Day4-4 固有装具
「理宮!!」
「……重いッ……」
理宮が耐えきれずに吹っ飛ばされた。
「なっ……お前―――!」
直後に飛んできたのは、強靭な腕による薙ぎ払いだった。
「っ……」
僕はガードの体勢を取る。そんな事をしても意味が無いことを完全に忘れていたんだ。
水音がした。僕の身体は、隕石体の腕を透過していた。
僕から見て、右から左へと振るわれた腕。つまり位置的には僕に先に当たる筈だ。しかし僕がそれを無効化した。
僕の身体程度の体積の水じゃ勢いを弱めることは出来ない。クッションにもならないから、つまりその力は余す所なく拳に叩き込まれる――
「拳!避けて!」
「チッ……Artsに防御技は用意してねえのに……!」
理宮と同じように吹っ飛ばされた拳は、壁に叩きつけられた。
〈プレイヤーNo.568、恵流仙煌。Gradeの上昇を確認しました〉
また、あの時の電子音。
……ああ、少なくともこれだけは確かだ。
僕に、打撃は効かない。もしかしたら斬撃や刺突も効かない可能性がある。
「かかって来なよ。お前の攻撃は、僕には一つも通らない」
僕は前に進み出た。
「Grade:Ⅲなら出せたりしないかな……水圧カッター」
僕は手刀を作って目を閉じ、手に水を集めるようなイメージを浮かべた。
「……視えた。流刀・雫魚」
手元に現れたのは、先端に行くにつれて細くなっており、そして明らかに脆そうな、水で出来た刀だった。
「あれ?手刀だと思ったんだけど……これどう見ても」
〔……固有……装具……?いくらなんでも―――〕
固有装具?これ?
〔ああ。それはスキルではなく固有装具。本来ならGrade:ⅦかⅧあたりで漸く手に入る代物。何かを捉えることで、気づけば手元にある。そんな神秘的な物のはずだ……それを、Grade:Ⅲでだと!?〕
それがこの水で出来た刀?明らかに先端が貧弱なんだけど。まあ、いいや。
「……拳、理宮。まだ死なないでくれよ」
一人呟き、刀を構える。
「技名は無いけど、まぁ大丈夫でしょ」
僕は肩、腕、手を全て使い水平斬りを放った。即座に真っ二つに分かれる隕石体。明らかに、今までとは次元が違う攻撃力だった。
「……これが、固有装具……」
〔固有装具の装備中はウェポンが最適化され、スキルの効果に補正がかかり、遊力の総量が増える。一度手に入れば何時でも何処でも取り出せる優れものだ。故に、それを持てば殆ど敵はないと言える〕
僕が拳と理宮を背負って歩いていると、ビルの影から明らかにオーラの違う巨躯が顔を出した。
「……そういえば、まだ倒してなかった……」
力鬼:重力体。重力を操る、危険等級の鬼。




