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SG Ⅰ Soul Tags:Start Signal  作者: Omsick
Day5 継承/決意
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28/51

Day5-2 決別

「うわ、理宮どうしたの?汗まみれじゃん」


 ホテルに帰ってから開口一番、仙煌に言われたのがそれだった。


「僕も強くならなきゃって思ってさ」


「……理宮」


 仙煌の顔がどんどん濁っていく。


「努力しているのは分かる……けどさ。お願いだ、これ以上、無理をしないでくれ」


「……は?」


「脱出にはポイントを稼ぐ必要がある。アシストなら、理宮は最小限の行動でポイントが稼げる。これ以上……戦おうと……」


「仙煌が僕の事を思って言ってんのは分かるけどさ、それはあくまで体だけだ。仙煌は、僕の心を無視している」


「理宮?」


「役に立ちたいって、そう思ったのにさ」


「そんなのいらない。僕が一人で――」


「仙煌ッ!」



 思わず、声を荒げてしまった。



 例えばの話。皆で分担して仕事をしようという時に、「デキる人」が己に仕事を多く振ったらどう思うだろうか。

 そこには「仕事が減ってラッキー」となる人と、「何か手伝いたいな」となる2種類の人間がいるはずだ。普段の生活においても、この場においても、僕は紛れもなく後者だった。


 今の仙煌の言動は確かに僕を思いやった物かもしれない。けど、僕にとっては遠回しに「役立たず」と言われているような感覚だ。


「確かに、クリアするだけなら仙煌一人でもなんとかなるだろう。でも違う、今は僕がいるんだ!一人で全部持っていかないでくれ……僕にも……」


「今そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?命懸かってるのに――」


「他人の命まで勝手に背負おうとするな!僕は仙煌、君にもう頼りたくないんだ。一人でも戦えるって……」


「理宮が感情を押し通すなら僕も言わせてもらう。単純に、僕は君に死んで欲しくない。怒らすようだけど、はっきり言って理宮、君は弱い」


「だから強くなろうとしたんだろ!」


「分かってるよ……けど……」


 口籠る仙煌。


「……僕は背負いたいから背負ってるんだ。君の人生も、拳の人生も、翼の人生も。全て背負いに行って、全て叶える」


 仙煌に、黒いオーラが見えたような気がした。




 ―――




「おお、来たか」


「うん。間近で見せてもらおうと思ってね」


「しゃーねーな……目に焼き付けろよ?」



 耳をつんざくような爆音でゲームがスタートした。


「つってもさっきArtsの技名は全部教えたからな……まぁ、見て覚えたほうが早いか」


 拳(けん)はたまたまそばに湧いた鬼に近寄り、握りこぶしを赤く光らせた。


「手短にやっていく。まず“Arts1:拳撃(ブロー)”」


 拳(こぶし)の軌跡に赤い光を残して、鬼が勢いよく吹っ飛んだ。


「ただ殴るだけだ。でこっから、ArtsP系統に派生していく。基本Artsはあと二つ」


 拳が硬直し、赤い光が消えた。


「……どうしてかは知らねえが、コンボをやめると大きな後隙が生じる。だから基本的には、相手を倒すか自分が吹っ飛ばされるか、あるいは逃げるかしないとコンボを終わらせられない」


「それがデメリット?」


「そんなところだ。じゃ次、Arts2:蹴撃(ストライク)。派生系のArtsKは、下半身を使う行動全般だ。距離を詰めたりするのもこれだな」


 今度は光を脚に移し、空を蹴ってから、さっき吹っ飛ばした鬼に向かって走った。


「ArtsK2:急襲(スライド)、K1:転調・拳撃(チェンジブロー)、P8:上方拳撃(アッパー)」


 拳は目にも留まらぬ速さでコンボを決めていく。ますK2で接近、K1で光を足から手に移して殴り飛ばし、別の手でアッパーカット。


「……しぶといな。次Arts3:跳躍(ジャンプ)、F7:空蹴撃(エアストライク)」


 飛び上がって空中で蹴り。鬼は遥か遠くまで吹っ飛んで行った。


「……こんな感じだ。大体分かったか?」


「やり方はね……出来るかどうかは置いといて、理解はしたよ」


「そいつはよかった。じゃ、他の鬼を――」


 周囲の温度が、急激に下がった。


「っ……寒っ……何だこれ」


「分からないけど……」


 待てよ?温度を下げる?このゲームに冷気を使う鬼は1種類しかいない。そして、そいつは上級鬼の中でもすこぶる厄介だ。


「逃げるよ!拳!」


「はぁ?」


「氷鬼だ!パワータイプであれビームタイプであれブレスタイプであれ、僕らじゃ勝てない!」


 僕が距離を測ろうと振り向いた視線の先。ほんの僅か先で、氷鬼は拳を振り上げていた。

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