21.入試のお知らせがきました。
グレイモアに引っ越してから、一週間がたった。
今の暮らしにも、大分慣れてきた。
俺に対する、使用人達の扱いは、まるで骨とう品を扱うかの如く丁寧で、逆に俺が気を使ってしまう。
炊事や洗濯は勿論、着替えは食事までも使用人が手伝ってくれていた。
まあ、流石に着替えと食事の方は恥ずかしかったのでやめて貰ったけど。
「さあ、今日もゾーマ様にご奉仕をするわよ!」
「「ハイ! エルフィンさん」」
エルフィンは、メイド長として女性陣を従えている。
特に、俺の世話に関しては懇切丁寧に享受しているらしい
何でも、着換えや食事のお手伝いも侍女のご命令だとか。
流石に過保護すぎるな。うん。嬉しいけどね。
「いいか! お前ら! 魔王様に使える男性陣は強くなくちゃいけねえ!」
「ゴブ平の言う通りだ。というわけで、今日も外で筋トレだ!」
「「はい! ゴブ兄さん。オーク兄さん」」
ゴブ平とオークンも、男性陣のリーダ的存在として、男の執事に礼儀作法や喧嘩の基礎などを教えているそうだ。
まさかゴブリンやオークに礼儀作法を教わるなんて、執事たちも思ってなかっただろう。
「俺も頑張らないとな」
新しいリビングでお茶をすすりながら、俺は手元にある手紙に視線を映した。
手紙にはこう記されている。
『ゾーマ・ベルゼブブ様へ。の王立聖闘士魔法学院。受験のご案内』
王立聖闘士魔法学院。
魔界随一の名門校だ
この学校では、学外とは違って身分による差別は介在しない。
庶民でも、奴隷でも、強ければいいのだ。
戦術を心得ておらず、武器をろくに扱えない者でも、魔法の才能があればいい。
魔力量が少なく、適正が1つしかなくても、他の分野で他を圧倒すればいい。
何かが人より劣っていても構わない。
勝負に勝てる《強者》ならこの学校では優位に立てる完全なる実力主義をモットーとしている学校だ。
逆を言えば、例え貴族でも王族でも魔族の者でも、実力不足と認定されてしまえば、劣等生という不本意な称号を与えられてしまう。
「相変わらず、清々しい程の実力主義な学校だな」
この学校では、生徒の向上心を底上げさせるために、成績によって待遇のレベルを変えているらしい。
その1つの例が、学費と生活費の免除制度だ。
庶民や奴隷のような金銭的に入学できない者でも、
入試の成績で上位三名に入れば学費や生活費全てを学校側が負担してくれるし、
希望者によっては学校生活をより充実させるために、付き人を傍に置くことが許されている。
こういった他の学校では味わえない異質な環境と一級品の待遇のおかげか、常に受験希望者の数は魔界一で、いつも倍率が高い。
今年も例にもれず、大勢の人が受験を志望している。
定員が300名なのにもかかわらず、
受験者は2000人。
予定倍率は6.6倍と狭き門となっているそうだ。
「とうとうこの時が来てしまったな」
歴代の魔王や冒険者、魔界騎士団で名を馳せた人達は皆この学校を卒業している。
そんな鬼門とも呼べる学校の受験に、俺はいよいよ明日挑むのだ。
「……大丈夫かな。俺」
封筒の中に入っていた試験の内容を見てそうつぶやいた。
試験の内容は、全部で5つ。
1・筆記 採点100点
2・魔法 採点100点
3.スキル 採点100点
4・武道 採点100点
5・実技 採点600点
合計1000点満点。
合皮の判決は、テストの成績順で決まり、上位300名が合格らしい。
テストの細かな内容は、筆記は魔法理論や魔界史を中心としたペーパーテスト。
魔法、スキルはステータスを水晶で見て魔力量や適性属性、あとスキルのレア度と個数を見て点数をつけるらしい。
まあ、魔法はともかく筆記、スキルは恐らく満点だろうな。
俺はウェホウドさんと2年半みっちりと魔界の事を学んだ。
スキルの方も、剣聖しか宿していなかったレア度SSや、この2年半でコピーした無数のレアスキルがある。
武道のほうも会得した戦術を披露して点数を貰う仕組みらしいから、俺は剣術を選んで、伝説の技「神の裁き」を披露すれば満点を貰えるはず。
残る最後の実技は、王学側が一番重要視している、魔法、スキル、武器全てを使って行うトーナメント式の実戦だ。
勝てれば正義を地でいっている校風なため、最後の実戦で優勝できれば、これまでのテストの内容が全て0点でも十分巻き返せる仕組みとなっている。
まあ、普通に考えて実戦で優勝できるような奴が、魔法や戦術で0点になるとは思えないけどな。
でも、このテスト構成は俺にとって有利なのは間違いない。
魔法のテストが0点でも、この実戦を入れた残りの4科目で満点を取れば900点も取れる。
実戦の方で、ヘマさえしなければ、首席合格はほぼ確定といっていいだろう。
その実戦も、俺はこの歳で既にウェホウドさんやサタンと互角に戦えるから、優勝は確実だ。
少なくとも、俺を上回るチート人間と当たらない限りは、大丈夫だと思う。
・・・大丈夫だよな??
「ふふ。早く明日にならないかな」
明日の入試が、俺の魔王への道のりの第一歩となる。
取ってやるぜ! 首席合格。




