一日の最後は10連ガチャで
――地下、練習場
「はあ、はあ、はあっ。シアンちゃん? これで何体目だっけ?」
「ちょうど50体かな」
一体目こそ、強敵、菅原道真公が当たってしまってかなり苦戦したが、それからはあまり強い敵が出てこない。そのかわり、アイテムも大したものが出てこないけれど……。
さっきの敵から出たのは、水晶の首飾りというMP回復のアイテムだった。ランクは2だったかな。MPは今まで困ったことがないので、不要なアイテムである気がする。
「シアンちゃん、もっとレアなアイテムが出やすい条件とかないの?」
「あるには、あるけど……」
「何? どうすればいいの?」
「10連ガチャだよ。休憩なしで敵が10体出るけど、レア度4以上が一つ確定するんだ」
「10体連続相手かあ」
「でも、敵のレベルもランダムだよ」
「ということは、最悪は最初の道真公みたいなの10体を相手にしないといけないってこと?」
「そうなるね。そうなったら勝ち目はないよ」
確かにアレ10体はきつい……。
でも、このままレアアイテムも出ずに疲弊するくらいなら……。
「やるってみるわ」
「本気なんだね?」
「うん」
「じゃあ、いくよ。10連ガチャモード」
ガチャん。
ガチャん。
ガチャん。
ガチャん。
ガチャん。
ガチャん。
ガチャん。
ガチャん。
ガチャん。
ガチャん。
一つ目のカプセルが自動で開く……。
相変わらず出てきたのはヒトガタだったけど、今回は鎧を付けた姿へと復元されていく。盾と槍を持っている敵になった。武士かな?
「さて、さて、どうしたものかな」
「何のんきに観察してるの!? 敵が目の前まで迫っているのに!」
しょうがない。MP消費が激しいけれど、久しぶりにアレを使おう。
敵の上空へと飛び。ダガーの滝を打ち込む。
「マハー・ヴァイプリヤ・ブッダ・アヴァタンサカ、Kegon-Falls!」
滝となったダガーが敵を襲うが、敵の盾が巨大化してすべて防がれてしまった。
「えー。なんてインチキ」
槍を持つ敵が迫ってくる。動きから、何となくだけど、かなりの手練れだとわかる。
槍を振り回し、頭上から打ち下ろされた。6本のダガーで防いだものの、地面に叩き落とされた。
「うっ」
これじゃあ、接近戦は無理ね。
手持ちの武器は三鈷杵、ダガー、レーザー砲……。
「そうかっ」
三鈷杵の雷なら、武器を通してでもダメージを与えられる。
「武器換装、三鈷杵。
オン・インドラヤ・ソワカ」
雷鳴が轟き、雷が落ちる。
◇◇◇
三鈷杵だけで、9体は何とか倒すことができた。ガチャアイテム様様だ。
最後の一体か。
カプセルが自動で開くと、またもや武士の形になった。
「あの鎧は、盾無、源義朝だよ」
「え? シアンちゃんなんだって?」
「あの鎧だよ。源氏八領って聞いたことない?」
「ないない」
「源氏に代々伝えられた伝説級の鎧、8つのうちの一つ、最も頑丈で盾がいらないって言わているんだ」
そう言っている隙に攻撃あるのみ。
「オン・インドラヤ・ソワカ!」
雷が籠手だけで簡単に防がれる。
「えー。なんで。簡単に」
「盾無だからねえ」
「弱点はないの?」
「さあ? あっ、そういえば、義朝が負けたのって、あの鎧脱いでるときだったっけ」
「それじゃ、参考にならないよー」
最強の鎧相手ということか……。
刀で攻撃してくるが、割と……、なんというか、荒い。
この敵、防御は固いみたいだけど他があんまりみたいね。
なら、防御を超えるだけの攻撃を叩き込めば。
「レーザー砲、30門。
発射(Firing)!」
義朝公は、腕をクロスして受け止めきった。
腕の防具がみるみるうちに再生していく。
「えー、再生なんて聞いてないよ」
なら、再生も追いつかないほどに攻撃を加えれば……。
「レーザー砲、100門。フルチャージ!」
魔法陣が現れると次々とレーザー砲が具現化されていく。のろのろと動く敵をほぼ零距離の砲門が取り囲む。
「発射(Firing)!」
こんな敵、道真公に比べれば、強くない!
◇◇◇
『クリア報酬、源氏八領、盾無をゲットしました。装備しますか?』
「シアンちゃん、装備ってどういうこと?」
「盾無はアバターの装備扱いになるから、武器にはカウントされないんだ」
アバターに合わせて、鎧が変形したものだろうか。肩、腕、脛のあたりに鎧のパーツが浮いている。
これで、盾がなくても防御は固くなった。
「今日はもう疲れたし、これで落ちるわ」
◇◇◇
――翌日、学校にて
『さて、みなさん。一学期も今日で最後です。
夏休みだからって、リズムを崩さずに規則正しい生活をしましょう』
先生は、そんな規則正しい文言を残して教室を去っていった。
「一颯ちゃん、今日、喫茶店よっていく?」
「あっ、蓮花ちゃん。うん。行こ!」
ここ最近、VRMMOのマギ・クリに付きっ切りになっていたから、たまには友達付き合いしないと。
といっても蓮花ちゃんも塾で忙しいみたいだったけど。
喫茶店に入ると、昨日の女の子に似た子が一人で紅茶を飲んでいた……。




