Day3-4 Memory+Speed+Control
集合場所、到着。
「翼。二人目だ」
「あー……あんたも、例の声の予言ってやつに従っちゃった感じか?」
僕のパーティ第一号が困ったように笑う。
朴牧翼。尋常じゃない速度で疾走しながら鬼を片っ端から蹴り飛ばしているのが見えたから、頑張って追いかけてスカウトした結果、何故か通り仲間になった人。
「例の声?理宮が聞いたというあれか?」
「そうだが……ん?あんたは聞いたんじゃないのか?」
「聞いていない。俺は取引の条件として来ただけだ」
「へえ……理宮、事情は説明したのか?」
「した。一言一句間違いなく全て」
拳が目を見開いた。
「……そっか、あんたは知らないのか。こいつ、記憶力がおかしーんだ」
君も昨日まで知らなかっただろ、と視線で訴えるが、当然朴牧は気づかない。
「バンコクの正式名称、ピカソの本名、円周率100桁。全部言いやがった」
「やめてくんない?自慢したみたいに思われたくない」
確かに昨日言ったけど、それは特技の話になったからだ。
「俺は足が速い。短距離走じゃ教師にだって負けたこと無い。んで蹴りも強い。要するに“脚”が強い」
まぁ、それを見たからスカウトしたわけだけど。
「あんたの特技は?」
「記憶かな。君が短距離走で無双してたなら、僕は暗記系科目で無双してた」
「例えば?円周率とか、ピカソの本名とか……そういう、記憶力といえばみたいなのは無いのか?」
「知ってる物なら大抵は言えるよ。円周率なら……3.141592―――」
覚えといて良かった、そういう系統。おかげで学校じゃデータバンク扱いだったけど。
「流石に驚いたわ。正誤判定は出来ないが、ほっとくと100桁でも1000桁でも行きそうだったから止めたんだ」
「正誤判定出来ないなら何桁言おうが無駄じゃねえか?」
跳跳のツッコミを盛大にスルーし、朴牧は言った。
「で、あんたは?」
朴牧は跳跳に指を差す。僕もよく知らない、仙煌から「謎の拳法みたいなのを使う」とは聞いたけど。
「……俺は、お前らみたいなチートは無い。そもそも俺はこいつに言われるまま従っただけだ」
俯きながら跳跳が言う。とはいえ、適応能力チートの仙煌を倒しかけてる時点でこいつも中々の化け物だと思うけどな。
「おい、理宮。これで本当に、お前の親友に会わせてくれるんだろうな」
「約束するよ。あ、でももし君が裏でリベンジとかを考えてるなら止めた方が良い。あいつ適応能力チートだから、多分もう君は相手にならない」
それが嘘偽りないことは跳跳も分かってるはずだ。なんせ戦いの最中に突如として遊力の操作に目覚めたんだから。
「そろそろゲームが終わるはずだ。また、明日もここで」
「理宮。結局、お前の親友の名前は何なんだ?」
「あー、言ってなかったか。恵流仙煌だよ」
約束は守った。仙煌に何も起こらないと良いけど。




