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朝の俺はヴィーナスのごとき美しさと麗しさだが、プリンセスはマルスのごとき男前さで俺のあれがそれしてこれである

俺の朝は常に優雅で愛に溢れている。

まず、朝一にするのは、俺宛の愛溢れる小鳥ちゃん達の囁き(恋文の事)を聞く事だ。ローズヒップティーと共に、それに対する、俺からの熱いラブソングをしたためて、小鳥ちゃん達におくるのさ。優雅だろ?

それが終わったら、街に出て、実際の小鳥ちゃん達とラブソングを歌う。

俺の歌声は、低いバリトンボイスで、囁かれた小鳥ちゃん達は、はあぁあん!と、いう声と共に、腰が砕けて、羽を落としちまう。ちなみに本物の鳥も落ちて来た事がある。さすが俺、声だけでさえも、全世界を魅了してしまう罪作りな男だぜ…。


おっと、こうして優雅で愛に溢れたいつもの朝について考えていたら、さっそく玄関からノックの音が…。フッ、朝から愛を囁かれるだなんて、さすが俺!博愛精神に溢れた人類に愛されるゴッドフェイスガイだぜ!ああ、この顔完璧だ…。俺は、鏡を見ながら、さすが俺だぜ、ん〜、イカしてるぅ!と、己を賛美した。

おっと、いけない、自分に見とれちまったぜ。

さて、完璧なヘアスタイルと、完璧なパーフェクトスタイルの服を、バッチリ着こなし、まあ、俺程の男とでもなると、どんな服も着こなしてしまうのだが…、とにかく、バッチリ着こなし、俺はドアを開けてこういった。

「ヤ!おはよう、かわいい悪戯っ子な小鳥ちゃん達。今日も朝から、俺に愛を囁きにきてくれたんだね、ありがとう。俺も、君たちみたいに、美しく麗しく可憐なハニー達に愛を囁けて、嬉しい…ぜ」

フッ…、いつも通り、そこかしこから黄色い歓声が聞こえてくる。俺ってば、世界から愛されてるんだな。さすが、ミラクルハピネスビューティーボーイ、グラハム様だぜ!


俺がかわいいハニーちゃん達に愛を囁いていると、今日もまた嫉妬にかられたバーニングボーイが登場した。

おっとぉ?今日はいつもと違って冷静なチェリーだぜ…。どうした?俺のこの美貌溢れるシャイニーなくらいにゴッドでミラクルなフェイスを見て、怖じ気づいたか?それとも、取られて当然と思ってしまたか?ノーン!!!実にノーン!だ、ボーイ!!!俺のこの素晴らしい容姿は、もう誰にも越えられないくらいに最高オブザ最高で至高ではあるが、それに絶望してはいけない!いけないのだ、チェリー!!

キャー!力説されるグラハム様も素敵〜!という声に対して、手をふりウィンクをする。何人かが倒れたが、いつもの事…。俺のウィンクは、銃なのさ…。バング!!とりあえず、撃たれた彼女達の手を取り、幸せあれ、と祈りに祈った。まあ、おかげで、全員に祈りを捧げるはめになったが、このスーパーミラクルボーイのグラハム・ディケンズにとっては、世界中の人々に祈りを捧げるくらい、お茶の子さいさいだぜ!さすが、俺…。博愛精神にあふれ、世界最高の紳士だけはあるぜ…。


おおっと!ところで、嫉妬に狂いしバーニングボーイを忘れていたぜ!

俺はすぐさま、彼の手を取って、俺の素晴らしい話を始めた。この俺の愛に溢れる説教は、世界を花で満たし、愛に溢れさせ、そこらであった戦争を集結させ、泣いていた赤ん坊はもれなく泣き止み笑顔になり、喧嘩していた夫婦はたちどころに仲直り、周りの荒れ地では、珍しい花々が急に咲き誇り、今まで絶望していた人々に希望の光を見せ、ついには、俺の周りにドッと人々があつまり、万歳三唱してくれる。

おいおい、俺がクールなナイスガイでありながら、誰もが、キャーペットに欲しいぃ!という位に可愛いキューティーミラクルボーイで、神にあいされちゃってるかも〜というくらいに奇跡中の奇跡な博愛精神にも富み、世界をすくえる勇者だってのは、今更万歳三唱されても、当たり前すぎて、喜べないぜ。

だけど、ありがとうよ、世界の皆!!

俺、最高ー!!!!

セイヘーイ?俺?


「最高うううううううう!!!!!!!!!!!!!!」


フッ…、さすが俺だぜ!!

俺の圧倒的なカリスマレジェンドスーパーミラクルっぷりに、恐れをなしたのか、チェリーボーイは、俺に向かってぷるぷると手紙を差し出してきた。


おおっとおおおお!!!!!!俺のファンだったのか!!!!そいつはすまなかったな、ボーイ!まあ、俺に憧れるのはしかたがないことさ。

なにせ、俺はクールなナイスガイでありながら、誰もが、キャーペットに欲しいぃ!という位に可愛いキューティーミラクルボーイというグラハム・ディケンズだからな!!!!!!!


「あの、プリンセスからの、手紙です…」

「ぬわぁあああにいいいい?!何故それを早く言わないんだ、ボーイ!!ハッ!いや、仕様がない事だな。俺のこの魅力あふれるカリスマ性、そして、何人をも魅了してしまう罪深き奇跡のハイパーゴッテスフェイスを持つ、この俺!!!!グラハム。ディケンズを前にして、すぐに言葉が告げられないのは、仕様がない事…。フッ、次は、気をつけるんだぜ、ボーイ?」


ボーイは、ふぁい…、と返事をした。

ついでに、周りからは「私も叱って欲しいわああ!」という声が聞こえたので「ふぅ…、いけない子猫ちゃん達だな。欲しがりさんめ」と言って、何人か倒れた。ついでにそこら辺を散歩していた猫も「ふにゃあ〜ん」と言って、腹を出してゴロリところがってしまった。

ふっ、さすが、俺…。猫にまで服従させてしまうとは…!

ああ!俺は自分が恐い!!!

ギュッと自分を抱き締める俺に、プリンセスからの手紙を渡したボーイは「あの、今日、お昼のティーを一緒にとのお手紙で…」と言って、乗って来たらしい馬車を示した。

オーケー、ボーイ。プリンセスの頼みなら、行くしかないだろう。それに、女性を待たせるなんて、グラハム・ディケンズらしくないからね。

それに早くしないと、あのゴリラが檻と言う名の城の城壁をぶち破って来てしまう気がする!!ていうか、できそうだから恐い!


「さあ!!共に行こう、チェリーボーイ!!あのプリンセスが待っているのだろう?さあ、早くするといい!多少荒っぽい運転でも大丈夫だぜ」

「あ、はい」

「あ、その前に、親父に言ってくる」

「あ、はい」


俺は、親父に「ヘルプミー!ダディ!!!俺は、檻の中でゴリラに食べられてしまう!パックンチョされてうまうまされてしまう!親父も嫌だろう?こんな玉のごときパーフェクトボーイな俺が、プリンセスと言えど、ゴリラに食べられるなんて!ついてきてくれ、親父!!」と言ったが、俺は殴られ、気絶した隙に馬車に放り込まれ、グッドラックとでも言うように、ビッ!と親指をあげた。


親父のばっきゃろおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!


俺の叫びは虚しくも、すぐさま馬を走らせた彼の「ハイヤ!!!!!!!」という勇ましい声に掻き消えられた。ボーイ、案外、男らしいんだな…。


え?この前、婿入りするとか言ってたって?ハハハハハ!!!あの時は、吊り橋効果的なアレソレでついそうなってしまったが、あれは吊り橋効果的なアレソレコレで、思ってしまっただけだからな!!!決して、俺は乙男ではないからな!!決して、断じて!!俺は、男の中の男!!90歳から0歳にまで愛され恋をされるわがままボーイ!!決して、乙女のように顔を赤らめもじもじと恥じらい、挙げ句の果てには、ひゃい…!とかなんとか、言わないんだからな!!!!

なぜなら!俺は!!!グラハム!!!ディケンズ!!!!だからあああああああああああああああ!!!!!!!!!!


「待っていたぞ、グラハム殿」

「ひゃい…!」


違う!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


「ハハハハ!プリンセスに、このように待って頂くなど、光栄です!さあ、この度は、お茶に誘って頂き、嬉しく存じます。こうして、プリンセスのキューティーなお顔を見ながら、お茶をできるとは、この上なく僥倖!まあ、この至高の国宝級シャイニープリティービューティフルフェイスを眺め、この世界を振るえさせる最高の声を楽しみながら、お茶をしたくなるというのも、当然の事ですがね!!」

「そうだな、私もそう思う。あなたと会話をしながら、お茶を出来る事を光栄に思うぞ。さあ、こちらだ。案内しよう」


ひえ、このプリンセスゴリラ、めちゃくちゃ自然に手を差し伸べてきやがる!!だが!!俺は男で、プリンセスはゴリラと言えど、女性!そして、女性にエスコートされるなど、このグラハム・ディケンズの名折れ!不名誉である!

俺は、プリンセスゴリラが差し出した手を握り、さっと俺の手の上に、その大きくて分厚くてゴツい手をのっけた。要は、俺がエスコートをする手にしたのだ!さすが、俺、自然にこのような事ができてしまうとは…。俺は自分の器用さが恐ろしいぜ…!


「フッ…、プリンセス、いけませんよ。あなたは女性。俺は男。ならばこそ、この俺がエスコートをするのがじ順当。さあ、道のりはエスコートできませんが、プリンセスが転けるのを阻止はできます。ティーする場所に行きましょう」

「あ、ああ…」


俺、ゴリラの調教師になれるんじゃないかな…。赤い顔をしたプリンセスゴリラを見れば、そう思うのも仕方のない事であると思うんだ。

だが、まあ、俺がゴリラであろうと女性であれば、俺に赤面してしまうのは、自然の理、世の常であるから、仕方のない事だが…。

痛い。

手が、痛い。

どんな力で握ってるんだ、プリンセスゴリラー!!!!そんなに俺が好きで話しがたいと思うのは当然の事では、あるが、せめて!せめて、もう少し優しく握ってはくれないかな!!!


そうこう痛みに耐えている内にお茶会場所につき、やっとこさっとこ手を離してくれた。うう…、俺の玉のような真っ白なすばらしいミルク色した肌が、赤く…!!惨い!惨いぞ!!

それに気がついたプリンセスは慌てて「すまない!力加減が分からず!」と手を撫でられた。

やだ、イケメン…!照れちゃう!


「ふ、そのように照れるな。愛奴よ…」

「ひえっ、お、おたわむれを…!」

「そうだな。このように迫るのは、いけないな」


フッとプリンセスゴリラは笑って、お茶を傾けた。

やだ、その姿様になる!


「ンッ!好き!!」

「そうか。その内、本当に心の底から言わせてやろう」


ああああああ!!!!!!なにこのイケメン!!!なにこのゴリラ!!!お茶どころじゃねえ!!お茶どころじゃねえよおおお!!!

プリンセスゴリラは、優雅にお茶を飲んでいるので、俺も優雅にお茶を飲む。

まあ、わざわざ優雅にしなくとも、俺はいつでも優雅でパーフェクトな紳士だがな!!!さすが、俺!!さすが!!O・R・E!!!!!


ふう…、気持ちが落ち着いた。


その後は、俺とプリンセスゴリラは優雅につつがなく、そう!!つつがなく!!けっして、途中で囁かれて「あふん」なんて言ってないからな!!絶対にだ!!断じてだ!!それでもって顎クイなんかされて「本当に可愛らしい方だ」なんて言われて、ン!!!ヤバい!!!イケメン!!!!抱いて!!!なんて、決して一度も思ってなんかない!そう!諸君がなにを思っていようが、事実、つつがなく終わったのだよ!!!!!!オ〜ケエ〜〜イ?????

よっし!!了解したな!


俺もイケメンだけど、プリンセスの「次は、2人きりで会おう。今日は監視が多かった」という囁きでときめきつつも「ン!ひゃい…!……。ごっほごっほ!次を楽しみにしてますよ、かわいらしいハニープリンセス」と、答えておいた。

完璧な返答だぜ。プリンセスゴリラも一瞬赤面してたしな。さすが、俺だぜ!


そして、俺は同じように、馬車に乗って帰って来て、お母様に「どうだった?」と聞かれ「イケメンだった」と答えておいた。


え?誰がイケメンだったって?


俺とプリンセスゴリラだよ、平均的顔面の諸君!!!ウワッハッハッハッハッハッハ!!!!!



後日、プリンセスゴリラから、ほのかに薔薇の香りがする綺麗でかわいらしい手紙がやってきて「いつかあなたと結婚するのが楽しみだ。…いや、まだ気が早いか。すまなかった。その前に、あなたに惚れてもらう事が先だな。だが、楽しみにしている事はかわりないからな」と来て、必ず婿入りしようと心に決めたのであった。

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