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イマジナリーフレンドですが、異世界で実体化しました。〜偽物だった俺たちが、本物になるまで〜  作者: 老狼肉


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第5話 魔族の世界

「まぁ、こんなもんじゃの。

 理解したかの?

 ゲキテツ。」


「はい。

 よくわかりました。」


 ヴィクトリアさんから話を聞いて、

 この世界のことはなんとなく理解した。

 様々な種族、魔法、

 ヴィクトリアさんの目的も。


「世界征服のために、

 まずはこのヘルライア大陸のズーアニマ王国から

 滅ぼしたいと……」


 ヴィクトリアさんの

 言っていた目的を整理する。

 自身の名声を得るために世界を征服して

 魔王として、皆から崇められたいと。

 無茶な考えだなぁ……


「そうじゃ!

 流石、人間は賢いのぉ。」


 このレベルで賢いと言われるのか。

 魔族は本当に知識が高いものが少ないらしい。


「無理じゃないですか?」


「なに!?」


「だって、聞いてる限り

 この国を支配している獣人は、

 かなり力を持ってるようですし。」


「じゃから、お前さんの知恵を借りるんじゃろ?」


 話を聞く限り、この大陸で一番強い国だしなぁ。


「うーん……

 獣人って武器も扱うんですよね?」


「そうじゃな。

 爪や牙を用いて戦う者もいるが、

 基本的には剣や弓を使うのう。

 それか、まぁ、

 数は少ないが魔法を使う者もいるの。」


「なぜ魔法を使う人は少ないんですか?」


「単純な話じゃよ。

 魔法を使って戦うのは効率が悪いんじゃ。

 強烈な魔法は使うだけで疲れるからの。」


「なるほど……

 じゃあ、銃を使う人はいないんですか?」


「ジュウ……?

 9の次のか?」


「いや……

 数字じゃなくて、武器の。

 鉄砲ですよ。

 こう……火薬を使って、

 バーンと音が鳴る、筒みたいな。」


「知らんのう。なんじゃそれ。」


「ってことは、火薬は?」


「知らないのぉ。」


 そうか。

 魔法が便利で生活が豊かになったから、

 魔法ばっかりで

 科学がそんなには発展してないのか。

 弓を使うってことは

 遠距離攻撃に需要はあるってことだよね。


「それなら、

 作れるかはわかりませんが、

 銃を作れれば勝ち筋が見えるかも……

 ヴィクトリアさんの知り合いに

 ものづくりが得意な人はいませんか?」


「ものづくり……?

 おー……おるぞ……

 あまり気は進まんが……」


「……?

 なら、その人に会いに行きましょう。」


 ヴィクトリアさんはなんだか少し嫌そうだったが、

 僕たちはその知り合いに会いにいくことにする。


 僕たちがいる場所、

 レンゴクは空も地面も赤黒く、

 どこにいても落ち着かない。

 辺りでは魔物同士が争う音が聞こえる。


 驚いたことにヴィクトリアさんは空を飛べる。

 移動することになった時、背中に翼を生やして

 飛び上がった。

 僕は抱き抱えられ、運んでもらっている。

 彼女が使えるのは変身魔法だと言っていた。

 他の種族について詳しいのは

 変身魔法で他種族になって、

 他の国に遊びに行ったりしてるからだとか。


「のぉ……

 本当にヤツに会いに行かんといけないのか?」


「世界征服のためですよ。

 ……なんでそんなに嫌そうなんですか?」


「うーん。

 奴は……人間嫌いでの。

 お前さん、殺されるかもしれん。」


 おぉ……

 早く言って欲しかった……


「まぁ、安心せい。

 殺させはせんよ。

 わしが守ってやるからのぉ。」


「ヴィクトリアさん……」


 女性に守ってやると言われるのは

 なんだか少し情けない気がする……


「まぁ、殴られる覚悟くらいは

 したほうがいいかもしれんな」


 えっ?

 なんか小声で聞こえたような……

 

「しかし、そのジュウ?とやらは

 そんなに強いのか?」


 あれ?気のせいかな……


「……そうですね。

 剣で戦い合うよりはずっと有利になるはずです。」


「そうか。

 まぁ、ことは実際に作れてみてからじゃの。

 時間はたっぷりあるしのぅ。」


「まぁ、実際に作れるかはわかりませんからね……」


 そんな話をしているとやけに

 見晴らしのいい場所に着く。


「……ほれ、ついたぞ。

 ここが奴の住む場所じゃ。」


 地面に降りて、辺りを見渡しても誰もいない。


「あの?

 その方はどこに?」


「まぁ、少し待て……

 おーい。アーグ!

 わしじゃ!出てこーい」


 そういうと、ヴィクトリアさんは

 強烈な地団駄を踏み始める。

 辺りが少し揺れたような気がする。

 流石に気のせいだよね?

 

 少しすると、地面が盛り上がり、

 そこから女性が現れる。

 地面から顔だけを出した女性は

 整った顔立ちで、

 綺麗なブロンドのショートヘアーだった。

 顔はヴィクトリアさんのような綺麗と言うよりは

 可愛い系で、いわゆる童顔というやつだろうか。

 片目は髪で隠れているが、

 見える方の目を見た感じ、

 目が真っ白で、

 もしかしたら視力は弱いのかもしれない。


「おい!

 その呼び出し方はやめろっていっているだろう!

 頭にガンガン響くんだよ!」


「久しぶりじゃのぉ。

 アーグ。

 まぁ、そう怒るな。

 お前さんに頼みがあってのぉ。」


「頼み……?

 って、おい。待て。

 君のその隣にいるやつって……

 人間だよな?」


 元から不機嫌そうに出てきたが、

 鼻鳴らし、僕の方を向くとさらに顔をしかめる。

 やっぱり、視力は悪いらしい。


「あっ、初めまして。

 双葉 檄哲と言います。」


 僕は刺激しないよう、丁寧に頭を下げる。


「フタバゲキテツ?

 変な名前だな。

 まぁ、どうでもいいや。

 ヴィクトリア。

 そいつ殺していい?」


 地面から鋭い爪の生えた手を出して

 指をさされる。


「ダメに決まっとるじゃろ。

 こやつはわしの手下1号じゃ。

 世界征服のために必要な大切な手下じゃ。

 手を出したら、お前を殺すからな。」


 ヴィクトリアさんは僕の前に立ち、

 アーグさんを牽制する。


 ヴィクトリアさん……

 

 手下って言い方じゃなかったら

 胸がドキッとしただろうなぁ……


「はっはっは!

 まだ世界征服なんて

 馬鹿なことを言ってるのかい?

 いい加減諦めたらどうなんだい?」


「諦めるか!

 って、そんな話はいい。

 お前に頼みがあると言っておるじゃろ。」


「……まぁ、どうせ暇だし。

 聞くだけ聞いてあげるよ。」


「詳しい話はこのゲキテツが話すからの。

 ここじゃなんじゃし、お前の家に入れておくれ。」


「……僕の家に人間を入れろって?」


 あっ、これはまずい。

 アーグさんは再び不機嫌そうな顔になる。


「そうじゃ?

 家に入れるくらいいいじゃろ?

 ほれ、この辺はちと危険じゃし。」


 なんて無神経な人なんだ……


「君は……本当に……」


 と言いながらアーグさんは、地面から出てくる。

 服装は白衣のようなものを着ていたが

 その上からでも細身でスタイルの良さがわかる。

 背はヴィクトリアさんほど高くはないが

 それでも172cmの僕と同じくらいの背だった。

 魔族ってみんな美人なのかな。

 いや、そんなことより、

 これ絶対怒ってるよね……


「僕が引きこもりのモグラ魔族だと思って、

 いっつも好き勝手言って……

 そろそろ、我慢の限界だ。

 いい加減、その不遜な態度を改めさせてやる。」


「おっ?やるかぁ?

 お前との喧嘩は久々じゃのぉ!」


 あっ、これやばいやつだ。

 なんかノリノリだし……

 これは魔族だと当たり前なのかな?

 僕は急いでその場から少し離れた。


 2人が拳を打ちつけ合う。

 その瞬間にすごい衝突音が鳴った。


 ほんとに殴り合ってる時の音?


 2人の様子をしばらく見守りながら

 美人が殴り合ってるのは怖いなぁと

 考えていると、

 ふと頭上に大きな影が差した。


「ん?」


 僕が上を向く前に、

 肩に鋭い痛みが走る。

 

「うぐっ!」

 

 次の瞬間には僕ははるか上空に飛んでいた。


「ケケケ、ニンゲン、ゴハン、ゴハン!」


 なんか物騒なことを言ってる

 だらだらとよだれを垂らしている鳥に

 がっしりと肩を掴まれている。

 まぁ当然だけど、

 魔族は全員が美人ではないらしい。

 ってそれどころじゃない。


「ヴィクトリアさーん!

 助けてー!」


 助けを求めるも、喧嘩に夢中で聞こえていない。

 僕はそのまま、2人から引き離され、あっという間に

 どこかに連れ去られてしまった。

「お久しぶりです。双葉檄哲です。」


「そんなわけで絶賛食べられそうですね。」


「まさかヴィクトリアさんがケンカに

  夢中で僕に気づいてくれないなんて......」


「まぁ、絶体絶命の危機ですが、僕は元気です。

今のところは。」


「今回の話が面白いと思っていただけたら、

感想、ブックマーク、評価をお願いします。」


「それでは、また次回!」

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