第7話 休息のセカイ
妙な浮遊感を感じる。
息ができねぇ……
ここは水の中か……?
なんでこんなことに……
確か……
そうだ、蛇に喰われて……
なんやかんやあって、ガルダが倒して……
そこで気を失って……
「セカイ……どこにいるの?」
上の方から俺を呼ぶ声がする。
檄哲……お前なのか?
俺はここにいるぜ……
オメェがいねぇと……
チキショウ……苦しい……
息が……ぐっ……
「セカイ!!」
さっきの声と違ぇ……
この声……ガルダか……?
「ぷはっ!!」
俺はガルダのおでこと衝突しながら
体を起こすと息ができるようになり、
急いで息を吸う。
「いって!」
「それは、私も……」
鋭い痛みで目が覚める。
今のは夢か……
妙に苦しい夢だったな
「すまねぇ。
ここは?
あのあと何があったんだ?」
「私たちの目指してた村。
蛇を倒したあと、
村の人に出会って案内してもらった。
そしてここはその人の家。」
おでこをさすりながら、ガルダは答える。
確かに、普通の民家って感じだ。
横を見ると、体が液体で出来た小さい人間が3人いた。
俺と目が合うと、
「わー。逃げろー!!」
と楽しそうに逃げていった。
「私たちを案内してくれた人の子どもたち。
彼らがセカイの顔の上に乗ってた。」
おう。どうりで苦しかったわけだ。
あとで説教入れてやろうか?
「スライムの亜人ってとこか。
まぁ、それはいいや。
助かったぜ。ガルダ。
ありがとな。」
俺は蛇の件の礼をガルダに伝える。
「お礼は必要ない。
友達は守るもの。」
「へへっ。そうか。」
「それよりも!
あの武器すごい!
作り方を教えて欲しい!」
すごく目を輝かせながら、
俺に顔を近づけてくる。
こいつ、無表情に見えて
意外と表情豊かだよな。
「いいけど、そのショットガンはどこにあるんだ?」
辺りを見ても、どこにも置いていない。
まさか、置いてきたのか?
「アレは、セカイが気を失ったら、消えた。
構造を調べたかったのに、残念。」
顔を離し、ガルダは肩を落とす。
ていうことは、
俺の意識と繋がってるのか。
「なるほどな。
ていうか、なんで俺は気を失ったんだ?」
「魔力切れ。
強力な魔法は魔力を大きく使う。
あの威力のものを作るなら相当の魔力を使うはず。
今度からは気をつけたほうがいい。」
やっぱりそういうことか。
「そうだな。
また戦闘中に気を失ったら、大変だしな。」
「それだけじゃない。
魔力は使いすぎると最悪死ぬ。
だから使いすぎはダメ。」
「……マジ?
俺死にかけたってこと?」
「今回のは平気。
ただあれ以上無茶をすると死ぬ可能性がある。」
「じゃあ、気軽に銃を作るわけにはいかねぇな……」
「平気。
私が作る。
だから作り方を教えて。」
俺が少し落ち込んでいると
さらに顔を近づけて、鼻をふんふんと鳴らしながら
肩に手を置いてくる。
「わかった!
わかったから!
少し離れろって。」
俺がそういうとガルダはやっと顔を離す。
はぁ、なんかちょっとドキリとした自分がいたぜ。
「教えるのはいいが、
他の奴には絶対教えるなよ?
あと作ったとして販売するのも無しだ。」
銃はとても強力な武器だ。
売れば大金を手にすることもできるだろう。
ガルダには悪いが
もし銃を何人も作れるようになったら
国同士の力関係が崩れて、
デカい戦争が起きる可能性もある。
世界征服とか、世界の破壊とか、
そういうことを望むならありかもだが、
少なくとも檄哲に会うまではノーサンキューだ。
「……大丈夫。
私は純粋に興味があるだけ。」
少し間があったけどほんとか?
まぁ、いいや。
こいつは良い奴だからな。
俺はガルダに銃について詳しい説明をしてやった。
説明してる間、ガルダは紙と筆を持っていたが
ほとんどメモは取っていなかった。
「お前、ちゃんと聞いてるのか?
それ、全然書いてないけど……」
「平気。
一度聞いた武器のことは忘れない。
書いてるのは私のアイデアだけ。」
銃を撃ってた時も思ったが、
こいつ、すげぇ天才なのかもしれないな。
「でも、この世界に火薬はない。
火薬はどう作る?」
「火薬か……
詳しい調合方法までは知らないな。
悪い……」
「そう……
あっ、でも、破裂石を使えば、
いや、威力が高すぎる……
つまり……」
なんかぶつぶつ言い始めたぞ?
おーい。俺を置き去りにするな。
「……ダメ。
いい案が浮かばない。
そうだ。
アーグに聞こう。」
「アーグ?
なんだ、知り合いか?」
「うん。
レンゴクに住む友達。
発明家だから何か知ってるかも。」
へぇ、この世界にも発明家はいるんだな。
にしてもずいぶん怖そうな名前の場所に住んでるな。
「でも、どうやって連絡取るんだ?
そのレンゴクってとこに行くのか?」
「レンゴクは遠いし危ない。
手紙を出す。
よく連絡を取り合ってた。
今は洞窟にも住んでないし、
そのことも伝えないと。」
「それなら、楽でいいな。
あっ、でも銃のことは言うなよ?」
「大丈夫。
上手いようにやる。」
そういうと、ガルダは早速手紙を書き始めた。
そういえば、俺はこの世界の文字って読めるのか?
ガルダが手紙を書いている様子を見てみると
紙にナイフで器用に突起を作っていた。
「……何してるんだ?」
「アーグは目が見えない。
だから、こうやって手紙を書く。」
つまり、手作業で点字を打ってるってことか?
マジかよ……器用っていうか、化け物だろ。
忙しそうだし、少し家の外でも歩いてみるか。
俺は立ち上がって、家を出た。
すると、1人のスライム亜人が家の前にいて、
俺に話しかけてきた。
「おや。
お目覚めになられたのですね。」
ぽっちゃりとした体に優しそうな顔つきの男で、
メロンソーダみたいな色の体をしている。
なんか美味そうだなと思った。
「初めまして。私、メロウと申します。
この家の主人です。」
名前まで美味そうだった......
「あー。初めまして。
俺はセカイって言います。
なんかすんません。
色々世話になってるみたいで。」
俺は軽く頭を下げる。
「いえいえ、大蛇を倒してくださった方ですから。
どうぞ遠慮なさらず、ゆっくりしていってください。
大したおもてなしもできませんがね。」
ふーん。
あの大蛇、この村の人たちにも迷惑に思われてたのか。
まぁそりゃそうだよな。
「誰か討伐しようとかしなかったんすか?」
「挑んだものは何人かいますが、
誰も帰ってはきませんでした。
王国にも討伐要請をしたんですが……
亜人族の頼みは後回しみたいで……」
なるほど、亜人は立場が弱いんだったな。
ムカつく国だぜ。
「とにかく、あなた方がしてくれたこと、
本当に感謝しています。
ありがとうございます。」
「いやいや。
礼なんていいっすよ。
俺らも喰われかけたからやっただけっすから。」
てか、実際喰われたけど。
「それでも、感謝の気持ちに変わりはありません。」
丁寧な人だな。
子どもは少しやんちゃものみてぇだけど。
「じゃあ、俺は少しこの村を見てみたいんで。
ちょっと、いいっすか?」
「あぁ、引き留めてしまって申し訳ない。
どうぞ、ごゆっくり。
夕飯の支度はしておきますので、
夜までにはお戻りください。」
「マジすか……
何から何まであざっす。」
俺がお礼を言ってからその場を去ると、
メロウさんは俺に手を振って見送ってくれた。
なんかすげぇ包容力のある人だな。
物理的にも包容力ありそうだけど。
軽く村を見て回った感じ、
そこまで大きくはない村って印象だな。
店をやってるとこもあるが
基本的には民家しかねぇ。
にしても色んな亜人がいるなぁ。
スライムに、ドワーフ。
顔が虫みたいなやつもいるな……
虫の亜人か?
おぉ!ガイコツが歩いてる!
アンデッドってやつか。
みんな、仲良さそうに話してらぁ。
色々な種族が協力して暮らしてるんだな、
結構良い村じゃねぇか。
俺がぼーっと村民を眺めていると
子供のスライムに話しかけられる。
「なぁなぁ、人間のにーちゃん!
遊んでくれよ!」
「スゥ兄さん。
やめとこうよ……
人間さんは怖いよぉ……」
「ライラ姉は臆病すぎよ。
パパが良い人たちって言ってたじゃない。」
「そうそう。ムーの言う通りだよ。
ライラは臆病者だな、ほんと。」
おっ。さっきのガキどもだ。
ってことはメロウさんの子どもか。
しゃーねぇな。
付き合ってやるか。
「遊びか。
いいぜ。
何するんだ?」
スライムの子どもって
何して遊ぶのか気になったしな。
「じゃあ!ドッチボール!!」
「えっと、おままごと……」
「おにごっこがいいわ!」
3人同時に違うことを言うなよ。
しかし、全部知ってる遊びだな。
意外と人間の子どもと変わらないんだな。
3人はなんの遊びをするか言い争っている。
「こらこら、全部やってやるから、喧嘩すんな。」
俺は3人と暗くなるまで遊ぶことになった。
スゥはお調子者って感じだな。
ドッチボールで
ボールを当てた時に、
体が弾け飛んで焦ったが、
すぐに体が再生した。
弾けた本人は俺の焦った様子を見て面白がってたな。
ライラは人見知りだが、良い子だな。
おままごとを通して、俺のことを心配してくれたり、
色々と労ってくれた。
ムーはしっかり者だが、少しヤンチャな節がある。
上の2人を見て育ったって感じだな。
鬼ごっこで、ライラの心配をしながらも
かなりはしゃいでやがった。
あぁ……こっちにきてから色々あって、
大変だったが、
やっとのほほんとした時間を過ごせたぜ……
早く檄哲を探してぇが、
焦ってたっていいことはねぇしな。
そんなことを考えていた俺は
どこからか向けられた視線に気付けずにいた。
「……見ーつけた!」
セカイ
「てなわけで!
せっかくの安らぎ回だと思ったら
不気味な感じで終わっちまったな。」
スゥ
「安らぎ回って、なんだー?」
ライラ
「スゥ兄さん。邪魔したら、ダメだよ......」
ムー
「そうそう。ここは大切なことを言うところなんだから、
私たちはあっちに行ってましょう。」
セカイ
「別にかまわねぇよ。
てか、ほら、おまえらがこれを言ってみろ。」
スゥ
「えっと......?ここまで読んでくれてありがとー!」
ライラ
「こ、この話が面白いと思ったらブックマークや評価、レビューをお願いします!」
ムー
「また次回にあいましょう!」




