思い出
機関車は、大きなボイラーに短い煙突で
ゆっくりと煙を吐きながら走ってゆく。
青森で見た機関車に似ていて
僕は、その夏を思い出していた。
小学生の頃。
なぜか楽しかった夏。
その多くは、そんな田舎への旅があったからかもしれないな。
なんて、回想する。
最初は客車列車だったけど、そのうち寝台特急になって
ブルートレイン。
まだ珍しかった冷房に当たるのが、なんとも不思議な気持だった。
田舎だと、別にそれが無くてもそんなに暑くなかったし。
東京でもそんなに暑いとも思わなかった。
やがて、東北本線も電車が走るようになり
新幹線みたいな塗り分けの電車に乗るようになった。
これが、真ん中が廊下で左右に寝台が3段あって
昼間は座席になる面白い作りだった。
もっとも、昼間は乗った事が無かったのだが
発車時間が遅い(23時なんてものあった)時は
朝になると座席に作り変えられた。
それを見ているのも面白かった。
シーツやカーテンを畳んで、上の段に投げて
柵を畳む。
梯子を畳んで入れる。
上からベッドを押し上げて、天井に沿わせて止めると
壁になる。
真ん中を押すときに、網棚を落としてから
隙間を通す。
これも壁になる。
最後は、下段のベッドを背もたれにするのだったが
座席は、元々のベッド。
面白い作りで、からくりのようだった。
作業をする人は、滑らないようにか
サンダルに素足。
よく考えられているものだ、と思った。
そんな夏の日を、ふと回想している僕は
どこかに逃げたいのかな、なーんて思ったりもした。
青森の駅は、石炭の匂いが香ばしかったな、なんて
大岡山でも、入れ替えに蒸気機関車があるから
時々、それを見に行ったりするのだった。
当時はまだ、国鉄がそういう時代だったから
人員を減らす前に、近代化をすると
人が余ってしまうし
国内の石炭需要を保つ目的もあったのだろう。
東京から少し離れると、扇型の車庫に
大抵は蒸気機関車が入っていた。
東海道線でも、国府津で言うと
駅の北型に、大きな車庫と転車台があったくらいだった。




