表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イマジナリーフレンドですが、異世界で実体化しました。〜偽物だった俺たちが、本物になるまで〜  作者: 老狼肉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/11

第8話 休息の世界

 僕は気づくと水の上に立っていた。

 ここはどこだろう……

 いやそんなことより……

 

「セカイ……」


 僕は僕しか知らない親友の名前を呼ぶ。

 近くにいるような気がするし、

 遠くにいるような気もする。


「聞こえてないの?

 セカイ……どこにいるの?

 寂しいよ……」


「おい!ゲキテツ!しっかりせんか!」


 突然の大声と

 ガツンという衝撃に僕は目を覚ます。


「いったぁ……」


 頭が割れそうなほど痛い。

 目の前には

 ヴィクトリアさんとアーグさんがいた。


「ほら、起きたじゃろ?

 大概のことは叩けばなんとかなるんじゃ!」


「……絶対、僕の発明品は叩かないでね。」


「あの……ここは?」


 僕は寝起きということと痛みのせいで

 状況がうまく掴めずにいる。


「僕の家だよ。

 おまえが死にかけたから、仕方なく運んだんだ。

 感謝しろよ。

 まったく……

 人間をベットに寝かせることになるとは……」


 そうだ……

 あの親鳥に右足を潰されて……


 僕はかけられていた毛布をめくり、

 右足を見る。

 僕の右足は太ももから先が奇妙な物体に変わっていた。

 形は足の形をしているが、黒くて

 液体のように透明感があるのに、

 触ることができる。

 しかも僕の意思に反応して

 本物の足のように動く


「な……なんですか?

 これ……」


「コピースライムっていう

 珍しい魔物の素材から作った希少な発明品だ。

 おまえの記憶を元におまえの足を再現する。」


 コピースライム……

 アーグさんが希少なものを僕に?

 ひょっとして少しは心を許してくれたのかな?


「アーグが人間を助けてくれるとはのぉ。

 よかったのぅ。ゲキテツ。」


「……別に助けたつもりはないし。

 ただ、僕を庇って死なれたら後味が悪いと思って。」


 まぁ、そうだよなぁ。

 僕が勝手なことをしただけだしなぁ。


 そんなことを考えてると

 ヴィクトリアさんが耳打ちをしてくる。


「ありゃ、照れとるぞ?

 お前さんに助けられて、嬉しかったのかもしれんな。」


「聞こえてるぞ!

 嬉しくなんかない!

 もう知るか。

 僕は少し席を外すぞ!」


 と言って、アーグさんはどこかに行ってしまう。

 その時に周りをよく見ると、洞窟のようになっている。

 おそらくは、地面の中なんだろう。

 穴が何個か空いていて

 それぞれが通路になっているようだ。

 大きなアリの巣のような感じになってるんだろうな。


「ふむ。怒らせてしまったのぉ。

 まぁ、何はともあれ、お前さんが無事で良かったぞ!」


「ありがとうございます。

 ヴィクトリアさんこそ、

 よくぞご無事で……」


「あんな赤子如きに負けるか!

 けちょんけちょんにのしてやったわ!

 わしは魔王になるのじゃぞ?」


「あはは、それもそうですね。

 えっと、僕が気を失った後、どうなったんですか?」


「ふむ。

 わしも途中から合流したからの。

 詳しくは知らんが……

 アーグが魔法を使って親鳥を撃退したようじゃな。」


「魔法……

 アーグさんの魔法って?」


「んー。なんと言ったらいいかの。

 所謂、土魔法なんじゃが......

 土煙を上げるだけなんじゃよ。

 じゃから、どうやって退けたのか......」


 ……土煙を上げるだけ?

 確かに、気を失う前、土煙が待ってたのを見たけど……


「まぁ、ヤツはわしにさえあまり手の内を見せんでな。

 何か、こう、うまいことやったんじゃろ。」


「そうなんですね……

 たしかにすごい詠唱をしてたような気がします……」


「詠唱……?

 ……本当か?」


 ヴィクトリアさんが急に何かをすごい考え込む。

 何がそんなに引っかかったんだろう。


「はい。詠唱をしてました。

 なんて言ってたか覚えていませんが……

 最後にドドラゴンとか、なんとか言ってような。

 あれは魔法の技名なんですかね?」


「……ふふ。かっーかっかっ。

 ドドラゴンか!そうかそうか!」


 ヴィクトリアさんは

 急に腹を抱えて笑い出す。

 

 しばらく笑った後、話し始める。


「はぁ……笑った、笑った。

 涙が出るほど笑ってしもうた。」


「あの……何がそんなに面白かったんですか?」


「ふふ……それはの。

 詠唱は魔法に必要ないことじゃからじゃよ。

 もちろん、技名を言う必要もない。」


 えぇ……どういうことだろう?


「昔、まだ、わしらが幼い頃によくやっていた遊びで

 そのようにふざけたこともあったが……

 まさかまだやっているとはのぉ。

 確かにヤツはあの遊びが好きじゃったなぁ。」


 そう言われてみれば、

 ヴィクトリアさんは変身魔法を使う時、

 何も言わずに使っていた。

 えーと、

 つまり……アーグさんは厨二病ということ?

 なんだか、急に親近感が湧いてきたな。


「あの……僕、アーグさんと話してきます。」


「ほう?急にどうした?」


「足のお礼をちゃんと言えてないので……」


 それに聞きたいこともあるし。


「ふむ。まぁ、行きたいなら好きにするといい。

 今のヤツになら、殺されたりはしないじゃろう。

 わしは疲れたのでな。

 ここで少し休むとするかの。」


 僕は立ち上がり、

 アーグさんが出て行った穴を通って彼女を探す。


 にしても、この義足はすごいなぁ。

 まるで違和感を感じない。

 前までと同じように歩けている。


 義足にありがたみを感じながら

 歩いていると外に出た。


 穴から少し離れたところで、アーグさんが座っている。

 もうすっかり日が暮れて、

 辺りは月明かりが照らすのみだった。


「だれだ?

 あー。おまえか。」


 彼女は僕の方を見ずに言葉を発する。


「あの……少しお話ししてもいいですか?」


「なに?」


「その……この足、ありがとうございます。」


「別にいいって。

 君が僕を庇って失ったものを

 僕が代わりにつけただけだ。」


「それでも、ありがとうございます。

 人間のことが嫌いなのに……」


「……」


「あの、なんで人間が嫌いなんですか……?

 よければ聞かせてくれませんか?」


「……おまえは僕のこと……どう見える?」


「えっと……可愛い顔の人だなと思います。」


「は……?違う!そうじゃない!

 種族の話だ!バカ!」


「あっ。すみません……

 えっと、モグラの魔族なんですよね?」


「……そう。魔族。

 獣人じゃなくてね。」


 確かに……

 言われてみれば、

 モグラの獣人ではないんだよな……

 なんでだろう。


「僕らの種族は昔は獣人として扱われてたんだ。

 でもある日急に人間の偉い学者が僕らの種族

 を魔族だと分類した。

 それから色々あって、

 僕らの種族は監禁され

 安い賃金で働かされることになった。」


 なるほど。

 そんなことがあったら、人間を恨むのも当然だ。

 僕だって同じことをされたら、

 少なからず人間を恨むだろうし。


「そんなことがあったんですね……

 でも、アーグさんは助かったんですね。」


「両親が逃がしてくれてね。

 ……まぁ、今はどうなっているかわからないが。」


「……ご両親はどこに?」


「ズーアニマ王国の地下さ。」


 ズーアニマ王国……

 この大陸で一番大きな国か……

 それは手を出せないだろうな……


「……話しすぎたな。

 戻るぞ。

 お腹が減ったから、ご飯にしよう。

 おまえにも特別に食わせてやる。」


「あっ、はい。」


 僕は何も言うことができなかった。

 漫画の主人公なら助けに行こうとか言ったんだろうな。


 僕が目覚めた部屋まで戻ると

 ヴィクトリアさんがベッドで寝ていた。


「ヴィクトリアも随分疲れているようだな。

 先に僕らだけで食べるとしよう。」


 アーグさんは

 そう言いながら、棚を開けて瓶を手に取った。

 中にはミミズのような生き物が大量に蠢いている。


「あ、あの……それはなんですか?」


「スウィートワームを知らないのか?

 とっても甘くて美味しいんだぞ。

 本当はこんな良いもの、人間に食べさせたくないが、

 まぁ、特別に分けてやろう。」


 大量のスウィートワームが皿に盛り付けられていく。

 僕は虫が大の苦手だ。

 鳥肌が凄まじく立っている。

 見るのだけでも嫌なのに、これを食べる……?

 絶対に嫌だ……!!


「うーん!

 やっぱりスウィートワームは最高だ!

 ……何してる?

 早く食えよ。」


 アーグさんはこの虫たちを美味しそうに食べている。

 食べている様子を見るだけで

 少し吐きそうになったが、

 登ってきた胃液を無理やり飲み込む。

 とても断れそうな雰囲気ではない。

 食べるしかない……


「あ……ありがとうございます……」


 僕は心の中で雄叫びを上げながら、

 1匹を手に持ち、口に入れる。

 噛むとプチプチとした食感で

 いくらのように潰れる。

 味は甘く、確かに味は美味しいが、

 目の前で動いてるものを見ると

 もう一度吐きそうになる。


 まさか、異世界に来てから初めに食べるものが

 これになるとは……

 涙が出そうになる……


「なんだ?泣いてるのか?

 そんなに気に入ったか!

 人間の割にはなかなかわかる口だなぁ。」


「へへへ……そうですか……?」


 アーグさんが僕に向けて初めて好意的な表情を向ける。


「さっ!遠慮せずどんどん食えよ?」


「は、はい……」

 

 僕はヴィクトリアさんが早く起きることを祈って

 この食事を続けた。

檄哲

「......てなわけで、僕です。

 色々と酷い目に遭いました......」


アーグ

「んー!美味い!」


檄哲

(美味しそうに食べてる姿、可愛いなぁ......

食べてるものは全然可愛くないけど......)


アーグ

「モグモグ ここまで見てくれて、ありがとう。

この話が面白かったら、モグモグ 評価やレビュー、ブックマークをよろしくな。」


檄哲

(食べながら、セリフ取られた......)

「えっと......それじゃあ、また次回!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ