第10話 忍者っぽい技とか?
セイを従魔にして三日目。
今日もいくつか依頼を引き受けて、半分くらい片付けてた時だ。
セイにもう少し運動能力を身につけさせれば、と、指導してやることにした。
まずは木登りだが、単純に跳び乗るだけじゃない。壁昇りのようにして、歩いたり駆け上がったりして登る方法だ。
「え……? そんなこと出来るの?」
俺が歩いてから木の幹に立っているように見えるのが不思議で堪らないのだろう。たしかに、体幹がうまいこと整わないと重心がずれて落ちるだけに終わるからな? そっから、枝に移動して逆さまにぶら下がっても同じことが出来るのに、セイは『えぇえ?』と目を丸くしていた。
「忍者って職業はこういうことも出来るようになるんだ」
俺の前世を唯一知っているセイにだから教えること。家族も今までの知人友人やギルドの面々にも誰にも話していなかったが、相棒になったセイにだから話せる。
くるっと一回転してから地面に降りると、セイは感動したのかで尻尾を強く振り出した。
「すごいすごい!! ぼくも出来るようになるかな??」
「う~~ん。まあ、練習しまくれば?」
「そっか! えーい!!」
しかし、いきなり出来るわけがないので、幹に足をかけてもすってんころりんとなった。そこはまあ、すぐ出来たら苦労しないので笑わなかったが。
「バランス感覚養うのが大事だな? 少し移動しながら訓練してみるか?」
「どんな~?」
へにょってしょぼくれていたけど、俺のアドバイスで気力が戻ったのかしゃきっと起き上がった。
こいこい、と指示してから俺の肩に乗ったけど。そこじゃなくて頭に乗るようにと移動させた。
「ここに座ってて、俺の出すスピードにまず慣れろ」
「肩じゃだめなの?」
「揺れ方が違うはずだ」
「へー?」
なので、まずは次の依頼書の中身を確認してから、地面を蹴って移動開始。すぐにセイが俺の頭にしがみつくが爪を立てないように気を付けるのが可愛かった。たしかに、頭にはバンダナ以外の防具身につけていないからな?
「どうだ? 全然違うだろ?」
「はやいはやい!! 揺れる揺れる~~!!?」
「この揺れに慣れれば、多少は体幹鍛えれるぞー?」
「が、がんばる~~!!」
次の依頼は、オークを五体討伐。肉は上質な豚肉そっくりだし、臓物はこいつの場合は食えるんだよな? 何故か。俺としては料理人だった女のスキルを最大限に活かせるし、セイにも美味い飯を食わせてやれるから問題なし。
木と木の間を跳ぶようにしながら移動したが、セイが落ちないことを気遣いながらも上空からオークの巣を探してみる。だいたい、二キロくらい移動してから、それらしき巣窟が見えてきた。五どころか、十体いたけど。
(ん~~……セイの魔法も使ってもいいかもしんねぇが、新作も試したいし)
ひとつの木の上に止まってから、インベントリを開けてごそごそとあるものを探し出した。それらしい塊を見つけたときは、にやっと笑った自覚はあるが、こればっかりは仕様がない。
(忍びとして、薬学は必須項目)
とかツッコミがきたけど、たしかにその通り。リアンが記憶を頼りに編み出したのは、閃光弾というもの。簡単に言うと目くらまし。攻撃性は低いが、かく乱させるにはちょうどいい。いつか、それなりの爆薬である焙烙とか作れるようになりたいが、まだまだ火薬の調合が合致しないんだよな? これはその副産物と言っていい。
「セイ。今から下にこれ投げるから、目をつむってろ」
「へ?」
「いいって言うまで開けるなよ?」
「は、はい」
火種の魔法で導火線に火を点け、ぽいっと投げたら俺も少しの間目を閉じる。
爆発音と同時に、下がぎゃーぎゃーと騒ぐ音が聞こえてきたので、あとは突撃するだけだ。短剣二本を構え、木の上からオーク一体を仕留めるのに飛び降りる!! セイには、そのまましがみついてろと指示した。
「おら!!」
まず、一体の首根っこを掻けたのですぐに絶命。ほかの連中はまだ目が回復してないので、ぐるぐる回っているのもいれば、こっちに向かってくる奴もいた。
やられるか、と、反転して短剣を振るって二体目。そのあとに、三体目もあっさり。
「す、すごい!! ぼく乗せたまま出来るなんて!!」
「その感覚が大事だ。護衛任務だと、相手を守りながら戦うことだってある」
「はい! 魔法、使っちゃダメ?」
「あ~……そろそろいいか?」
しゃべりながら、五体目まで討伐出来たのでセイの活躍の場を残しておくことにした。今回は雷じゃなくて、風の刃を振るうもので……瞬殺もだが、胴体とかがすぱっと割れるから血が噴き出すのが凄かったけどよ? グロいのに耐性がある俺じゃなかったら、卒倒ものだな?
「わーいわーい。オークも倒せた~!!」
俺の誘導あってこそでも、自分の魔法が役に立てたのが嬉しいのだろう。はしゃぐあたり、まだ子どもだと苦笑いしたが、独り立ちしたてなのでそこはまあ仕方がない。とりあえず、オークたちは全滅したので、討伐証拠を取ったあとは解体して、可食部とかはインベントリに仕舞い込んだ。
「よし。この巣を焼却してから、適当なところで腹ごしらえするか? オーク肉は焼くとめっちゃ美味いぞ?」
「わーい。リアンのご飯~」
俺の相棒になり立てだが、自分で出来ないことが理解しているだけでもいいことだ。女だったときのことわざっていうのだと、こういうのは『適材適所』ってやつだったか? ひとまず、荒っぽい忍者の修行にも積極的についてこようとする姿勢もわかってきたから、俺としては未来の頼れる相方をしっかり育てないとと気を引き締める。
次回は火曜日〜




