SONY LL1750
この諭は、すらっとしていて
背が高く、剣道部だったし
顔立ちも、はっきりとしていて
でも、ユーモアがあって気さくなので
女の子にも人気があった。
当然そうなると、親友の僕のところに
バレンタインなんかにはクロネコメンバーズ(笑)
になる。
渡して、なんてのは普通にあったから
僕も諭に「はいよ」って普通に渡す。
諭は少し恥ずかしいらしく「いいよ、開けちゃって」なんて言うけど
それは可哀相だからさすがに避けた。
僕は、なんというかホルモンの不足なのか
見た目も中性的だったし
あんまり、そういう妬む気持ちとか、解らなかった。
音楽のおかげかもしれない。
いつも、心で音楽を聞いていたみたいで。
まあ、僕はいつもどちらかと言うと
女の子グループにいたから
あまり、不足感がなかったのかもしれない。
どこでもそうだと思うけど
ブラスバンドとか、文芸とか
そういうとこは、そんな感じで
おとなしい人があつまった、みたいだった。
ある年のバレンタイン、たしか3年の最後だったと思うけど
僕は3D、諭は3Cだったから
つまり、僕は郵便局になる(笑)
その中で、格別想いの深い女の子がいた。
原田久子。
小柄で、おちゃらけていて
まあ、ほどほどにスレてる感じなので
あんまり可愛くはないけど(笑)
まあ、そんなものかな、と言う。
その子も、バレンタインで。
でも、どうしても告白したい、って言う(笑)
僕に言わないで自分で言え(笑)
でも、それは恥ずかしいって言うので(変な奴)
諭に言うと「嫌だよ俺、あれは」
諭は、転校する前に好きな子がいたらしく
その子を今でも思ってるらしい。
文通、なんかもしてるらしく
時々会いに行ってる、みたいで
剣道の大会の時、会場で会ったりしてるとか。
ふーん。それじゃな。と
僕はそれをそのまま久子に伝えた。
「なんだって」と言うと
久子は「それでも言いたい」と
駄々をコネる、泣く(笑)
放って帰ろうと思った
日枝神社の境内。
大きな銀杏の木の下だった。
でも可哀相だから「ちょっと待ってな」と
僕は、諭の家へ行って
「いらないテープある、それとラジカセ」
諭はモデルガンを磨ている。
この時持ってたのはベレッタ、だったかな
いすゞのべれっとなら知っているが(笑)
父が設計チームにいた頃の作品だ。
訳を話すと、諭は「そうか」と行って
テレビドラマの入ったテープを入れてくれた。
雑居時代、だったかな。
ビデオがなかったので、録音して聞くのが
割と流行っていた。
家族みんなで楽しんだものだった。
サインはVとか、アテンションプリーズとか。
ま、いいか。
そのテープに、久子のメッセージを入れて
聞かせればいいと思った。
僕はラジカセを持って、久子のところに行き
「これに録音しなよ」と言うと
久子は、もう泣き止んでたが
「でも、誰かに聞かれたくない」と
駄々をコネるので、本当に殺したくなった(笑)。
てめぇで言えよ。
人の世話になっといて。
そういう所を諭は嫌いなんだろう。
諭のガールフレンドは、しゃっきりと
筋を通すタイプに見えた。
剣道をする諭らしい。




