三番目の武器はレーザー砲
――喫茶店にて
これまでの敵はある意味で力押し、絶対なる魔力の差によって倒してきたわけだけど、今後もうまくいくとは限らない。二体同時に出ないとも限らないし、プレイヤーならなおさらだ。
錫杖の魔法は煉獄の炎から変えておきたいし、スロットが空いている大剣にもなにかいれておきたい。いや、そもそも武器はこの三種でいいのかも考えておかないといけない。
ダガーと錫杖は使い勝手からもこのままでいい気はしているんだけど、大剣はあんまり使ってないしなあ。近距離戦はダガーでいいと思っているし、遠距離も錫杖でいい。けど他はどうしよう。
武器のリストを眺めていると、剣、槍、弓、ボウガン、こん棒、ライフル、マシンガン、斧など様々だけどどれもピンとこない。片手剣だと盾とセットっていうのもあるのね。
盾か……、今は防御はダガーでやっているからなあ。そもそも防御魔法があれば、盾はいらないか。だとすると、防御と相性がいい武器のほうがいいのかもしれない。
「あっ、これ面白いかも……」
見つけたのは、小型のホーミングミサイルだ。これなら複数相手でも役に立つかもしれない。追尾方式は、魔力追尾型か、こちらからの操作型がある。
操作型は難易度が高いけど、離れても操作可能ってのはすごいかもしれない。まてよ、レーザービーム砲ってないのかな。魔力追尾も魔法だとしたら、それをインストールすれば遠距離操作可能なレーザービーム砲が完成するんじゃないのかな。
遠距離武器のカテゴリーから……。
銃、ランチャー、ビーム……。
「あった、小型レーザー砲門」
あとは、追尾の魔法かあ。逆引き大辞典を検索してみる。
魔力追尾の項目がある。
「やっぱりあった。魔力追尾系の魔法」
広域サーチ機能、近距離追尾機能、至近距離での魔力量解析機能、いろいろあるみたいね。
まてよ、広域サーチ機能って、これを使えば他の子も割り出せるんじゃないのかな。
眺めていると、入れておきたい魔法が山の様にでてきた。各属性のオブジェクトの魔法に、武器への属性付加、広域サーチ、追尾、防御、拘束……。でも同時に3つまでか。他の子は一つしか入れられないのに、どうやっているんだろう。
それと、初期属性か……。
できればここで決めておきたい。さっきの滝の魔法はMP消費が大きかったけど、使えそうだし、やっぱり『水』かなあ。『水』ならば相性が悪いのは『土』になるから、そんなに選ぶ人いなそうだし、『火』もあまり使わないからな。
「シアンちゃん? レーザーって熱魔法なの?」
「まあ、現代の武器なら熱魔法だけど、この武器だったら純粋な魔力波を打ち出すタイプかな」
「なら、よかった。これにしよっと」
「放出系の武器よりは、具現化系の武器のほうが魔力の消費は少なくてすむんだけどね。君の場合は心配いらなそうだしね」
さてと、ゆっくり魔法を組むなんて今までなかったからな。任意の武器との意思接続をするにはConnectionかこれをレーザー砲にインストールすればっと。
次は、錫杖にインストールすれる防御系の魔法をコンパイル。それから、戦闘前に各属性の魔法も作っておこう。これで、インストールする隙さえあれば今度は大丈夫。これで準備はできたかな。
◇◇◇
――港西区、市街地、ビル屋上
魔力サーチ、インストール in 錫杖。サーチ範囲はとりあえず、港西区内かな。
おっと、さっそく魔力反応をキャッチ、3時の方向か。埠頭の倉庫街のあたりかな。放っておくわけにもいかないし、行ってみよう。走るより、飛んでいった方がいいかも。
埠頭に到着して、大型クレーンの上から観察すると、白色の獣が二体、争っている。見た目は狼とか犬とかだろうか。
「白色って何属性なんだろう」
「あの色は『金』属性だよ」
「えっ、『金』属性って金色とか黄色じゃないの?」
「黄色は『土』属性だよ? どうかした?」
「前に『金』属性だと思って、黄色の小鬼と戦ったことあったから……」
「初心者にありがちだね。それより、早く倒さないと、どっちかが勝ったら負けた方を吸収してもっと大きくなるよ」
「それは、困るな。でも2対1かあ。まあでも、新武装を試すにはいいかもしれないし」
「ブツブツ言ってないで、行くよ!」
シアンちゃんが先に飛んでいってしまった。これは行くしかない。
『Oncoming! バトルフィールド設定、半径1キロ』
黄昏時の倉庫街だ。もともと人はいなかったみたいなので、フィールド切り替えがよくわからなかった。
「防御魔法インストール in 錫杖、フレイムオブジェクト、インストール in ダガー」
バトル中の2体の真ん中に割って入る。
「Gulululuuu!」
完全にこちらに意識が向いた。2体が左右から猛ダッシュで迫ってくる。
「武器換装、錫杖、防御魔法展開」
2体とも防御壁にぶつかってくる。ぶつかったところだけ、魔法陣が浮き出る。幾度もぶつかってくるが魔力の防壁に阻まれて近づけないでいる。だが、これでは防戦一方になってしまう。一度飛んで体制を立て直そうか。
そう思って、上空へと跳ぶ。相変わらず毛を逆立てて唸り声をあげているが、地上からの攻撃はない。そう思っていたが、なおも跳びかかってくる。空中でダッシュしてくる。ちょっとこれ反則じゃない?
「シアンちゃん、防御の方は任せていい?」
「あいあいさー。防御フィールド展開!」
「武器換装、レーザー砲」
両手両足のあたりに、レーザー砲が出現する。合計4門のレーザー砲を具現化している。シアンちゃんに防御は任せて、火器管制に集中する。二体同時に狙いをつけて、照射する。
「発射(Firing)!」
4本の光が、2匹の獣へと直撃する。突き抜けたレーザーが倉庫の屋根ごと薙ぎ払った。
レーザーに焼かれた獣は、形状を保てなくなり、それぞれ、ばらばらになった。かに思われたが、分解した塊が再生を始めた。小さくはなったが、今度は10対1になってしまった。なおも唸りをあげて襲い掛かってくる。
「この子たち、どこまでも細かくなるんじゃ。手数が足りなくなるわ。その前にかたをつけるしかない。さらに、レーザー砲具現化、10門、魔力誘導開始」
魔力誘導されたレーザー砲はどこまでも獣を追っていく。4門を体の近くで具現化させていたときとくらべて、操作の難易度は段違いに高い。本当に火器管制しかやっている暇がない。
「発射(Firing)!」
ゆらぐ魂が消えていく。勝ったか……。




