↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/12

第2話 試しに、少しだけ

朝食を終えて、俺は家の裏手にある小さな畑に出た。

今日の仕事は、雑草抜きだ。


兄のカイルがすでに先に出ていて、腰を屈めて黙々と手を動かしている。


「遅いぞ、レイン」

「ああ」

短く返事をして、隣に立つ。

土の匂いと、朝の風が気持ちいい。


草を引き抜きながら、ふと、昨日の違和感を思い出した。

あの「傾いている」感覚。

試しに、少しだけ意識を向けてみる。


——今日の作業が、少しだけうまくいきますように。

そう願うように、自分の中の何かを、ほんのわずかに動かした。

直後、胸の奥が軽く熱を持った気がした。

気のせいかもしれない。


だが、次の瞬間、手に触れた雑草が、根ごとすんなりと抜けた。

土が柔らかく、力を入れすぎる必要がなかった。


「……」

カイルが横目で見てきた。

「今日は調子いいな」

「たまたまだろ」

そう返しながら、内心では少し驚いていた。


もう一度、意識を向ける。

今度は、カイルの方へ。

——兄さんも、少しだけ楽にできますように。

すると、カイルの手が止まった。

次の草を掴んだとき、彼もまた、すんなりと引き抜いていた。

「……なんだ、今日は草が弱いのか?」

カイルが首を傾げる。

俺は黙って、作業を続けた。


小さなことだ。

雑草が少し引き抜きやすくなっただけ。

それでも、胸の奥で、何かが確かに動いた感覚が残っていた。


この力は、きっと「運」なんだろう。

俺は、まだそれを、誰にも話さなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。