いたずら相談
「もう1曲はどうしよう」
と言う中山の言葉にも
ちょっと焦りが感じられる。
僕は、そんな中山の
あの時の事を思い出して。
「あのさ中山、[jesus christ superstar]やろうよ」
しんちゃんは、はっ、とした。
そうか!
「どうやって?」と、中山は言う。
「ブラスバンド全員でさ、コーラスのフリして
練習すればいいんじゃない?趣味の。
それなら一ヶ月でも出来るさ。伴奏だけなんだし、後は。」
面白いね、と中山。
元々、やりたかった曲である。
僕にも、合唱コンクールの時に
ふざけてて、中山に悪い事をしたって
思いもあった。
「おもしろーい。」と、朋ちゃん。
にこにこした顔は、ハンバーグみたいだった(笑)。
ハンバーグ、って
この頃、有名だったシャンソン歌手の
菅原洋一さんの事(笑)。
まだまだ、そういう洋楽っぽいものが
人気があった時代である。
後々、金儲け第一になったテレビは
音楽なんて流さなくなるのだけど。
「でも、叱られないかな」と、たけちゃん。
「元々、僕らは審査外だもの、好きにやってもいいんじゃない?
コンクールのゲストだもの」と、僕が言うと
中山は
「それだったらさ、エレクトロニックピアノも、ギターもベースも、ドラムも入れようよ。」
元々の[燃えよドラゴン]のサウンドに
近づけたいらしい。
「どうやって運ぶ?ドラム。ギターやベースは
隠せても」と、僕が言うと
たけちゃんは「うちのお店の出前のふりしてさ。」
たけちゃんの家は、おそば屋さん。
市民文化センターなら、入っても
怪しい事もない。
「面白いね!」と、中山もにこにこした。
素顔は14才である。
翌日から、コーラスの譜面を密かに配り
やり方を説明。
ノリのいい奴らなので、こういう事は
簡単。
「ああ、前と違っておおっぴらに練習出来る分楽だよ」と、みんなの声。
でも、僕はなんとなく物足りない。
[黒いジャガー]を、やってみたいのだけど。
頭の中に、あのカッコイイベースのメロディーが
響く。




