第2話 孤独な世界
僕の名前は双葉 檄哲。
少し人からズレてはいたが
まぁ、それ以外は普通の人間だった。
目が覚めると、見知らぬ空が広がっていた。
天井ではなく、空。だと思う。
なぜ確証できないかといえば、
僕の知ってる空よりもずっと赤く、
雲は黒かったからだ。
「ようやくのお目覚めかのぉ。」
声の方を見ると、
随分と薄着、というか、
大切なところ以外はほとんど隠れていない服を着た、
とても背が高く、スタイルの良い綺麗な女性がいた。
頭からはツノのようなものが二つ生え、
腰のあたりでは、
黒い尻尾がゆっくり揺れていた。
普段ならば過激なコスプレイヤーだと思うだろうけど、
あの空を見てからだと、そんな考えはわかなかった。
「ここは、地獄ですか?」
僕は、その女性に質問をする。
そう。僕は確かに死んだはずだ。
緋噛とか言う男にナイフで刺されて。
というか、おかしいな。
いつもなら、セカイがツッコミを入れるはずだ。
こんな綺麗な女がいる場所は、ある意味天国だろ!
とか……
ナイフで刺された時に思ったことより、
嫌な考えが脳裏をよぎる。
「地獄か……たしかにのぉ。」
女性は僕に顔を近づけ、耳元から話しかけてくる
「ここは、ヘルライア大陸の
レンゴクじゃからのぉ。
毎日、魔物同士で争いが絶えぬ、
まさに地獄のような場所じゃ。」
セカイへの不安、
聞き慣れないワード、
女性との慣れない距離感に
僕の脳はまるで処理が追いつかない。
「お前さん。人間じゃろ?
わしに協力してくれんか?」
続けて話してくる彼女に対して、
僕はなんとか言葉を口に出す。
「協力って……
僕は、何をすれば……?」
「簡単なことじゃよ。
お前さんの知恵を貸して欲しいんじゃよ。
わしの目的のために」
すごく嫌な予感がする。
僕の勘は当たってほしくない時に限って当たる。
「その、目的って?」
僕は恐る恐る、質問をする。
「世界征服じゃよ!
この、ヴィクトリアの名を世界中に轟かし!
恐ろしい魔王として、崇め讃えられたいんじゃー!」
ほらね。最悪なことに巻き込まれた。
「あっ、もちろん。タダでとはいかんぞ?
世界を統べたら、その時は褒美として
世界の半分!いや……その半分!
いやぁ……
その半分の半分くらいはお前さんにやろう!」
ずいぶんケチな魔王様だ。
セカイなら、そう言うかな……
「なんで、僕の知恵が必要なんですか?
僕がそんなに知的に見えますか?」
僕がそう言うと、ヴィクトリアさんは
キョトンとした顔で僕を見つめる。
「人間って、みんな賢いものじゃろ?
わしら、魔物は言ってしまえば、馬鹿の集まりじゃ!
力を誇示することでしか生きていけない。
悲しき生き物じゃ。
こうして、言葉を話しとるのも、
わしがかなーり、賢いほうだからじゃ!
その辺の魔物は話すことなぞ、到底できん。」
確かに、見た目や言葉の端々から、
あまり知性は感じられなかったので、説得力があった
「なるほど……」
それと、
どうやらこの世界にも
普通の人間はいるようで少し安心した。
「なっ!じゃから、協力してくれ!
お前さんと出会ったのも何かの縁じゃ!
頼む!」
ここで、反抗してもし、殺されるのも嫌だし、
とりあえずは協力することにしよう。
「わ、わかりました。
協力はしますけど、
あまり期待はしないでくださいね。」
僕がそういうと、ヴィクトリアさんは
嬉しそうな笑顔を浮かべる。
「本当か!ありがとうのう!」
頬をすりすりと擦り合わせてくる。
正直言うと、悪い気はしなかった。
「とりあえず、
いろいろと聞きたいことがあるんですが……
その、肌の露出、抑えられませんか……?
話に集中できません。」
「……?じゃあこれでいいかのう。」
彼女が指を鳴らすと
一瞬で服を着替えた。
露出の少ない、
中世ヨーロッパの人が着ていそうな服だった。
早着替え……な訳もないので、
この世界には魔法まであるらしい。
「ありがとうございます。
じゃあ、まずは……」
見慣れない場所で、
見たこともない種族と話す。
セカイはなぜか、頭の中からいなくなっていた。
僕はこの孤独に耐えられるのだろうか。
「ここまで読んでくれてありがとうございます。」
「今回は、僕、双葉 檄哲視点の話でしたね。」
「セカイがいないってだけで、
こんなに静かに感じるなんて思ってませんでした。
いつもはうるさいくらいなのに、
いないと逆に落ち着かないと言うか......
変な感じです。」
「僕自身、まだ、状況を整理しきれていません。
ヴィクトリアさんにいろいろ聞かないと。」
「もし気に入っていただけたらブックマークや評価をしてもらえると作者の励みになるらしいので、よろしくお願いします。」
「それでは、また。」




