか。


 位置取りは……もう少しだけ、私の左後ろにその木の枝分かれの部分がこっちくるように……っと、よしっ。


 それじゃあ、追い詰める作業へといきましょうか。


 ヴァインタに攻撃する振りをして私は一目散にその木へと向かった。


『へぇ、何か策ありってところね。なら少し距離を取らせてもらおうかしら』


 残念ながらそこは攻撃範囲だ。


 木に向かって、一歩二歩と駆け上がり、枝に向かって斧を振り上げ、断ち切る。


 ヴァインタは、それを見て、右へと体を回避(・・)させた。


 私も木を登ったそのままの足で、右へとジャンプし、胴体から突っ込みそうな時に、斧と一緒にぐるりと体を回転させ、足から着地──やばっ、斧が自分に降ってくる──するとともに、全力で斧を前へ振り下ろした。


『いいんじゃない、なかなかいい作戦だったわね。でも、私には当てられていないわよ』


 目的は別にある。


 今こそっ。


「…っ『巨斧旋回・裂空(ギガ・サイクロン)』っ…もどきっ……」


 回転しながら、どんどんヴァインタへと近づいていく。


 ヴァインタは逃げようにも逃げ場はない。


 前には斧が、後ろには枝が回避の邪魔をしている。


 斧を回転させながら振り回し、間合いを詰め、その瞬間──私は一気に斧を自分の側へと引き込み、斧は速度を増す──そして、しっかりとヴァインタに当たった。


 勝ったどぉ〜。(心の中で勝鬨を上げる声)


『うーん、やるわね。確かに上に逃げることを縛りにしていたけど、こんなにしっかり追い詰められちゃうなんてね』


 あ、ヴァインタを思いっきり上下真っ二つに切ってしまった。やばい。私の旅の案内人が。


『あ〜、気にしなくていいわよ。精霊は肉体的には死ぬことがないから』


 ヴァインタは切られた箇所から逆再生のようにその体を繋げた。


『こうやって簡単に修復できちゃうからね。でも、一瞬でシラホの顔が勝ち誇った顔から焦った顔に変わってしまうなんてね。シラホは私のことを愛しているんだっけ?』


 いや、あれは作戦のうちっていうか…。


『まあ、最初の訓練は出来たし、次に行こうかしら』


 あ、いや、いのししには勝てないです。無理です。


『安心しなさい。まだいのしし狩りには行かないから』


 ふぅ。(安堵の息)


 私はヴァインタに連れられて、歩き始めた。


────


 そして続いてやってきたのは先ほどよりも足場の悪い山の斜面。


 しっかりと踏ん張っていないと、滑り落ちてしまいそうだ。


 落ち葉が溜まっていて、歩くたびにザクザクと音が鳴る。


『ここね』


 山の斜面でヴァインタが立ち止まり、私の方を振り返った。


『それじゃあ、これから少し大きい敵に対して、戦ってもらうわよ』


 ラウンドツー……。


────


 ヴァインタは木の上へとふよふよと浮いていき、遠くからカサ、カサと大型のなにか(・・・)が落ち葉を踏み鳴らす音がする。


 カサ、カサと一定のリズムで近づいていき、木々の間からその体躯の端々が現れる。


 その一部はゴツゴツとした岩を身に纏っていた。


 それには足が4本生えていた。


 その瞳にはおおよそ生物とは思えないほど輝きがなかった。


 その大きさは縦に2メートルほどであった。


 そうそれは……。


『ゴーレムよ』


 ……明らかに序盤で(というか異世界三日目で)出会うレベルの敵ではない。


『それは私が対大型戦を経験できるように作ったのよ』


 これ、RPGだったら中盤ぐらいの敵の大きさじゃん。


『とりあえず、それが動けなくなるまで(・・・・・・・・)戦闘してもらうわ』


 ほ〜う、動かなくなるまで(・・・・・・・・)ねぇ。


『それじゃあ、用意。始め』


 とりあえず、私は真っ先に先手を取るために駆け出し、その右横っ腹に向かって思いっきり叩きつける──硬い。


 それを受けて敵も思いっきり体で押し潰そうとしてきて、私は一回距離を取り、間が通れなさそうになっている木々の後ろに隠れた。


 いや、体に少しも斧が食い込みそうになかったんですけど。どうするの?


 そう考えている間にも、ゴーレムはこちらに向かってき──振動──やばっ、木にぶつかって、へし折ろうとしている? 少し周り道をしてくれると思ったら直進して突き進もうとするとか脳筋かよ。


 改めて二回目の距離を取ろうとしているので、その木々から抜け、さらに距離を稼ぐ。


 明らかに分が悪いな。こちらに攻撃手段がない、そして近づいたら押し潰されるだけでやられる。ヴァインタとの戦いとは状況が違いすぎる。


 私はなんとか打開策を探そうと走り続けるが、先ほどと違って上手に巻くことに頭を使わなければならず、なかなか手詰まりな状況にあった。

ちょっと長くなりそうなので分割します。


スマホゲームの話は創作です。筆者自身はプレイしたことはないですが、友達がプレイしているのを見せてもらったりしたのをなんとなく想像しながら書いています。ちょっとそこらへんの話にツッコミどころがあったとしたら、笑顔でスルーするか、感想欄でコソっと教えてください。(密かに修正されるかも……)

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