Day4-3 二人目
「οοοοοοοξξξξξξ」
予備動作……!
「メテオダッシュだ!こっちに来る!」
「理宮、メテオダッシュって何秒持続する?」
「2ヶ月前の攻略wikiには最大2.5秒って書いてあった。クールタイムは30秒。直近のアプデに鬼に関する記述はなかったからこれで確定」
「本当に記憶力エグいんだなお前……」
拳の“きめえ”と“すげえ”の入り混じったような目線を僕は捉えた。
隕石体が突っ込んできた。終わった直後の僅かな硬直を狙えば勝てるが、一人が極端にダメージを与えすぎるとそいつに向かってメテオラッシュが撃たれてしまう。一発50ダメージの隕石を15発落とす必殺技を、撃たれてしまう。
「……仙煌!頭を狙うんだ!」
「分かってる……拳の真似事だけど、やってみるか」
仙煌がその場で踏みとどまり、右の拳を青色に光らせた。
「仙煌?その青いのは何?」
「理宮!降りろ!戦場はここだ!」
降りろというか、振り落とされた。
「οααααααθθθθθθ」
隕石体が、投げ飛ばされた僕の目の前で拳を構えた。何度も辛酸を嘗めさせられた敵をここまで間近で見ることになるとは思わなかった。あれが放たれた場合、僕は吹っ飛ぶどころか圧死する。
そんな状況下で僕は、足が竦んで動けなかった。よぎったのは後悔じゃなく諦念。
「させるか!“流河拳”!」
「Arts3:跳躍+F5:空拳撃!!」
隕石体の右側からは仙煌の、左側からは拳の攻撃が炸裂。怯んだ隙に、拳が僕を掴んで隕石体から離れた。
「何してんだ!なんであそこで固まる!?」
「ご、ごめん。次はないようにするから」
足にまとわりついていた恐怖が解けて動けるようになった。僕は拳に一言謝ってから立ち上がった。
(今この場所を「記憶」した。近くに来れば僕のスキルで吹っ飛ばせる……)
けどそれは誰かに隕石体の処理を押し付けているだけだ。関係ない他人が広範囲技に晒される。他人の心配をしている場合じゃないのは承知の上。それでも。
(僕らはここで、こいつを倒さないと)
「もいっぱつ!“流河拳”!」
「F5:二連空拳撃+F6:多重空拳撃!」
なぜかまだ滞空中の二人が追撃。火力スキルがない僕は、何もできないことを悔やむしかなかった。
「ガードしてんじゃ……」
「ねえッ!」
火力がないだけならまだしも、バフスキルすらない。補助もできない。
(……目立たなくてもいい。でも、役に立てないのは嫌だ)
「理宮!隕石体の足が!」
(……データベースとしてじゃなく!ちゃんと一人で動けるようになりたい!!)
「理宮!前に出てんじゃねえ!」
「避けて!理宮!」
気づいた時、僕の両手は前に出ていた。
僕の手が、勝手に動いた。




