属性チェンジは爆炎の隙に
巨大な魔法陣から、岩石の塊? が現れた。
10メートル? いや。もっと大きい……。
穂波ちゃんが剣を振ると、砕けた塊がこちらを目掛けて飛んでくる。
「堕ちろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
かわし切れない……。
水の防壁では役に立たたず、次々と塊が体に当たり、衝撃に耐えられず落下する。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
シアンちゃんが張った魔法防壁のおかげで落下の衝撃は多少和らいだが、それでもなお地面にめり込んだ。盾無の鎧がなければ致死ダメージだったかもしれない。
さっきまでの属性の優位は逆転したようだ。『水剋火』から『土剋水』へと入れ替わっただけでえらい違いだ。属性チェンジやインストールの隙を与えてしまったのがいけなかった。
「うっ、くっ」
なら、こちらも属性チェンジすれば……。
しかし、そんな隙も与えてもらえない。こちらが防御一辺倒なのをいいことに、向こうはコメットを連発してくる。降り注ぐ岩石のおかげで、倉庫街の屋根という屋根に穴が空いているし、地面もあちこちえぐられている。
こんな状況でなお致死ダメージにならないのは、流石は源氏八領といったところだろうか。
「堕ちろ、堕ちろ、堕ちろ!」
『DooooooooooN!』
倉庫の方からだろうか、攻撃の流れ弾? が何かに引火でもしたのだろう。爆発が起こった。辺りは爆炎と煙につつまれれ、何も見えなくなった。
なおも岩石が降り注いでいたが、こちらが見えていないせいか攻撃が荒くなり、当たらなくなった。
チャンス。この隙に攻撃から脱出を……。
爆風に紛れて、倉庫の影に隠れた。
「はあっ、はあっ、はあっ。
シアンちゃん、属性チェンジ、できる?」
「残っているクリスタルは4つ。『水』以外にならなれるよ? クリスタルが減るけど、どうする?」
「どうするも何も、この状況じゃ使うしかないじゃない。
そういえば、あの子、勝ちたいはずなのに、どうして簡単にクリスタル使ったんだろう?」
「勝てば、プラスマイナス、ゼロで、なおこっちがマイナス1って考えなのかもしれないよ。プレイヤーバトル(こんなこと)していないで、敵を倒しまくった方が確実だと思うんだけどね」
「もしこっちが、負けても、こっちから向こうに行くクリスタルは一つなんだよね? ということは」
「ということは?」
「たぶんもう属性チェンジしないはず」
「ふーむ。なるほど。それも一理あるかもね。なら『木』属性になるかい?」
『土』属性に勝つには、『木』属性で全力の一撃を当てれば。
そのためには、相手の油断を誘わないと。
『水』属性だったときは、三鈷杵のおかげで雷を出して『木』属性だと勘違いさせることが出来ていた。けれど、こっちがまだ『水』のままだと思い込ませてなお特大の魔法をお見舞する方法か……。
「勝つ気かい?」
「勝たないと、話すらできなそうだし。ゲームに勝ちたいかどうかは先送りだけど、とりあえず今あの子に負けたくない!」
◇◇◇
――???
モニターに一颯と穂波のバトルが映し出されている。
「おやおや、初日から激しいバトルですなあ。巫女の子のほうが優勢ですかな」
「どうですか? うちの子は?
魔力こそ数万くらいですが。魔法発動までのスピードや熟練度はなかなかのものです」
「それは使えそうなカードになりそうですな」
「だが、こちらも負けてはいませんよ。今はピンチですが、あの子の魔力は300万超えですよ」
「ほう。300万! それはまた、いい戦力になりそうですなあ」
「このゲームに勝つ気があまりないところが、たまに傷ですけどね。でも、昨日あの子とひと悶着あったらしく、今は本気のようです」
「本気の勝負ですか。いいですなあ」
「あの子たちには、もっと強くなってもらわないといけませんからねえ。戦場はこんなもんじゃないですから……」
◇◇◇
――港西区、埠頭、バトルフィールド内
「どこに隠れたんや。一颯ちゃん。出てこんのなら、こっちから行くでえ」
そういいながら、こちらが隠れている棟の近くを破壊し始める。
「はあっ、はあっ。まずいわ。このままだとここも破壊されてしまう。さっき思いついた作戦だけどうまくいくかな?」
「うーん。それはキミしだいだよ。一颯」




