第11話 オーク肉のピリ辛味噌炒め
適当に開けたところで、インベントリの中を確認したが。
中身のステータスを確認すれば、少し面白い調味料が残ってたんだ。
「……味噌、か」
ただの調味料じゃない。女だった時の記憶を頼りに作った自家製だ。見た目はあれだが、これがあるだけで味の変化が大きく変わるのは実証済み。
それに、セイはまだ味付きの肉とかはあんまり食べさせていないから……いい機会なのかもしれない。
(味噌だけじゃなくて、一味に近い唐辛子入れるのもおススメやで~?)
と、女の方からツッコミがあったので、それならと、インベントリの中にないか一覧を確認すれば……少しだけど、残っていた。
「よっし! 作っていくか?」
まずは、解体したオーク肉のブロックを『細切れ』にしていく。厚さが均一じゃなくても、食感が面白くなるから気にしない。熱したフライパンに肉を入れ、少々の塩を振ってから全体に火を通す。
(野菜も適度に取りや~?)
(辛い肉だけだと、つまらない……)
そんなツッコミがあったが、きのこはともかくとして野菜がインベントリにあるかどうかを確認してみる。きのこは少しばかり残っていても、野菜はキャベッツしかなかった。前世扱っていた『キャベツ』と似ているが、生より炒めた方が美味いやつ。
味噌味単体だと濃いし、せっかくだからざく切りにして炒めることにした。
「キャベッツに火が通ったら、味噌、唐辛子、酒少々を加えて混ぜて~」
軽く色が変わるくらいに混ざれば完成だ。食欲を掻き立てる甘辛い匂いに、胃袋が超刺激されてくる。
セイもいい匂いに耐えられないのか、俺の横でよだれをだーだー流していた。地面に軽く水たまり出来るくらいに……まあ、それは仕方ないとして。
「リアン~。出来たの??」
「ああ。皿に盛ったら、完成」
味噌と油のコーティングで照り輝いているようにも見える炒め物だが。
これ単体だと、濃いから……インベントリに入れていた食材のひとつ。『コメっと』という穀物の塊を出した。前世の知識だと『コメ』って植物を炊いたもんだが、単体だと淡い甘味しかないのだけれど……濃い味付けのメインと食うと、やばいくらいに相性がいいんだよな!! 市場だとあんまり見かけないが、俺は見つけたら積極的に買うようにしている。
塊にして保存しておいたそれを、フライパンで軽く炒めるようにしてあたためてから別皿に添える。セイは白い粒の集合体にしか見えないそれを見て、『?』というように首を傾げていた。
「リアン~? これなぁに??」
「今日の飯は味が濃いからな? 騙されたと思って、合間に食べてみろよ?」
「……リアンがそう言うなら」
まずは、味噌炒めの方から。フォークで持ち上げても陽に当たると、より一層照り輝いているように見えて堪らなくなってくる。ひと口かじれば、甘辛い味噌の味わいに、ちょっとだけピリッとした辛味が加わって……これは、やはり、『コメっと』がなきゃな!! と、俺はそっちの皿を手に取って、少しかっ込む。
コメっと自体はたしかに味があまりしないが、ふんわりした甘味が濃い味を受け止めてひとつにまとめてくれる。この快感は、ふたつの前世でも経験していたが、今生で何回経験しても飽きない!
「あ~~。マジで、うっま!!」
「お肉もだけど、葉っぱの部分もしゃきしゃきしているのに甘いんだ~~」
まだセイはコメっとを食べていないようだったが、炒め物は気に入ったらしい。口周りが味噌色になっていてもお構いなし。あとで、それは水魔法とかで洗えばいいと思っていたら、コメっとの皿をちらちら見ていた。
俺のかっ込み方を見て、余程美味いのかどうかを気にしているようだ。しかし、炒め物だけ食べてこっちを残したくない気持ちとせめぎ合っていたのか。がぶっ、と、塊の一部を口に入れれば……熊肉のサンドイッチのときのように、ぱあっ、と、目がきらきらし出してた。
「どうだ? 美味いだろ??」
「ほんとだよ!! お肉だけでもしょっぱくて辛くて美味しいのに。こっちは少し甘い~~。交代で食べるともっと美味しいよ!!?」
「コメっとの可能性は無限大だからな? 夕飯には『ドンブリ』っての作ってやっから、そっちも美味いぞ?」
「楽しみ~~」
まあ、食べ方は今回と似ているけど。器にコメっとを敷いて、その上に具材を乗せたやつ。
オーク肉も結構あるし、ステーキ丼もいいかもしれないが材料がちと足りない。討伐完了の報告とかが終わったら、ギルドの中でも露店はあるし……探すか?
せっかくなら、久しぶりに『揚げ物』が作りたくなった。揚げ油になるほどの量は結構値は張るが、貯蓄はそこそこあるから問題はない。セイに食わせてやりたい気持ちもあるが、俺だって食うからな?
宿屋に戻ったあと、女将さんに許可申請して厨房も使わせてもらおうかと思いつく。そうとくれば、片付けをさっと終わらせ、軽く食休みをしてからセイとダッシュで街に戻ることにした。
次回は木曜日〜




