プロローグ3
宿題が全然終わらない……。
このぶんでは今日も徹夜になるだろう。
そう思って学校の帰りに買っておいたエナジードリンクを冷蔵庫に取りに行って部屋に入るとそこには足絵の姿が。
何やら魔法使いのコスプレ? をしていた。
「ここはコスプレ会場ではありません!」
俺は驚きを通り越して呆れていた。
「それと後、割ったガラス弁償だからな! まだ肌寒いんだぞ!」
「ごめん、ごめん、ガラス割ったの謝るから、でもその必要は無いわ!」
こいつは弁償しない気なのか?
このバカな娘の親の顔を見てやりたい。
「お前ガラス弁償する気ないだろ?」
「実はね、私と一緒に異世界に来て欲しいの」
質問に対する答えになっていない……。
「だから! ここはコスプレ会場じゃ無いって言ってるだろ!」
足絵がまた言い返してきた。
「てつやってほんと頭が悪いわね」
魔法使いの格好で頭のおかしいこと言ってくるやつに言われるすじあいはねぇよ!
そう言い返そうとしたがバカバカしくなってきた。
すると足絵が。
「てつや、異世界行ってみたくない?」
バカバカしいのでとっとと答えて早く帰ってもらおう。
「行ってみたいさそりゃ、でもそんな世界なんてねぇーし、もういいだろ早く帰ってくれ!」
「それじゃあ、行きたいのね、てつやのことだから行くって言うと予想してたけどね!」
行く なんて言った覚えがないのだが。
ーーその時だったーー
窓の外から
「見つけたぞ! 早くしろ!」
「分かった、そっちだな」
明らかにこちらを向いて二人の男たちは話しているようだった。
それもそのはず、窓ガラスが割れて中が丸見えになっている。
おそるおそる足絵に聞いてみると。
「なぁ、あれってコスプレ仲間か?」
違う!
そんなこと聞きたいわけじゃない!
どこか現実を受け入れたくない自分がいる。
足絵はベッドの下をあさっていた……?
俺はハッと我に帰った。
そこはヤバイって!
何がヤバイってそこには……。
「なぁ、足絵そこには何もないぞ!」
「何もないならどうして無理やり止めようとするの?」
「何もないならあさってもいいじゃない!」
こいつー、そこに何があるか察したようだ。
早く足絵をベッドから引き剥がさなければ!
足絵のことだ、絶対明日クラスのみんなに言いふらすことだろう、そうなってしまったら俺の居場所が無くなってしまうぅぅ!!
こいつ、思った以上に力強い!
そうこうしていると二人の男たちが立っていた。
「アーシェ様早くお父様の元へお帰り下さい!」
「仕方ないわね、もう少しここにいるつもりだったけれど今から戻るわ、だけどね、あの許婚とはぜーったい結婚しないから、そうお父様に伝えなさい」
「承知いたしました……、しかし……」
「あなた達はそれだけを伝えればいいの、分かったなら早く行きなさい!」
どうやら足絵の知り合いらしい。
男はそう告げると魔法の呪文? を唱えて消えた。
ついに例のブツを手に入れた足絵はにんまりと笑うと、中を開いてこちらに見せつけてきた。
あぁ……、終わった俺の学校生活、俺はニートになるしかないだろう……。
気づくと鼻血が出ていた。
なんてこった鼻血まで出てくるとは。
足絵は俺の血で魔法陣のようなものを書いていた!?
「足絵何やってんだよ!」
「ちょっと静かにしてて、あと少しで完成だから、それとあと私の本当の名前はアーシェだから」
足絵の本名はアーシェらしい。
足絵の知り合いのような男達が足絵のことをアーシェ様だとか言っていたから大体察しはついたが。
「なぁ、アーシェ今から何をするんだ?」
「今話しかけないでって言ったでしょ!」
何やら円のような物をかいている。
「できたわ!」
完成したそれはまさしく魔法陣だった。
「さぁ、てつやこの上に立ちなさい!」
「この上に立っても何も起こらないよな?」
目の前で消えた二人の男たちの事を考えると何かとてつもないことが起こりそうで不安になる。
「起こるに決まってるじゃない! 何のためにてつやの血を使ってまで魔法陣をかいたと思ってるの?」
「さぁさぁ早く魔法陣の上に立って!」
俺は何も起こらない事を神様に祈った。
そして魔法陣の上におそるおそる立ってみる。
やはり何も起こらなかった。
心配し過ぎた俺がバカだったようだ。
しかし、アーシェも魔法陣に入ってきて呪文? を唱え出すと魔法陣が青く光り出した。
「それではてつや、手や足、触覚、尻尾などを出さないように! もし出しちゃうと体の一部分だけ転送されないことがあるからね」
「なお、身体の保証は致しません……」
これはアトラクションかよ!
俺とアーシェの体が完全に青い光に包まれた。




