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SG Ⅰ Soul Tags:Start Signal  作者: Omsick
Day5 継承/決意
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METAMORPHOSE-1 ボスバトル開始

「姿が変わった?」


 意味がわからない。運営は何を思って、この地獄に新たな鬼を加えた?そもそも、この世界はどういうシステムで動いている? 


「はい。僕が見たときは色鬼、それも重鎧体(フルアーマー)でした。でも今は力鬼にしか見えません。一応聞くんですけど、「変化鬼」みたいな名前の敵っていませんでしたよね?」


「うん、いないよ。いたら面白そうだとは思うけど」


 嘘ではない。これがちゃんとしたゲームなら、僕は運営を大絶賛していたことだろう。


「ゲームなら良かったんですけどね、こんな状況じゃ……」


「……まぁ、細かいことは後で考えるとしよう。まずその鬼を倒すのが先決だ。君、名前は?」


「揺葉(ゆりは)陽(よう)って言います」


「陽だね、よろしく。僕は理宮高助。ところで陽、君のウェポンは?」


「氷属性付与です。凍らせたりとか、気温を下げたりとか。理宮さんは?」


「僕は……なんて言ったらいいんだろうな、メモった場所にワープする、みたいな。今は二箇所まで設定できる」


「移動系ですか。分かりました。で、問題は……」


 陽は振り向いて後方を確認し、鬼との距離を測った。


「……あれ、違う。まただ……」


「また?」


「今度は氷鬼になってます。しかもあれ、変異体じゃ…………」


 陽の顔がみるみる青ざめていくのがはっきりと分かる。僕も振り向いてみると、そこに「見たくないもの」が佇んでいた。


「……ビームタイプの……重鎧体?」



 極端な話、頭のてっぺんから手足の末端に至るまで、完全に武装した狙撃手に誰が好き好んで挑みに行くのか。被弾すれば行動不能、接近したとて攻撃が通らない。

 僕は火力が足りない。FPS値が高いのは陽だから本来そっちに任せるべきだけど、彼のウェポンは「氷属性付与」。使ったところで火力の上昇は期待できない。


「変化の条件か、もしくは変化に要する時間が知りたい。そしたら確実に倒せるんだけど」


「……いいこと思いつきました」


 陽は、乗っている何かを、かの有名なスライドブレーキで急停止させた。


「はぁ!?なんで止まって……」


「思い出して下さい。氷鬼のビームに物理的な破壊力はありません。接近すれば、倒すことは出来ませんが、倒されることはなくなります」


 陽は、訝しむ僕を無視して話を続ける。


「ちょっと待って、まさか……挑むつもり?」


「はい。それ以外ありませんよ」


 正気を疑った。不確定要素がいくつもある強大な相手に、今しがた会ったばかりの僕と挑むだと?


「考えてみて下さい。ほっといて巨神鬼とか、色鬼の無差別体(フルカラー)に変身されたらたまったもんじゃありません。それに、これ以上死人を増やすのは御免です」


「…………」


「作戦を細かく言ってる時間はありません。理宮さんは僕の指示に従って下さい。別に危険なことにはなりませんから、そこは安心して下さい」


「わ、分かった」


「至って単純です。理宮さんは周辺のビルを片っ端からぶっ壊してって下さい」


「自分から遮蔽を崩しに?」


「違います。遮蔽を作るんです。あとは僕が突っ込むので、理宮さんはビル伝いであいつの背後に回ってください」


「会ったばっかりなのに、わざわざそんな危険を冒す必要はないだろ。第一、僕が逃げる可能性だって…………」


「無いです、絶対に。「誰かの役に立ちたい」って思いがとめどなく溢れ出しているその眼が、その心が、「逃げ出して迷惑をかける」なんていう真逆の選択をするわけがない。何があったのかは知りませんし、偉そうなことなんて言えませんが…………」


 僕は。

 僕は、どこまでいっても、主役にはなれないんだ。


「力を貸してください。僕達が死なないために、皆が死なないために。そして、生きて帰るために」

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