Day1-1力鬼
「…で、スマホの中に吸い込まれたらこの仕打ち?ふざけんじゃねえよ」
悪態をつきながら、僕…理宮高助は舌打ちした。ただ、こうなっても仕方ない問題が発生しているので許してほしい。
「なんで色鬼がここに湧いてくるわけ?しかも…」
キャラクターには「色」というシステムが備わっている。まぁ見た目通りなのだが、基本的にキャラクターはこの色を2色保持している。本来なら無害なこのシステムは、色鬼というチートを以て最悪の仕様へと変貌するのだ。
「鬼の色は白、僕の服は白…なんでここまで間が悪いんだよマジでさぁ…!!!」
上級鬼である色鬼。全ての鬼の中でこいつだけが、一色だが色を所持しており、同色のキャラクターに対してしか攻撃できないものの、その火力は全鬼の中で最強を誇る。
上級の更に上であるアレの一撃必殺即死攻撃を除けば、だけど。
「…こ、こんなとき取る手段は一つだよね…」
踵を返し、僕は一目散に逃げ出した。
「無理無理無理、生き残りゃ良いんだから無闇に挑むバカはいないでしょ!?」
男気もクソもない、でもこれでいい。僕は主人公にはなれないし、あいつの脇役なんだから。
「…頼むからさ、主人公なら…味方キャラの窮地には来てくれないかな」
〜〜〜
鬼がここに湧いたタイミングで、僕は頭をフル回転させ始めた。
まずここに湧いた中級鬼はレーザー鬼。動きは遅いが、長い射程とそこそこの火力を併せ持つ鬼。接近戦なら正直こっちに分がある。下にいる上級は力鬼。高火力、高耐久、鈍足の、戦車みたいな鬼。マジで会いたくない厄介な鬼だ。中級はその他諸々。どのみち作戦には関わってこないだろう。
「ふーっ…」
僕は意を決して、レーザー鬼に突進した。
「θςφςΝΑπςηΔηςΑΨΨΧΦΟ」
「っ…気持ち悪い声しやがって…」
聞き慣れなさすぎる言語を話すレーザー鬼に足払いを繰り出し転倒させる。鬼とは言うものの、デフォルメされているので体格は僕と同等なのだ。
転倒させたそれを持ち上げ、自分の顔と向き合わせる。
「ΘΘΘΘΘΘΘΘΘΘ」
同じ言葉を何度も吐き、レーザー鬼はチャージを始めた。
「…猶予は数秒」
僕はレーザー鬼を持ったまま柵の近くまで行き、発射の直前で下に投げ捨てた。
「…っ!!」
それと同時に柵を乗り越えて空中に飛び出し、レーザー鬼を蹴りつける。
「喰らえ力鬼ッ!」
赤色の閃光が、力鬼を貫いた。
「よし、成功!」
レーザー鬼をクッションにして安全に着地、即座にレーザー鬼を持ち上げて力鬼から距離を取る。後はもう、同じ事を繰り返せば勝ちだ…!
ゲームでは出来なかった同士討ち戦法。どうやらレーザー鬼の火力は、力鬼にも効果はあるようだった。
「はい次ィ!」
2、3発目。動けないように足を撃ち抜く。
4、5発目。殴られないように腕を撃ち抜く。
「さっさと終わらせる…僕は脱出したいんだ!」
6発目、本来なら弱点となる胸に食らわせた所で、力鬼は倒れた。
「…ありがとね、手伝ってくれてッ!」
レーザー鬼を蹴り飛ばし、終了。近くの敵はおおよそ…あれ?
違和感を覚え、僕はスマホを確認した。
「僕が倒したのはレーザー鬼と力鬼だけ。スコアもその分しか上がってない…なら、この中級鬼3体の残骸は何なんだ?」




