Day5-7 New Face
FPS?フレームレート?|Frames Per Second《1秒間あたりのフレーム枚数》?
〔いや、|Fire Per Soul《魂あたりの火》――要するに、魂が持ってるパワーだよ〕
僕の数値は?
〔150FPS。Grade:Ⅲとしちゃ弱いかなって感じ。相手はさっきも言った通りかなり強い。値として100の開きがあるね〕
そうか、僕は弱いのか。
若干の残念さを覚えつつ、僕はじっと相手を見据えた。
彼は何かから逃げている。助ければワンチャン仲間になってくれるかもしれないけど、僕よりも遥かに強い彼があそこまで焦って逃げるような相手に、果たして僕が勝てるだろうか。
「あ!そこの人!助けて下さい!」
目が合った。耳触りのいい声をしている。視覚による情報も込みで、小6か中1。この推測に間違いはない……筈だ。
「落ち着いて。何があったのか―――」
「止まんのは無理です!話すんなら並走してください!」
「えー……」
まぁ、この際仕方ない。Artsにランニングの技はないけど、遊力を集めれば多少はマシになるだろう。僕は周辺に敵がいないことを確認し、全遊力を脚に集約させて地面を蹴り上げた。乗り物には一瞬で追いついた。
「ああ、あなたもそれ使えるんですね」
「それ?」
「その……体の部分が光るやつですよ。さっき体から水を出す人も使ってましたけど、何なんですかそれ?」
ああ、そうか。僕は仙煌と拳がいたから知ってたけど、ここまで一人で生き残ってる人は自分の事に精一杯で……
「分かった。後で教えるからさ、とりあえず今、何に追われてるか教えてくれない?」
「ああ、はい。ええと……」
一応、後方を確認してみた。なんかやけに大きい物体が見える。
「多分、力鬼あたりの変異体だと思うんですが、どうにも動きが怪しくて……」
彼の言葉に違和感を覚え、僕はさらに質問をした。
「君、プレイヤー歴どのくらい?」
「このゲームですか?このゲームは……ざっと2年くらいですかね」
2年。同じゲームを2年。もしそうだとすれば、さっき「力鬼あたりの」「変異体だと思う」という発言はおかしい。なぜ確証を持って言わないのか。そして「力鬼あたりの」とはどういう意味なのか。鬼の特徴など、記憶力がなかろうと数週間もあれば嫌でも身につくだろう。
「ただですね……あいつ多分変身できるんですよ。あんなの見たことないです」
「多分変身できる……?何を根拠に?」
「確証はないです、マジで。さっきも僕は発言をぼかしましたけど、あれは自分の目を信じられなかったからです。さっき僕はあいつと遭遇したんですが……」
次の瞬間、上空で何かが走ったことに、僕は気付いていなかった。
―――
「俺はいつになりゃ出撃できんだ」
「落ち着きたまえ、ビリビリ小僧。本日中、遅くとも明日中には殺戮が可能だ」
「マジでか!?ようやく……ようやく、連中への恨みを晴らすことができる……!!」
静かに蠢く悪意は、やがて遊戯のみならず、現実すらも飲み込んでいくことを、プレイヤーたちは―――いや、運営すらも、それを知る由はなかった。




