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望まぬ転生をした俺は、三度目の生を生きる  作者: 放浪猫
緑の怪物

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23/40

23話

相棒を埋めた。


 ねぐらのすぐそばだ。よく日の当たる、木の根方。俺が手で土を掘った。爪が割れてもかまわなかった。深く掘った。あいつを殺したやつらに、二度と触れさせないように。

 埋めるとき、あいつのそばに、あの果実をいくつか置いた。あいつが好きだった、甘いやつだ。それから土をかけた。少しずつ。あいつの灰色の毛が見えなくなるまで。

 土をならし終えても、俺はしばらくそこに座っていた。何も考えなかった。考えられなかった。ただ、胸の奥のあの冷たい火だけが消えずに灯っていた。


 殺す。あいつを。その気持ちだけが俺を立ち上がらせた。


 次の日から、俺は剣を振った。

 だが、前とは違った。前は、教わった形をなぞっていた。あの日々を忘れないために。今は違う。俺はあいつを殺すために振った。

 わかっていた。今のままでは、勝てない。あいつは強い。俺が力を使い果たすまで嬲って、それでも平気な顔をしていた。あの硬い皮膚。あの巨体。あの、囲んで追い立てる群れ。あのすべてを越えなければ、あいつには届かない。


 俺は、自分の力を一から見つめ直すことにした。

 いちばん悔やんでいたのは、あの見えない壁だ。相棒を守れなかった、あの、もろい壁。あれを強くしなければならなかった。あれが強ければ、相棒は死なずに済んだ。


 最初は、一人で試した。

 壁を張る。何度も。だが、何度張っても、薄くて、もろいものにしかならない。指で押せば、ぱりんと割れる。こんなものでは、あいつの一撃は防げない。

 どうすれば硬くなるのか、わからなかった。力を込める。念じる。強くなれ、と。だが、壁は応えなかった。


 実際に、殴られてみることにした。

 自分で自分を殴っても、手加減が入る。だから、相手が要った。俺は森の奥へ行った。かつて俺を追い回した、あいつらの縄張りへ。

 一体を見つけた。棒を持った下位の個体。昔の俺なら、竦んで逃げた相手だ。今は違う。俺は、そいつの前に姿を現した。そいつが驚いて、棒を振り上げる。俺は逃げなかった。その一撃を、壁で受けることにした。

 壁を張る。棒が振り下ろされる。


 ぱりん。


 壁は割れた。棒は、そのまま俺の肩に食い込んだ。血が噴いた。痛い。俺はよろけた。だが、退かなかった。傷を治しながら、もう一度、壁を張る。また、割れる。また、殴られる。

 何度も、そうした。

 殴られて、割れて、血を流して、治して、また張る。そいつは、面白がって、何度も棒を振るった。俺は、そのたびに壁を張り、そのたびに割られた。肩の肉がめくれた。腕の骨が軋んだ。それでも、俺はやめなかった。


 どれくらい、殴られただろう。

 ある一撃を受けたとき。俺はこう思った。——入ってくるな。

 棒が憎かった。そいつが憎かった。俺の中に、あの冷たい火が燃えた。あいつを——相棒を殺したやつを、思い出した。奪わせない。二度と。誰にも。近づくな。入ってくるな。


 その瞬間、壁が割れなかった。


 棒が壁に弾かれた。硬い音が鳴って、そいつの棒のほうが跳ね返された。俺は無傷だった。壁は、割れていなかった。

 そういうことか、と思った。


 拒む気持ちだ。強く拒むほど、壁は硬くなる。守ろうとするだけでは、足りない。奪わせない、入ってくるな、という、あの、拒む気持ち。あれこそがこの壁の力だった。

 俺はそいつを壁で弾き返し続けた。そいつが疲れて、逃げていくまで。俺は追わなかった。もう、用は済んでいた。俺は、血まみれのまま、傷を治しながら、その拒む気持ちを何度も確かめた。

評価・星頂けたら嬉しいです


ダメ出し、もう見ないコメでもなんでもオケです

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