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SG Ⅰ Soul Tags:Start Signal  作者: Omsick
Day4 綻び
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24/52

Day4-5 連戦

 背負ったまま戦うのは無理だ。僕は盾になれない……なので、近くのビルの窓を蹴破ってそこに安置してきた。

 後は簡単。切り刻むだけ……いや、待て。


「∅∆∃⊆ς∟∟Εφφφφφφφφ」


 僕の身体は物理攻撃が通用しないだけ。重力を一点集中させるミニブラックホールはただのデバフ技である以上、僕もその影響を受けてしまうはずだ。

 仮にこの身体が物理攻撃無効ではなくダメージカット100%だった場合、ただの即死判定をぶつけてくる超重圧砲(グラビティスマッシュ)を耐えることは出来ない。


「……無効か即死か、二分の一。流刀雫魚でどうにか―――」


「邪魔だ、どけ!」


 声が聞こえるとともに、重力体が僕のいる方向へよろけた。


「えーっと……誰?」


「今それ必要か?倒してからでいいだろ」


 声の主……便宜上Aと呼称しよう。Aはどうやら重力体の死角から蹴りをかましたらしく、さらに立て続けに攻撃を加えた。


「“嵐旋脚(ランセンキャク):突風”!」


 ゴッ、と鈍い音が鳴る。


「何やってんだ!お前も攻撃しろ!」


「あ、そうか」


 僕は刀の使い方をよく知らない。なので、とりあえず接近してみた。


〔固有武器は必ず何かしらの癖がある。主のそれも例外ではない〕


 別に何も思わないよ。癖がないなんて面白くないから。


〔雫魚の「癖」は2つ。ひとまず重要なのは「鍔に近づけば近づくほど威力が増す」こと。もう一つはスキルがない今の段階では気にしなくていい〕


 裏を返せば、切先に近づけば近づくほど威力が弱まるということ。だとすれば何故、距離を取っていた隕石体を一撃で倒せたのか疑問だけど。

 ってか、これがあるなら“流河拳”の意味無くない?


〔相応に威力は上がる。雫魚の装備中に撃てばさらに威力は上乗せされる。何ら問題はない〕


 そっかそっか。まぁ、普通に斬ったほうが早いか。

 さっきも言ったが刀の扱い方はよく知らない。達人が見たら引っ叩いてきそうなやり方で、僕は攻撃した。


「ちょっとそこ退いてて……」


「わーった」


 Aは困惑しながらも、重力体の頭を蹴って離れ……られるわけではなかった。重力体の足元に、空間の歪みが生じている。

 行動阻害技、ミニブラックホールのそれだ。


「重っ!ブラックホール来たな?」


「クソッ……もういいや、これで倒せれば!」


 僕は刀を思い切り、かかっている重力に身を任せ、力いっぱいに振り下ろした。


「なんだその武器!?水?」


「僕もよく知らない」


 答えてから刀を振った途端、頭の中で何かが弾けた。


「痛っ……なにこれ」


〔遊力不足だ、仙煌!〕


 今この局面で!?そもそも切れるもんなの?


〔自動回復だ、時間は掛からん。だが、このままではーー〕


「うらァ!」


 周囲の重力を一点に集中させるミニブラックホール。原作のゲームにおいては。これはチャンス行動だったりする。発動時に、重力体周りのエネルギーを全てミニブラックホールの一点に集めるため、効果時間中はプレイヤーへの行動制限が無くなるのだ。

 Aは勢いをそのままに、貫くような蹴りを入れた。しかし、超重圧砲待機状態の重力体はスーパーアーマー持ち。足がズレることすら無いままだった。


「<<∇∇∇∇∇∇」


「溜めが終わったぞ!」


「λλλλλλλΕΕΕΕΕΕ」


 空間を歪めるほどの、巨大な重力の塊となった拳が僕に迫ってきた。


 この時、確信した。

 僕は少なくとも、純粋な攻撃によって死ぬことは絶対に無いと。


 「ゴッ」、という鈍い音。そして「ばっしゃぁぁん!」という巨大な水音。


「血じゃない……水!?」


 Aの声がした。気付けば攻撃は終わっていた。


「あーはいはい……そうですかそうですか」


 超重圧砲の炸裂とともにミニブラックホールが終了。システム通りだ。


「実験台になってくれてどうもありがとうございますね……!」


 僕は立ち上がり、不発だった技を決めた。


「技名は決まってないから便宜上だけど……大瀑布」



 両断され、割れたように倒れる重力体を背景に、僕はAの名前を聞いた。


「じゃ、戦い終わったから聞こうか。君、名前は?」


「朴牧翼。お前は?」


「恵流仙こ――」


「あー!理宮が言ってた奴か!」



「……パーティメンバー?」


「そうだ」


「じゃ……なんで今日来なかったの?」


「単純に迷ったんだよ……まあ、何はともあれクリアだ。また明日、同じ場所に集まるぞ」


「来なかったのそっちなのに……」

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