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Magier Krieg -マギア・クリーク-   作者: 巻刺 司
第三章
16/21

一日の最後は10連ガチャで


 ――地下、練習場


「はあ、はあ、はあっ。シアンちゃん? これで何体目だっけ?」


「ちょうど50体かな」


 一体目こそ、強敵、菅原道真公が当たってしまってかなり苦戦したが、それからはあまり強い敵が出てこない。そのかわり、アイテムも大したものが出てこないけれど……。


 さっきの敵から出たのは、水晶の首飾りというMP回復のアイテムだった。ランクは2だったかな。MPは今まで困ったことがないので、不要なアイテムである気がする。


「シアンちゃん、もっとレアなアイテムが出やすい条件とかないの?」


「あるには、あるけど……」


「何? どうすればいいの?」


「10連ガチャだよ。休憩なしで敵が10体出るけど、レア度4以上が一つ確定するんだ」


「10体連続相手かあ」


「でも、敵のレベルもランダムだよ」


「ということは、最悪は最初の道真公みたいなの10体を相手にしないといけないってこと?」


「そうなるね。そうなったら勝ち目はないよ」


 確かにアレ10体はきつい……。

 でも、このままレアアイテムも出ずに疲弊するくらいなら……。


「やるってみるわ」


「本気なんだね?」


「うん」


「じゃあ、いくよ。10連ガチャモード」


 ガチャん。

 ガチャん。

 ガチャん。

 ガチャん。

 ガチャん。

 ガチャん。

 ガチャん。

 ガチャん。

 ガチャん。

 ガチャん。


 一つ目のカプセルが自動で開く……。

 相変わらず出てきたのはヒトガタだったけど、今回は鎧を付けた姿へと復元されていく。盾と槍を持っている敵になった。武士かな?

 

「さて、さて、どうしたものかな」


「何のんきに観察してるの!? 敵が目の前まで迫っているのに!」


 しょうがない。MP消費が激しいけれど、久しぶりにアレを使おう。


 敵の上空へと飛び。ダガーの滝を打ち込む。


「マハー・ヴァイプリヤ・ブッダ・アヴァタンサカ、Kegon-Falls!」


 滝となったダガーが敵を襲うが、敵の盾が巨大化してすべて防がれてしまった。


「えー。なんてインチキ」


 槍を持つ敵が迫ってくる。動きから、何となくだけど、かなりの手練れだとわかる。

 槍を振り回し、頭上から打ち下ろされた。6本のダガーで防いだものの、地面に叩き落とされた。


「うっ」


 これじゃあ、接近戦は無理ね。

 手持ちの武器は三鈷杵(さんこしょ)、ダガー、レーザー砲……。


「そうかっ」


 三鈷杵の雷なら、武器を通してでもダメージを与えられる。


「武器換装、三鈷杵。

 オン・インドラヤ・ソワカ」


 雷鳴が轟き、雷が落ちる。


      ◇◇◇ 


 三鈷杵だけで、9体は何とか倒すことができた。ガチャアイテム様様だ。


 最後の一体か。


 カプセルが自動で開くと、またもや武士の形になった。

 

「あの鎧は、盾無(たてなし)、源義朝(みなもとのよしとも)だよ」

 

「え? シアンちゃんなんだって?」


「あの鎧だよ。源氏八領(げんじはちりょう)って聞いたことない?」


「ないない」


「源氏に代々伝えられた伝説級の鎧、8つのうちの一つ、最も頑丈で盾がいらないって言わているんだ」


 そう言っている隙に攻撃あるのみ。


「オン・インドラヤ・ソワカ!」


 雷が籠手(こて)だけで簡単に防がれる。

 

「えー。なんで。簡単に」


「盾無だからねえ」


「弱点はないの?」


「さあ? あっ、そういえば、義朝が負けたのって、あの鎧脱いでるときだったっけ」


「それじゃ、参考にならないよー」


 最強の鎧相手ということか……。


 刀で攻撃してくるが、割と……、なんというか、荒い。


 この敵、防御は固いみたいだけど他があんまりみたいね。


 なら、防御を超えるだけの攻撃を叩き込めば。 


「レーザー砲、30門。

 発射(Firing)!」


 義朝公は、腕をクロスして受け止めきった。

 腕の防具がみるみるうちに再生していく。


「えー、再生なんて聞いてないよ」


 なら、再生も追いつかないほどに攻撃を加えれば……。


「レーザー砲、100門。フルチャージ!」


 魔法陣が現れると次々とレーザー砲が具現化されていく。のろのろと動く敵をほぼ零距離の砲門が取り囲む。


「発射(Firing)!」


 こんな敵、道真公に比べれば、強くない!


      ◇◇◇

 

『クリア報酬、源氏八領、盾無をゲットしました。装備しますか?』


「シアンちゃん、装備ってどういうこと?」


「盾無はアバターの装備扱いになるから、武器にはカウントされないんだ」


 アバターに合わせて、鎧が変形したものだろうか。肩、腕、脛のあたりに鎧のパーツが浮いている。

 これで、盾がなくても防御は固くなった。


「今日はもう疲れたし、これで落ちるわ」


      ◇◇◇


 ――翌日、学校にて


『さて、みなさん。一学期も今日で最後です。

 夏休みだからって、リズムを崩さずに規則正しい生活をしましょう』


 先生は、そんな規則正しい文言を残して教室を去っていった。


「一颯(いぶき)ちゃん、今日、喫茶店よっていく?」


「あっ、蓮花(れんか)ちゃん。うん。行こ!」


 ここ最近、VRMMOのマギ・クリに付きっ切りになっていたから、たまには友達付き合いしないと。

 といっても蓮花ちゃんも塾で忙しいみたいだったけど。


 喫茶店に入ると、昨日の女の子に似た子が一人で紅茶を飲んでいた……。



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