第8話 見守りつつの、討伐依頼
「いたね?」
「ああ」
ゴブリン討伐のために、移動を何回か繰り返して……小一時間くらいか?
奴らの巣穴のひとつに到着したんで、一度草陰から様子をみることにした。
魔物の一種。
言語を話すことはないが、多少の知能はあって狩りや繁殖の能力はもっている。
人間とかが食料にすることはまずないし、害獣扱いになっているのは畑を荒らすことで確定しているから……冒険者でも、駆け出しかちょい上が討伐するのにちょこちょこ依頼がギルドに行くようになっているんだ。
俺はCランクだけど、今回は相棒になったセイの初舞台のためだからな? 巣には、三体くらいしか見当たらなかったが、セイに聞けば『任せて』と頷いてくれた。
「相手の動きをよく見て、隙が出来たら打ち込む! だよね?」
「おう。魔法でも牙や爪で割くでもなんでもいいぞ」
「頑張ってくる~」
俺から、忍者だったときの心得をひとつ伝授したからか、セイはやる気に満ち溢れていた。
親には突き放されたというか、自立するようにさせられても。自分で生きていく方法を見誤ったりはしないようだ。俺と言う主人が出来てもそこは同じ。
草陰から飛び出し、吠えてから軽く威嚇すればゴブリンらから注目を集めるのは当然。
だが、その一瞬の隙を、セイは見逃していなかった。
アォオオオオオオオオっ!!
吠えと同時に、つむじ風をいくつも展開させた。
それをゴブリンらに当たるように操作していけば、吹っ飛ぶのは当然でもかなり高い位置まで飛んでいったのには俺もびっくり。そのまま落下していくのは、受け身を知らない者からすると無防備状態なのも仕方ない。
ただし、セイの攻撃はそこで終わりじゃなかった。
もう一度吠えれば、今度はバリバリと音が鳴って。同時に雷の筋が走ってゴブリンたちを突き抜けていったんだ!?
「ほー? 雷の魔法も扱えるのか??」
風と雷。両方の属性持ちは人間でもちょっと珍しい部類に入る。亜人だと、混じった血族の特性でふたつ以上はあるとか聞いているけど、セイは聖獣のフェンリルだから、ほかにも属性があるかもしれない。
とは言え、ゴブリンら全員丸焦げになったので、これはいい検証をすることが出来た。ふわふわで可愛い見た目でも、やっぱり聖獣の子どもに変わりない。息絶えたことを確認してから、セイは俺の方に振り返ってきた。
「リアン!! 出来たよ!!」
「お~。見てた見てた。期待してた以上に出来てんじゃん」
「ほんと?!」
「ああ。セイはほかになんか属性持ってんのか?」
「ん~? お母さんはたくさん持ってたけど、ぼくは今のふたつかな?」
「なるほど。成長すると身につくかもしれないのか?」
それはそれで面白いが、俺は人間なので魔法の属性はひとつしかない。しかし、アサシンの職業には活かせるものだから気にしてなかった。
属性は、闇だ。
日陰に溶けこむことも出来れば、夜闇に紛れて気配を消すことも出来る。まさに、アサシンというか忍者向きの属性。基礎魔法くらいはほかの属性もちょろっとは出来るけど、そこは本当に基礎くらい。
セイにもそこは教えてやった方がいいかなと思いながらも、ゴブリン討伐完了ということで討伐証拠を回収することにした。これが面倒なんだけど、耳とか鼻を削ぐとか生臭いことなんだよな~? 丸焦げだけど、耳らしきとこを三体分カットしてからインベントリに入れた。
「今日は終わり~?」
「そうだな? ギルド行って、納品したら買い物に行こう。セイは街の中ほとんど回ってないだろ?」
「うん! 美味しいものいっぱいあるのかな?」
「あるある。ま、俺が作った方が美味いけどな?」
「それはそうだね」
「お、おう」
まだステーキサンドイッチくらいしか食べさせていないのに、だいぶ懐かれたようだ。
実力もちゃんと認めてやったから、余計にその信頼を持たれたのかもしれない。
弱肉強食の自然界とやらでひとりで過ごすことを思うと、誰かといっしょにいることが嬉しいのだろうな?
俺もまあ、可愛くて強い相棒が出来たのはいいことだと思っている。ひとまず、ティルンの冒険者ギルドに行って納品しにいくことにした。
次回は木曜日〜




