METAMORPHOSE-4 共喰い作戦
やることは至ってシンプル。氷鬼の、馬鹿みたいな耐久の鎧を、色鬼にかち割らせる。
「僕は色鬼を誘導する!陽は氷鬼を!」
「了解!」
僕はまず色鬼の股下で「記憶」、そのままくぐり抜けて色鬼の背後に回り込む。当然ヘイトは僕に向いているため、色鬼は隙を大きく晒しながら振り返る。
全ての鬼に共通する特徴として、キャラクターへのヘイトは「(嫌悪度+嫌悪度)×被ダメージ」によって決定されるという物がある。嫌悪度はバランス調整のために運営が設定した「狙われやすさ」で、能力の強いキャラクター=鬼にとって厄介という発想の元設定された数値。
この世界に来てから僕は、仮定に仮定を重ねた仮定を仮定で挟むような事をずっと繰り返している。当然これも仮定になるが、もし鬼がプログラム通りに動いているとすれば、陽がダメージを与えなければ彼にヘイトが向くことは無い。
「ΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΨΨΨΨΨΨ」
「ビームだ!躱し――」
違う。色鬼が邪魔でよく見えないが、明らかに光の当たり方が違う。
「陽!作戦変更だ!どうにかしてそいつのビームの角度をずらしてくれ!」
「……なるほど。理解しました」
理解の早さに些か恐怖しつつ、僕は色鬼の視線を誘導するために飛び上がる。
「ΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩ」
今まで聞いたことのない鳴き声……というか、寧ろ声の種類が変わったというか……
「形態変化です!今すぐ避けて下さい!!」
「はぁ?」
「そいつは……」
「そいつは、穿孔体です!!」
氷鬼から放たれるビームは当たった物を凍らせるだけで、物理的な攻撃力は無い、と述べた。しかしながら例外がおり、それが氷鬼:穿孔体。孔を穿つという名前の通り、こいつのビームは如何なる物質だろうと「一つだけ」貫通させることが出来る。普通の氷鬼ならば凍結ダメージのみが生じるものの、穿孔体は凍結ダメージに加え、結構な量の物理ダメージを喰らう。
貫通されたモノへのダメージは甚大なものだが、問題は貫通先にあるモノにもダメージが生じる点。というか凍結もするので、本当に厄介極まりない。
「ま、避けられるけどね」
僕はウェポンを使い、色鬼の股下にワープ。
「αααααααΨΨΨΨΨΨΨΨ」
影が吹き飛んでいった。後方の安全が確保できたところで、僕は最後の攻撃にかかった。
「“K2:急襲+K10:加速蹴撃+K8:二重蹴撃――」
高速で接近、勢いを緩めぬままその運動エネルギーを加算して蹴り、間髪入れずに二発目を入れる。
「K9:多重蹴撃”!!」
「“氷纏車輪”!」
穿孔体の前後から、僕らの攻撃が炸裂した。




