Result
「ねえ、仙煌」
僕は尋ねた。
「ん?ほひたの?」
「僕さ、謎の存在からアクションを受けたんだよ」
仙煌には、憑者に関する情報以外を伝えることにした。
「謎の存在?」
「主催者とか、運営とか、そんなところだと思う。で、曰く「有事に備えて、仲間を調達しておいてくれ。四日目から六日目、死人が数多く出る」って。既に二人集めて来てるんだけど、来る?」
来る?ってのもおかしな訊き方な気がするけど。
「その二人が誰なのか気になるけど……分かった。行こうか」
承認は得た。ただ、四人で何とかなるかという心配がある。というのも、その地獄の三日間の具体的な内容は一切聞かされてないせいで、これでも割に合わない可能性があるのだ。
(……主人公補正、ねえ……)
僕にはもう一つ、懸念があった。
主人公補正の対象だ。仮に世界が何かの筋書き通りに進んでいたとして、仙煌がその主人公だったとして。最悪の場合、僕が仙煌の覚醒への引き金として使われるかもしれない。
あくまで主人公は仙煌であって、僕やパーティのメンバーはそれを取り巻く者達。仲間が一人二人死ぬ作品なんて珍しくもないし、なんなら主人公以外味方全滅バッドエンドの作品も少ないが存在する。そして、僕からはその筋書きは分からない。
「〜〜〜」
まだ四日目。いつ終わるかは知らないし、話の進み具合も分からない。
「〜〜や」
仮にこの話が10日で終わる作品なら、最初の山場は恐らく例の三日間。親友ポジションの僕は、パーティの中じゃ死ぬ確率が最も高い。
「理宮!」
心の中でブツブツ言ってると、不意に現実へ引き戻された。
「全っ然箸進んでないよ?大丈夫?」
「ああ……ごめん。考え事してた」
けど、この考えを仙煌に言おうとは思わない。主人公補正って単語は、元を辿ればあの謎の声から聴いた情報だ。凪の件をバラすことにも繋がりかねない。
それに、僕が死ぬ可能性が高いと仙煌に伝えたら、きっと仙煌は僕を助けようとする。なにも、仙煌だけに重荷を背負わせるわけにはいかない。せめて、自分の身は自分で守りたい。
―――
「お腹減った……」
食事は、あまり喉を通らなかった。でもあくまで心が食べる気分にならないってだけで、体は普通にエネルギーを欲していた。
……過憶。
〔ん?〕
仙煌の今のGradeって分かる?
〔まだGrade:Ⅱだよ。ただ……明日からどうなるか分からない〕
なるほど……んじゃ、二つ目。Gradeが急に爆上がりすることってある?
〔爆上がりがどのくらいか分からないけど、二段階上昇ならたまにあるね。三段階、四段階になるともう、少なくとも僕の知ってる範囲では聞いたことがない〕
一日二段階ずつ上がるという無茶苦茶な仮定をした場合、残された猶予は四日。地獄の期間が終わるまでは持つけど……
〔なんで天文学的な確率でやってくる“最悪”を絶対に引くと信じてるの?ってか、毎日上がるもんでもないでしょ……〕
だったら三つ目。憑者発現から一日でGradeが上がるケースはどのくらい?
〔聞いたことないね。最短でも一週間、場合によっては一度も上がらずに生涯を終えるパターンもある〕
……なら、ひとまず安心かもしれない。
少しだけ余裕が出来たことに安心した僕は、Resultを確認し、眠りについた。




