Day5-8 声の主
「仙煌!」
何が起きた?体が液状化するはずの仙煌が吹き飛ばされて、そして謎の爆発が直撃?
〈あー……あー……聞こえてっか?リミヤ〉
「お前は……あの時の」
3日前――僕に無茶な頼み事をしてきた、あの謎の声だった。
〈あーそうだ。今から2つ重要な事を言うから、よく聞いとけ。まず1つ目〉
声は、僕の返答を待たずして続ける。
〈今の爆発は、俺が起こした〉
……は?
「何のために」
〈何のためにって言ってくるだろうから伝えとく。あのままだとGradeがまた上がることになっていたんだ。安心しろ、絶対に死んじゃいねえ〉
回答を先回りされた。おまけに、気になっていたダメージのことまで、ご丁寧に説明された。
〈で、2つ目。俺は今からお前にセンコウを引き渡すつもりなんだが、その過程でお前は一切驚かないで欲しい〉
「驚くな、だと?」
〈ああ。なにぶん特殊な身体でな。分かりやすく言えば敵っぽいんだよ〉
「敵……」
〈そうだ。だから事情を一切知らないセンコウに俺の姿を見られた場合、最悪Gradeを上げて殴ってくる可能性がある。だから、起こさないように、驚くな…………というか、でかい音を立てないで欲しい〉
「わ、分かった」
〈んじゃ、行くぞ〉
爆発音が宙で轟き、声の主であろう人物が近付いてくるのが分かる。
瞬きした瞬間に大きな着地音が響き、視界が砂ぼこりに覆われていた。大きな音を出すなと言ったのに、なぜ自分から音を出しに行くのか。せめて減速しろ。
「…………顔を合わすのは初だな」
視界が晴れたところで、彼の全身が見えた。
高身長で、端正な顔立ちをしている。服装は半袖パーカー、左腕に01と、よく見ると左目にも書いてある。初◯ミクと上◯の鬼のキメラか?
しかし最も奇妙なのは右腕である。腕が腕の形を為していない。無数の肉塊のようなもので腕の形が構成されており、しかもそれら同士は一体ではない。一つ一つが独立したまま、ゆっくりと腕全体が回転していた。
構成…………というよりは、再現というべきだろうか。集まることで、腕に見えている。
「どうした?俺の腕が何か…………ああ、そういうことか」
どうやら目線で気付かれたらしい。
「……まぁ、こいつの話はおいおいしてやる。さっさとアレを殺さねえと――」
彼が巨神鬼にフォーカスした刹那、上へと吹き飛んだ。僕の目の前には、いつの間にか意識を覚ました仙煌が。
恐らく左腕で抱えられていた仙煌がまず顎を殴り、男が手を離した瞬間に抜け出したのだ。
「ぶっ」
「理宮を……唆したな……?」
「違っ……仙煌!」
「チッ、面倒くせえ事になっちまった。目的は同じだってのによ」
男は手から爆発を起こして逃走。仙煌がそれを追うようにして水を噴射する。
数時間前、仙煌と別れたタイミングで見えたオーラ。幻覚かと思ったが違う。今の仙煌は、謎めいたオーラを纏っている。以前よりずっと濃くなった、黒いオーラを。
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