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第5話 隣の家の娘

井戸の件から数日が経った。


村は相変わらず穏やかで

特別な騒ぎも起きていない。

俺は相変わらず畑に出て雑草を引き、土を耕している。


その日の午後に隣の家の娘が顔を出した。

リリアだ。

一つ下で、いつも元気がいい。


「レイン、ちょっといい?」

「なんだ」

「うちの鶏最近卵を産まなくって。母さんが困ってるの」

そう言って、少し困った顔をする。


リリアの家は俺の家より少し規模が小さく

鶏は貴重な収入源の一つだ。


「病気か?」

「分からない。元気そうなんだけど、卵だけ産まないの」

俺は少し考えてから頷いた。

「見てみるか」


リリアの家の裏手に行くと

確かに鶏たちは普通に動き回っている。

ただし巣箱を確認すると

卵はほとんどなかった。


——少しだけ、運を傾ける。

鶏たちに向けて、ごくわずかに意識を向ける。

「今日は、一つでも産みますように」と。


反動はほとんど感じなかった。

この程度なら、問題ないらしい。

翌日。


リリアが朝早く、息を切らせて俺の家に来た。

「レイン! 卵、三つも産んでた!」


目を輝かせて報告する彼女を見て、俺は静かに「そうか」とだけ返した。


小さなことだ。

卵が三つ増えただけ。

それでも、リリアの笑顔を見ていると

使った価値はあったと思えた。


この力は、誰かを少しだけ楽にするくらいなら、使ってもいいのかもしれない。

そう思いながら、俺は今日も畑に出た。

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