Day1-3 最初の目覚め
明らかに話しかけに来ている。誰なんだ?それとも、ストレスで頭がおかしくなっちゃったか?
〔あー違う違う。ちゃーんと話しかけてる。仙煌にも宿ってるよ、僕みたいなのがさ〕
…思考が読めるのか?というか、なぜ仙煌の名前を知ってる?
〔読めるも何もないよ、そもそも一心同体なんだから〕
謎の声は続ける。
〔僕は君の憑者…謂わば、意思を持った装備品、ってとこかな〕
いい加減集中させてほしい。情報量が多すぎて頭がパンクしそうだ。視覚情報のみならず、脳内からもノイズを出されてはたまったものじゃない。
〔酷い言われようだね…まぁいいさ。観察する必要はないよ、今の君は彼より強いんだから。助けたいと思うなら、むしろ突っ込んで行くべきだよ〕
何を言っているんだ?僕が仙煌より…仙煌、より?
〔そうさ。君は常々言ってただろう?仙煌みたいになれないと。だけど安心してくれ、君は今、僕をはっきりと意識した。つまるところ、装備が完了したんだ。分かるかい?君は―――〕
言われるより前に、僕は走り出していた。
主人公に、なれるのなら。
〔あまり期待しすぎるなよ?彼が同じ力に目覚めたら、その時は〕
いいよ、別に。ほんの一瞬だとしても、僕が仙煌より優れていられるなら。
「理宮?なんで?」
「僕だって…戦えるんだ!」
飛び上がり、鬼の腹部に一撃。
〔良い攻撃だけど、足りないな。もう一度だよ〕
蹴った腹部を利用して三角跳びした直後。体がワープし、蹴る直前の体勢に戻っていたのだ。
〔それが君のウェポン。ああ、ウェポンってのは能力のことなんだけど。位置を記憶し、好きなタイミングで瞬間移動ができる、そういうウェポンだ〕
「…ははっ」
ふざけてる。でもまぁ、フィクションみたいな世界の能力としちゃ当たり前か。
「もう…一発ッ!」
「ΠΞΞΞΞΞΞΞΦ」
悲鳴らしき声を上げながら、力鬼は後退りする。
「す、すごい!どうやって…」
「…」
ほんの僅かな間だけ向けられる羨望を受けて、僕は複雑な心境だった。
じきに仙煌も同じ能力を手にする。一足先に、と言うだけで長続きはしない。間違ってることは分かってる。帰りたいのは間違いない。でも、少しだけ。
帰りたくない、と思ってしまった。
―――
「理宮?」
離れた所で見ていたはずの理宮が、突如として鬼に突撃していった。
「…隠してたのか?」
記憶力以外は平凡そのものだった理宮が。僕と仲良くゲームしてた、あの理宮が。
「…ふふっ…」
僕は、超えられてしまったようだ。
「その身体能力、もっと早くから…待てよ?」
当初、理宮は色鬼から逃げ回ってたはずだ。勇気を出したとも考えられるけど、どう考えても動きのキレが違いすぎる。まさか、理宮…
「僕の知らないうちに、何かを得てたりするのか…?」




