Day1-2 理宮高助
「…作戦に関わってこないとは思ったけど」
三体の残骸を見ながら呟く。
「いつの間にか死んでる、なんてことはあり得るのか?」
ありえるはずない。考えられるのは…
「っ!」
僕とは別の影が地面に映し出された事に気付き、素早く前方に回避。顔を上げて向き合うと、そこには見慣れた顔があった。
「…理宮!?」
「あー、よかった。やっぱ仙煌で合ってたんだな」
理宮高助。特段プレイスキルが高い訳ではないが、抜群の記憶力による覚えゲーが得意。それ以外でもまあ、癖を見抜かれたら結構負ける。
「逃げるぞ…今、僕色鬼に追跡されてるんだ…」
「何言って…は?」
理宮の後ろ、確かに巨大な白い姿が見えていた。対応する色は白、僕は大丈夫だとも思ったのだが、理宮の服は白無地。白無地だ。言い逃れできない。
「ゲーム内じゃ分かんなかったけどさ、服脱いだら判定は消えるの?」
「分からない…一応聞くけど、インナーは何色なんだ?」
「灰色。別判定のはずだから大丈夫だと思うんだけど…」
このキャラはこの色だろ!というような、所謂謎仕様はこのゲームには存在しない。というより、色面積で決まるため、反論のしようが無いのだ。
「どうする?このまま脱いで逃げる?」
なぜか僕の拳は固く握りしめられている。肯定しようとしたが、口が思い通りに動かない。
「…理宮も聴いただろ?脱出にはスコアが必要。色鬼のスコアは、作中でもかなり高い部類に入る。ここでアドバンテージを取っておくのも一つの手だ」
僕は何を言っている?レーザー鬼を倒した今、力鬼以上に強い敵に勝つ手段なんて無いはずなのに…。
「あいつは動きが遅くて近接戦しかできないけど、そのぶん攻撃力が段違いすぎる。でも言い換えれば、パターンさえ読み切れば僕は勝てる」
「仙煌、まさかと思うけど…」
「作戦はもう出来上がってる。理宮は戦わなくていいんだ」
頼む、それ以上言わないでくれ。なぜ、僕の口は理性と相反しているんだ?冷や汗をかきながら、しかし動かない手と動き続ける口に身を委ねるしかない。
「僕が誘導する。理宮は行動パターンを把握して、僕に伝えて。言及されなかったけど、多分攻撃力も少しは上がってるでしょ?色鬼みたいなぶっ壊れ耐久を一般人が倒せるわけないしね」
〜〜〜
「覚えろって言われたって…」
僕は離れた位置から、色鬼を観察する。
ゲームみたいにプログラムで動くならわかるけど、今の鬼は生命を持ってるのと同義。動きにランダム性が強すぎて分かりづらい。
「でも、さっさと判断しないと仙煌の体力が持たない…クソッ」
瞬きすらも放棄して、今は観察に専念しようとした、その時だった。
〔いいねェ、その感じ〕
幻聴のような物が聴こえた直後、目が冴え始めた。
鬼の動きが、いやそれどころか、飛び散る破片まで、視界の全てにおいての動きが手に取るように分かる。
〔ようやく自我が出せたよ。おめでとー、君は一歩を踏み出した〕




