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イマジナリーフレンドですが、異世界で実体化しました。〜偽物だった俺たちが、本物になるまで〜  作者: 老狼肉


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第1話 初めてのセカイ

 辺りは暗く、なんの音も聞こえない。

 なんだか少しジメジメしていて、肌寒い。


 俺は一体どうなったんだ?


 たしか、檄哲が刺されて――。


 ……あれ?

 てか、なんで俺は自分で思考をしてる?


 俺はセカイ。双葉檄哲の頭の中に存在する、

 イマジナリーフレンドって奴……のはずだ。


 「おーい! 檄哲! どこだよ!」


 声を張ってみるが、

 その声はあたりに響くだけだった。


 ……待てよ。


 なんで、俺の声が響くんだ?


 俺に“声”なんてものはない。

 俺は檄哲の頭の中の存在だ。


 口も、耳も、脳も、体も。

 そんなもの、あるはずがねぇ。


 なのに俺は、

 自身で思考して、声を発して、

 寒いとすら感じてる。


 「はは。マジかよ。」


 自分の顔を触ってみる。


 指先の感覚も、

 顔を触られている感触も、

 確かにあった。


 色々なことに正直ついていけてねぇが、

 そんなことはどうでもいい。

 檄哲を探してやらねぇと。

 約束したんだからな。


 俺はどうやら、倒れていたらしい。

 動かしたこともない体を起こし、

 その場を探索することにした。


 1時間くらい、辺りをうろちょろして

 わかったことはここが洞窟の中ってことだけ。

 暗すぎてどこがどうなってるのかは、全くわからねぇ。


 途中で石ころじゃない何かを蹴っ飛ばしたり

 木材でできた机みたいなものがあった。

 誰かが住んでるのか、住んでたのか、、、


 慣れない体を動かしていたせいか、やけに疲れたので

 その場に座り込み、息を整える。

 少しすると、ヒタヒタと足音が聞こえてきた。


 肉食獣だったりしねぇよな、、、

 体が震える。

 足に力も入らねぇ。

 俺は存外、臆病者らしい。

 アイツがすごいと思った。


「目が覚めたんだ。」

 女の声が聞こえると同時に、

 辺りが突然照らされる。


「いってぇ!」

 唐突な光に目が潰されるほどの痛みに襲われる。

 初めて味わう【痛み】に、思わず声が出た。


「もしかして、光が苦手?」


 辺りが再び暗くなる。

 どうやら、俺に気を遣ってくれたらしい。


「い、いや。痛みが初めてだったからよ。

 ……あんたは何者だ?」


 普通の人物からしたら

 大袈裟な反応をしてしまったことが

 恥ずかしくなって、話題を変えようとする。

 

「……私は、ドワーフのガルダ。

 貴方は?」


 ドワーフ……?

 おいおい、ドワーフって確か、

 ゲームとかに出てくるような奴だろ?

 背のちっちゃくて、力強い戦士みたいな……


 あー。そういう設定か……

 びっくりするからやめてほしいぜ。


 ガルダってめちゃくちゃ外人みたいな名前だけど、

 日本語ペラペラだしな。


「俺は……」


 そこまでいって、言葉に詰まる。

 俺は、何者なんだ?

 セカイってのは、檄哲がくれた名前だ。

 檄哲の世界にしかいないから、セカイ。


 だけど今の俺は、

 檄哲の頭の中から飛び出して、

 一人で、確かに存在している。


 なら、

 今の俺は本当に“セカイ”なのか?


「名前がないの?

 それとも私がドワーフだから

 言いたくないとか?」


 俺が黙ってると、

 ガルダから話しかけてきた。


「いや、そういうわけじゃねぇ。

 その、色々混乱しててな。

 俺は、セカイ。そう呼んでくれ。」


 焦って、名乗っちまった。

 まぁ、何があっても、俺はアイツのセカイだ。


「そう。セカイね。

 もう動いて平気なの?」


 さっきといい、今といい、

 この言い方からして、俺のことは気絶してる時から

 知ってるみたいだな。


「あぁ。ガルダが介抱してくれたのか?

 ありがとな。」

 

 暗い洞窟に寝かしとくのが

 介抱というのか怪しいが、

 俺はきちんと礼をする。


「大したことはしてない。

 それより、このままだと私も話しづらい。

 明かりをつけていい?

 光量は調節する。」

 

 さっきのことを気遣っての言葉だな。

 ガルダは優しいやつだな。


「構わないぜ。

 さっきは突然でびっくりしただけだから。」

 

 俺はさっきのことを誤魔化そうとした。


「思い切り痛がってたけど……」

 

 小声で言っていたが、聞こえなかったことにする。


 さっきより控えめな明かりがつくと、

 俺はようやく話してる相手の姿を見て、

 驚く。


 それはどこからどう見ても、

 小学生くらいの少女だった。

 服は布きれみてぇに、

 薄い生地のを一枚着てるだけ。

 しかもそれもかなり汚れてやがる。

 親は何してんだよ!

 ありえねぇだろ!


「な、なぁ。ガルダ……

 親はどうした?」


 口にしてから俺は後悔する。

 無神経なことを聞いたと。


「親ならとっくに死んだ。ここには私1人。」


 親が死んで、

 洞窟で暮らすしかないって感じか。

 服もまともに買えないんだろうな。

 でも、そんなこと、日本であり得るのか……?

 親戚とかがいなくても

 普通は施設とかに入るんじゃねぇのか?


「それは……悪い。」


 こういう時、なんて言ったらいいんだろうな。

 檄哲に説教してた自分が情けないぜ。


「平気。気にしてない。」


 やけに落ち着いた反応だ。

 相当1人で苦労してたんだろうな。


「なぁ。俺ともう1人、

 誰か一緒にいたりしなかったか?」


 俺は急いで、話題を変えようとする。


「……?貴方は1人で、倒れてた。

 誰かといたの?」


 だよな。

 一緒に倒れてたら、2人とも運ぶはずだ。


「あぁ。大切なダチでな。

 アイツは俺がいねぇとダメなんだ。」


「そう……ごめんなさい。見つけられなくて……」


「いやいや!アンタは悪くねぇよ。

 じゃあさ……ここってどこの辺りなんだ?」

 

 日本で洞窟なんてあまり見ない。

 何かの間違いで、かなりの田舎に来ちまったのかも。


「ここは、ズーアニマの、

 クレシェンにある山の洞窟。」


 ……は?

 ズーアニマ?クレシェン?

 日本じゃない?

 海に流されて海外に行ったとか?

 いやいや。海外だとしてもそんなの聞いたことないぞ。

 1人で寂しいのかも知れねぇけど、

 厨二病に突き合わせるのは

 アイツだけで十分だ。


「はっはっは……そんな国、聞いたことないって。

 冗談はそれくらいにしてさ。

 ここは日本なんだろ?

 そんなに日本語を喋れてるんだからさ。

 ここは……どこなんだよ?」

 

 俺は冷や汗ってやつをかきながら、

 もう一度聞き直す。

 ガルダはすごく困惑したような顔をする。


「ズーアニマを知らないの?

 ヘルライア大陸で一番大きい国なのに……

 それに、ニホンって、どこ?

 聞いたことない。」


 真剣に疑問に思ってる顔だ。

 とても冗談を言ってる顔には見えない。


 ははは……ありえねぇ。

 アイツの頭の中から

 出てきたことですら混乱してんのに。

 

 俺は――本当に、異世界に来ちまったってのか?

 

 

「……というわけで、

 気づいたら異世界とかいう意味わかんねぇ場所にいた。」


「しかも体まであるしな。

 イマジナリーフレンド卒業ってか?」


「いや、卒業したらダメか。」


「とりあえず、檄哲を探さねぇとな。

 アイツ、俺がいないとダメだから。」


「……あと、ガルダ。

 あいつからもいろいろ聞かねぇとな。」


「もし続きが気になると思ってくれたら、

 ブックマークや評価をしてもらえると嬉しいぜ。」


「作者がめちゃくちゃ喜ぶらしいからよ。」


「次回もよろしく頼むぜ。」

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