↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/12

第1話 小さな違和感

目が覚めると、まず天井の木目が目に入った。

前世の安物アパートの白い壁とは違う。


黒い梁が走る、古くて温かみのある天井だ。

「……ああ、こっちの世界か」

呟いても、返事はない。当然だ。


転生してから、もう十年以上が経っている。

最初の頃は毎日のように混乱していたが、今ではこの体も、この村の空気も、当たり前のように受け入れている。



俺の名前はレイン・オルティス。

辺境の村ミストウッドで、

そこそこ裕福な農家の次男として暮らしている。


窓の外から、鶏の声と、遠くで誰かが水を汲む音が聞こえた。

朝の村はいつも静かで、忙しいはずなのに、どこか緩やかだ。


布団から出て、顔を洗いに行く。

井戸の冷たい水が、眠気を少し飛ばしてくれた。

そのときだった。


ふと、胸の奥がざわついた。

何かが、ほんの少しだけ「傾いている」気がした。

手を止めて、周囲を見渡す。

特別なものは何もない。ただの朝の光景だ。


なのに、なぜか

「今日は少しだけ、いいことがありそうだ」と思った。

根拠はない。

ただ、感覚がそう告げている。


「気のせいか」

自分にそう言い聞かせて、家の中に戻る。

母がすでに台所に立っていて、朝食の準備をしていた。


「おはよう、レイン。今日は天気がいいみたいよ」

「ああ」


短い返事を返して、席に着く。

パンとスープ。いつもの朝だ。

ただ、パンを口に運んだ瞬間、なぜか「今日は焼きたてだ」と分かった。


母は特に何も言っていない。

なのに、確信があった。

小さな違和感。

それを、俺はまだ「運」だとは思っていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。