第5話 従魔登録について
セイを連れて、街に行くことにした。最初は抱っこを考えたが、セイはバランス感覚がいいのか肩に乗せてもそんなに重くないのでそっちで移動することに。
当然、俺みたいな男がふわもこの可愛い獣を連れているからそれなりに目立つ。
目立つのは仕方がないが、従魔にするんなら別段問題ないだろう。ってことで、堂々と冒険者ギルドに向かうことにした。
「従魔登録書がほしいんですけど」
受付に尋ねると、俺の肩にいるセイに視線が釘付け。まあ、子犬以上に可愛い見た目だから、女性の場合は目が点になってもおかしくないだろう。俺がもう一度聞くと、はっと我に返ったのかで手続きを始めてくれた。
「はい。従魔の登録ですね? この書類に、種族と名前。それと、契約者の名前を書いていただくだけです」
「わかりました」
セイの種族をフェンリルにしておくわけにはいかないから……精霊族のウルフディアにしておいた。似てなくはないけど、可愛らしい今の見た目なら誤魔化せるからな? あと、人語をしゃべらせるわけにはいかないから、セイにはギルドに入ったら話さないように言いつけてもある。
「受諾しました。これでお終いです」
「ありがとうございます」
それと受付にもう一件、と、魔物の皮の買い取りを頼んだ。路銀に困っているわけじゃないが、少ない金額でもバカに出来ない。こつこつ貯めていけば、それなりの金額になるし、露天商からもいい買い物とかが出来たりするから。
「よぉ、リアン。買い取りか?」
「ん」
インベントリから品を出していたら、この街で知り合った冒険者に声をかけられた。サファって名前で、俺よりも恰幅がよく、腕っぷしも強いことで常駐しているひとり。
年齢は俺より少し上でも、タメ口しても気にしないところも気に入っている。職業はファイターで、相棒の長剣を背負って準備万端って感じだな。これから任務に向かうんだろうか。
「えらくでかい魔物の皮だな?」
俺が持ってきた熊型の皮を見るなり、感心する口調も厭味ったらしくない。こういうのが女にはモテるんだろうな? 実際、受付の女性はぽーっとなっているし? とりあえず、手続きしなくちゃなんない。
「野営地の近くで、見つけてな。あと、こいつ俺の従魔になったから」
「お? なんだ。えらく可愛いやつだな?」
「セイって名付けたんだ」
「お~? 触って平気か?」
「ん」
警戒心はセイが持っているように見えなかったし、主人が許可を出したら理解したのかで頭を少し下げていた。人語を理解しているから、親のしつけはともかくとしてセイは利口だ。相手のことを貶したりするような性格じゃないのか、素直に好意を受け取るところはきちんとしている。
サファがよしよしと撫でても、クルルと喉を鳴らす以外は普通の獣にしか見えないように偽装しているところもあとで褒めてやりたいと思ったほどだ。
「ふかふかしてんな?」
「いい毛並みだろ? 俺も気に入っている」
「こいつなに系?」
「あ~? 精霊系?」
「……なんか、隠してんだろ?」
「おおっぴらには言いたくないな」
というやり取りをしたあと、サファは同行するメンバーに呼ばれたのかでそこで別れたが。
まったく、人気者は大変だなと思うしかない。俺みたいなそこそこのランクの冒険者を気遣うくらいだから、どこかしこでも引っ張りだこなんだろう。
買い取りの方は、割かしいい金額が出たので食材を買い込むかと決めた。
山の中しか知らないセイに、街はこんなんだぞと教えてやりたいしな?
《リアン。ここは終わり?》
テレパシーで確認を取ってきたので、『ああ』と答えてやれば尻尾を縦に振った。ギルドがいやなわけではないだろうが、視線が強く感じるのは少し嫌なんだろう。俺も悪目立ちしたくないから、常駐している宿屋に一旦戻ることにした。セイと生活することも女将さんに伝えなくちゃなんねぇしな?
「あんら、可愛い従魔ちゃんだねぇ? いいよ~。リアンくんは行儀もいいし、マナーもちゃんと出来てるから大丈夫だろうさ」
「ども」
マナーについては、女の方から。
戦闘については男の方から、知識と経験を引き継いでいるだけだし……行儀作法が出来て当然な子どもに育っただけだからな? 記憶が蘇ったときは相当寝込んだし、頭が大混乱したのも懐かしい。
あれはまだ、俺が普通のガキでしかなかった五歳の頃だったか。
次回は木曜日〜




